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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
179/401

179 冒険者Aさんと弟子の出した結論

あらすじ:実は辛かったサクさんが号泣しちゃいました。


視点:人のフォローに定評の有る ノブユキ・ムトウさん

『』:アルファさん


「(しょぼん)あ、あの・・・あの・・・。

 情けない姿をお見せしてすいませんでした」


「んもー! サクちゃんってば!

 全然情けなくなんか無いわよ!(なでなで)」


「そ、そうなんだな。

 むしろ、おでが辛い事を思い出させてしまったみたいで

 ご、ごめんなんだな(なでなで)」


「大丈夫だよ、サクちゃん! うおっ。

 ボクと違って、サクちゃんはアルさんに恩返しできてるし

 サクちゃんはえらいと思うな! うおっ(なでなで)」


「あ、あうあう・・・(かああああ)」



 ふう・・・、ようやく落ち着いたようですね。


 まあ、サクも少しは本音を吐き出せたようで良かったです。


 ・・・・・・それにしても、さすがはお師様っ!!!


 何故パーティを分けてまで同時に? とは思っていましたが


 きっと、お師様はこの事も見越していたのですね!?



「それにしても、ユキさん。

 サクさんをあやすの上手かったですね~。

 すっごく手馴れている感じで。

 あ、あはは、私なんかどうしていいかわからなくって

 みっともなく、おろおろしちゃいましたよ~!」


「ぼ、ボクも・・・、うおっ」


「おでもなんだな、大人なのに情けないんだな」


「いえいえ、私の場合、本当に慣れていただけなんですよ。

 お世話になっていた所では、幼いお子さんも結構居ましたし

 今も、手のかかる姉弟きょうだいが居りますので(にこっ)」


「あっ! それで手馴れてたんですね、納得です」


「ええ、弟はまだ物分りが良い方なのですが

 姉様には本当に手を焼かされていますよ、ふふふ・・・」


「えっ!? そっち?(あっ、ダメだ、目が笑ってない)」



 やたらと抱きついてきて、私を可愛がろうとしたり


 いつの間にか布団に入って一緒に寝ていたり・・・。


 事あるごとに、甘える、泣く、ねだる、我儘を言う。


 まあ、その辺りに関しては、姉様が育った環境を考えれば


 ・・・と私も受け入れてきました。


 ですが、周囲を巻き込んで暴走するのは許容できかねますね。


 以前、お師様を襲撃した件。


 私は忘れてませんし、この先も忘れる事はありません。


 ええ・・・、絶対に忘れませんとも、ふふふふふ。



「な、なるほど、なんだな(何かユキくんが怖いんだな)」


「あ、あはは・・・さ、サクちゃん?

 私で良ければ、いつでも気軽に相談してね。

 まあ、私に何かできるかはわからないけど(なでなで)」


「(あわあわ)あ、は、は、はいっ! あ、あのっ。

 あ、ありがとう、ご、ごじゃいますっ! ・・・あうう」


「(なでなで)サクはお師様の養女になってからは

 いつも、お師様かミケお姉様と一緒でしたからね。

 こうやって本音を漏らしたり、年相応に泣いたりとかは

 逆にし辛かったんだと思いますよ」


「え? そ、そうなんですか? うおっ」


「(うんうん)ええ、その気持ち・・・。

 分かります・・・分かりますよっ!!」


「・・・あっ」


「ええ!! お師様は確かに! 寛容で気さくで素適で!

 とてもとても、と・て・も! 素晴らしい御方です!

 ・・・ですが、お師様が偉大すぎるあまり。

 お師様に対する憧れや敬慕の念が強すぎるあまりに!!

 逆に恐れ多いと感じて、ご迷惑はおかけできないと!

 こんな些細な事で煩わせてはいけない!!?

 ・・・と萎縮してしまう事も理解できますっ!!」


「(びくっ)え、あ、うん、そ、そう・・・なんだな!?」


「(びくっ)あ、あ、あ、は、はい!? うおっ」


「・・・ああ、やっぱり、こうなっちゃいましたか」


「・・・・・・・・・はい(こくん)」



 はっ!? おっと・・・いけないいけない。


 また少し、お師様への敬愛が溢れてしまいましたね。


 少しだけですけどね、少しだけ。


 ・・・それにしても、やはり、サクはそうでしたか。


 まあ、そうなっても仕方ありませんよね。


 いきなり、お師様に引き取られ、諸々の事を助けられ


 ずっと欲しかった家族まで与えられた訳です。


 しかも、私のように、自分から望んだ訳では無く


 突然、全く思いがけずですからね・・・。


 境遇の変化に対応するだけでも精一杯なのに


 当然、気持ちの整理なんてつきませんよね。


 恐らくですけど、逆にあまりにも現実味が無さ過ぎて


 感謝以上に、不安な気持ちの方が大きいのでしょうね。



「(ぽんっ)サクは、今が幸せな分、不安なんでしょ?

 ・・・本当にこんな自分で良いんでしょうか?

 怒られたり呆れられて、いつか捨てられちゃうんじゃ?

 朝起きて、今までの事が全部夢だったら・・・。

 そんな事を考えてはいませんか?」


「(びくっ!)あっ!! ・・・な・・・なんで・・・」


「(なでなで)ふふ、やっぱりそうでしたか。

 何故分かったかと言いますとね? 簡単な事です。

 その気持ちは私だって有るからですよ。

 私だって、念願がやっとかなって

 ずっとお慕いしていたお師様の弟子になれたんです。

 初日など、幸せ過ぎて興奮で夜も眠れないほどでしたよ?

 ですが、同時に不安も大きかったのですよね・・・。

 情けない弟子だと落胆させてしまったらどうしよう。

 お師様の期待を裏切ってしまったらどうしよう。

 その気持ちは今も少なからず感じてますが

 それは、多かれ少なかれ、皆さんも同じですよね?」


「(びくっ)えっ・・・?」


「う、うん、おでもそれは常に思ってるんだな。

 もしあの時、アルさんに拾ってもらえなかったら

 おでは今でも1人のままだっただろうし

 その先、生きていけたかすらわからないんだな」


「それは私だってそうですよ~。

 孤児院出身の何の取り柄も無い底辺冒険者ですよ?

 いっつも収支ギリギリで、万年金欠!

 しょっちゅう、お腹ぐーぐー空かせてて

 ライスのとこで、まかない料理分けてもらった時も

 有ったんですよ? あっ・・・言ってて泣けてきた。

 リマさんにアルファさん紹介されてなかったら・・・。

 うう、想像するだけでも怖っ!!」


「うーん・・・ボクなんて右も左もわかりませんでしたし

 もし、上陸した海岸で、運良くアルファさんに

 出会えてなければ、どうなってたんでしょう? うおっ。

 ・・・諦めて【リューグー】に帰れてたら良い方で

 迂闊に町に彷徨い込んでたら、モンスターと間違えられて

 退治されてた・・・んじゃないでしょうか? うおっ」



 ああ、やはりそうでしたか、ある程度、お師様からは


 皆さんとの出会いと事情はお聞きしてましたし。


 同様に、危機感や不安を感じていた様ですね。


 皆さんも、お師様やミケお姉様の前では


 極力、表には出さない様にしていたのでしょうね。


 ・・・・・・なるほど!!


 そうだったのですね!? お師様!!


 パーティを分けた事によって、サクの事だけでは無く


 連鎖的に皆さんの本音を引き出させる状況を作らせ


 私にその不安の払拭をお任せしてくれている・・・。


 私にそれを期待しての、このパーティ分け!!!


 そういう事だったのですね!? お師様っ!!!


 ああ、やはりお師様はすごい御方ですぅ・・・。



「(にこっ)サクも皆さんも、大丈夫ですよ。

 お師様は絶対に皆さんを見放したりはしませんよ。

 ・・・とは言っても、私の言葉だけでは

 皆さんも心から信じきるのは難しいと思います

 ですので・・・(ぽわ~~~~ん)」


「えっ? いえ、私はユキさんの言葉だけでも

 と言うか、その・・・。

 ユキさんの、心から信じきった感100%の

 うっとりとした表情だけで、何か納得でき・・・」


「ええ!(ばっ!!)ですので、皆さん!

 こう考えてみてはいかがでしょうか!!!?」


「・・・ああ・・・ダメだ、聞いちゃいないや」


「(ぽわわ~ん)自分の事は信じられなくても!!

 お師様の事なら、信じられると!!

 お師様なら大丈夫!! お師様なら絶対!!

 ・・・・・・ね?

 そう考えれば不安なんてありませんよね?」


「「「「は、はい・・・」」」」


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 ▽ 並行して連載中 ▽
↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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