180 冒険者Aさんと探索はこつこつと
あらすじ:師匠を慕う弟子の理解っぷりが凄い・・・。
視点:Dランク冒険者 シーフLv4 ヤンキさん
『』:アルファさん
『どっかで、また盛大に過大評価された気がするわ~。
例えば、優秀すぎる弟子が勝手に勘違いして
やっぱり師匠はすごい人だったんだ~みたいな?』
「突然どうされたんです? ご主人様。
気も何も、えらく具体的じゃないですか。
・・・でも! それはそれで間違いじゃないですわ!!
ミケもそう思いますっ! いえ! 常に思ってますよ!?
う~~~ん!! ご主人様、しゅごいっ!!(ひしっ)」
「ええい、やめんか!
(ぐわっし)だ~き~つ~く~な~~~」
「(すりすり)ぬふふふ~! 良いではないですか~!」
「あ、あの・・・先に進んでも?」
「『すんませーん!』」
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「(書き書き)・・・うーん?
通路がこうってことは・・・、この辺かな?」
『(ひょいっ)んー? どこら辺や?
ちょい見せてみぃ、ケベックくん』
・・・・・・ホント、当たりだよな。
このパーティを、斡旋してもらうまで俺はソロだった。
けど、別にずっとそうだったって訳じゃねえ。
3つのパーティに入ったし、臨時でも幾つか参加したさ。
だけどな、この国の冒険者ときたら、どいつもこいつも
新人もベテランも、火力重視のスキル頼みだったぜ。
結局、どのパーティとも合わなくて、全部抜けちまった。
「おーい、ヤンキ。
そこの右手側の壁をちょっと探ってみてくれないか?
地図見た感じだと何か有りそうなんだよ」
「おう、任せとけ!」
ああ、そうだ、そうなんだよ、コレだよコレ。
俺はコレがしたくて冒険者になったんだよ。
冒険譚に載ってるみてえな{冒険}がしたかったんだよ。
だから、ギルドで【シーフ】として登録したんだよ。
{冒険}ってのは、強敵とバリバリ戦うだけじゃねーよな。
やっぱ、探索に罠に謎解きに・・・へへへ。
な~んか俺も、パーティ入ったり抜けたり
ソロでやってたりそんな事やってる間に
すっかり他の連中に染まっちまってたよな~。
最短でランクを上げる為のセオリーがどうのとか
ホント、どうでもいいじゃねーか。
(ゴンゴン、ぺたぺたぺた、ゴンゴン)
「んー? ん~~・・・(コンコン)おっ!?
何かわからねえけど、ここ崩せそうだぜ?」
「おっ! やったな! ヤンキ」
「よし、じゃあ2人共、ちょっと離れててくれ。
・・・確かにこういう時、鈍器って便利だな。
僕も剣から鈍器に変えようかな?
別に剣にこだわりがあるわけじゃないしなぁ」
「ま、それもいいかも?
今回はアルファさんからの借り物だけどね。
その辺は帰ってから考えたら良いんじゃない?」
『おー、マイクくん、その辺はいつでも相談乗るで~?
・・・にしても、この地図の通りやと
隠し部屋って事は無いやろーけど
隠し穴とアイテムぐらいは有るかもな~』
「はは、帰ったらお願いしますよ。
じゃ、いくよ~?(ガチャリッ)」
(ブンッ、ゴガガッ、ブンッ、ゴギャッ)
「ん~? もう少しかな?」
(ブンッ、ゴギャン、ブンッ、パカーーーン、パラパラ)
「おっ! 何か30cmぐらいの空洞が・・・んんっ?」
『おっと! ストップやで~! マイクくん。
今、無造作に中を覗き込もうとしたり
腕を突っ込もうとしたやろ? それはアカンで~~~』
「え? あっ! そ、そうですね!
ヤンキ、頼む」
「お、おう!」
しまった・・・、ここは俺が止めないと駄目だったな。
そうだよ、罠ってのは見えない所にこそ気をつけないとな!
「おっと! ストップですわ~! ヤンキ君。
罠には視線に反応する物も有りますからね!(ごそごそ)
こういう時は、手鏡なんかの小さい鏡で穴の中を映して
それを見ると良いですわよ~~!?
さあ! (ぽんっ)これをお使いなさい!」
「・・・・・・あ・・・はい、姐さん
あ、ありが・・・とう・・・ご、ございまッス(ぶるぶる)」
「「・・・・・・ぶっ!」」
「笑うなよ!!? お前ら!!」
『何でよりによって、ピンクの可愛らしい手鏡やねん。
ウサ耳ついとるし・・・』
う、うぐぐぐぐ・・・この鏡の外見はもう仕方ねえ。
けど、そういう重要な技術をさらっと教えてくれる
耳の姐さんには、何だかんだで助けられてんだよな。
これも多分、【シーフ】としては基本中の基本なんだろ?
さっきの壁もそうだけどよ、罠とかの探し方も見分け方も
スキルじゃどうにもならねえんだよな・・・。
他所の国だと、そういう技術を有料で教えてくれる
【盗賊ギルド】とかが有るらしいんだが
この国にはそんなもん無ぇからな~・・・。
さて・・・・・・・・・っと、どれどれ?
「・・・何か、光ってる小箱が見えるな」
『ほー? そりゃ、多分【D箱】やで?
わははは! やっぱ、ダンジョンとゆーたら【D箱】やろ!
ダンジョン製の【D箱】やったら、箱は安全やで?
【D箱】には罠はかかってないってのは確定なんやわ~』
「え? そうなのか・・・じゃ、じゃあ(ひょいっ)」
(カチッ)
「ん? 今、何かの音が・・・」
「カチッて聞こえたような・・・」
「・・・・・・おい、おっさん、今の音って」
『罠が作動した音やな~』
「ちょっ!? 罠は無いってさっき・・・」
「はあ~~~、何を言ってるんですか? あなた達。
ご主人様は、{箱には罠が無い}っておっしゃったんですわよ?」
「「「ええええっ!?」」」
そんなん有りかよっ!?
いや、確認しなかった俺も悪かったけど
あんな言い方されたら、普通そのまんま信じるだろ!?
くっそ~~~~~~~!!!
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▽
『さてと、そんじゃ今日は地図もボチボチ埋めれたし。
そろそろ【ダンジョン糸】辿って帰るで~~』
「えっ? もうですか?」
「ちょっと早くないですか?」
「さっき、休憩で昼食ったばかりだろ?
今日、あまり進んでねえんじゃないか?」
「はあ・・・・・・あなた達ぃ~。
これから、帰る時間も有るって忘れてませんか~?
帰りに何が起きるかわからないんですわよ~?」
「あー、そっか」
「そう言われるとそうだよな。
行きで3・4時間かかってるんだから
帰りも同じだけかかると思うべきだよな・・・」
『せやでー? {ダンジョン調査}の場合はなー。
日数かけてコツコツとやってけばええねん。
別に{ダンジョン攻略}せんとアカン訳でもないし。
・・・それに、帰り道が同じで済めばええんやけどな~」
「は? それって・・・」
「あなた達、このダンジョンはほぼ確実に
主か管理者が居るって事忘れたんですか~?」
「「「あっ」」」
『帰り道ってのは、どーやっても
疲労が溜まっとるし、気も少し抜けてまうからな~。
奇襲するなり、何かを仕掛けるにしても最適なんや。
俺がこのダンジョンの主やったら
間違いなく帰り道に本命もってくるやろーなー。
って訳で、みんな帰るで~?』
「は~い! ご主人様~!」
「はいっ!」
「おう」
「了解でーす!!」




