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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
178/401

178 冒険者Aさんと思い出と愚痴と本音と

あらすじ:ダンジョン内ではふざけてはいけません。


視点:Eランク冒険者 ポーターLv2 ロバートさん

『』:アルファさん


「(書き書き)えっと・・・今度はこう・・・っと」


「・・・ロバートさん、地図を書くの手慣れてますね。

 四方形を付け足す形で、通路や壁を書き込むのですか。

 ・・・なるほど、この方法なら方眼紙も必要ありませんね」


「へえ・・・すごいですね、ロバートさん。

 私、地図マッピング苦手なんですよ・・・。

 あ、でも、この書き方なら私にも出来そう。

 ロバートさん、帰ったら教えてもらってもいいですか?」


「ローさん、ローさん。

 ボクもお願いします! うおっ」


「う、うん、おででよければ。

 このやり方は前の商隊に居た時、教えてもらったんだな」


「ロバートさんって、確か前は行商・・・あっ。

 ご、ごめんなさい! 辛い事思い出させ・・・」


「えっ? い、いやいや!(ぶんぶん)

 モブコちゃん、謝らないで、だ、大丈夫だから」


「ええと・・・あ・・・はい」



 あ、ああ・・・気にさせちゃったかな?


 おで、こういう時に言葉をうまく伝えられないんだな。


 本当に気にしなくて大丈夫なんだども、こ、困った。



「・・・・・・まあまあ、モブコさん。

 確かに辛い出来事ではあったのでしょうけど

 ロバートさんの中では、既に区切りがついてる様ですし?」


「う、うん、ユキくんの言う通りなんだな。

 おで、頭悪くて仕事の要領も悪かったから

 商隊の人達が見かねて教えてくれてたんだな。

 でも、い、今みたいに仕事中以外で

 おでと親しく接してくれる人は居なかったし

 商隊の人達に恩はあったんだども・・・うん。

 だから、モブコちゃんも、気にしないで欲しいんだな」


「・・・だそうですよ? モブコさん。

 あまり深く捉えてしまったら

 却ってロバートさんが困っちゃいますよ(にこっ)」



 ユキくん、おでが困ってるのが分かったから


 助け舟を出してくれて・・・、ありがたいんだな。


 こ、これで、何とか伝わったと思うんだども・・・。



「・・・あはは、そうみたいですね?

 はい、わかりました!

 まあ正直、ロバートさんのその気持ちって

 少しは私も理解できちゃうかな~って・・・」


「えっ? それってどういう事ですか? うおっ」


「えっと、私と、あっ! ライスもなんですけどね?

 王都の孤児院で育ったんですよ~。

 いつから孤児院に居たのか、全く覚えてないんですけど

 とりあえず、捨て子だったらしいのは確かなんですよ」


「それはなぜです?」


「それが・・・、あっ!? ごめんなさい!(ぶんぶん!)

 ダンジョン探索中に、無駄話してたらまずかったですよね。

 私のは大した話じゃないので、探索、探索続けましょう?」


「いえ、丁度良いですし、小休憩にしましょう。

 どのみち地図の確認と、予定を少し考えたかったので・・・。

 それに、そんな途中で話を止められたら

 皆さんも続きが気になってしまうと思いますよ?

 それではサク、任せてばかりで悪いですけど

 また、お茶の用意をお願いできますか?」


「は、はい、あにさま」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「(ずずず~~ごくん)いえ、それでなんですけどね~?

 孤児院の子達も、待遇って言うか、食事とか育て方とか

 明らかな差が有ったんですよ~~」


「差ですか・・・なるほど。

 恐らくは、拾われたか預けられたかという違いでしょうね」


「えっ!? そうなんですか? うおっ」


「そうなのよ~、サバミソ君。

 (ずずず~っ)あー、お茶が甘くておいしい~。

 それで、その通りなんですよ~、ユキさん。

 まあ、私も10才だったかな? そのぐらいの時に愚痴ってて

 年長の人から教えてもらったんですけどね」


「(こくんこくん)ふう・・・。

 まあ、貴族や王族の様な権力者が、お家騒動に発展するとして

 表に出せない子供を、孤児院や別の場所へ預ける。

 ・・・といった事例は、【フソウ】でも珍しくありませんし

 その際は金銭だったり、何らかの配慮がある事が多いですね。

 ・・・ですので、そういう理由で預けられた子は

 衣食住や教育の面で優遇されてもおかしくないでしょうね」


「そーなんですよ~~~~~。

 今でこそ、その理屈は理解できますけど

 当時は、特に食事面で優遇されてる子が羨ましくって羨ましくって

 今でも納得はしたくないですね~~」


「ああ、な、なるほど。

 そこが、モブコちゃんが言う、おでの理解できる部分なんだな。

 (ずずずっ)熱、熱っ・・・ふー、ふーーーー。

 お、おでも、頭が悪いのは自分でも分かってたから

 そこで待遇に差をつけられるのは納得できてたんだな。

 でも、山岳の村出身の田舎物と馬鹿にされ続けたのは

 故郷の事を馬鹿にされてるみたいで、ずっと悲しかったんだ。

 もちろん、こんなおでをずっと働かせてくれてただけも

 有り難いし、恩だって感じてるんだども・・・」


「あはは、そうなんですよ~~、ロバートさん。

 不満を言うのは贅沢だって分かってるんですよ、頭では」


「・・・・・・で、でも(ポロッ)

 じかだないっで、じぶんが、じぶんがわるいんだっで

 ずっど、おざえづづけででも(ポロポロポロ)」


「えええっ!? ど、どうしたの? サクちゃん!(あわあわ)」


「さ、サクちゃん、だ、だ、大丈夫だか!?(おろおろ)」


「あ、あわわわ!? うおっうおっうおっ!?(ぱくぱく)」


「ずっどがなじぐっで・・・。

 だずげでほじぐっで、ずっどずっど・・・。

 あ”あ”あ”あ”あああああ!!(ボロボロボロ)」



 わ!? わわわわ!? ど、どうしたんだか!?


 な、な、何か辛い事でも思い出しちゃったんだか!?


 え、え、ええと! こ、こんな時、どうしたらいいんだか!?



(すたすたすたすた、ぎゅっ)


「あ”う”あ”ああぅ・・・(ボロボロボロ)」


「(なでなで)・・・ふふっ、大丈夫ですよ、皆さん。

 サクもちょっと、里での事を思い出しちゃっただけです。

 もう少し大きくなるまでは、ふとした事で思い出して

 今みたいに泣く事もあるかもしれません。

 でも、それも時間の問題だと思います」


「ユキさん・・・だ、大丈夫? サクちゃん?」


「あわわわ、うおっうおっうおっ(ぱくぱくぱく)」


「そ、そうだか? 何かおで達にできることがあったら

 な、何でも言って欲しいんだな」


「(なでなで、なでなで)だそうですよ? サク。

 今は、お師様やミケお姉様、それにこんなに心配してくれる

 優しい人達に囲まれているんです。

 辛い事があれば泣いても良いし、我慢する必要なんて無いです」


「ひっぐひっぐひっぐ・・・(こくん)」


「(ぎゅっ)ふふふ・・・分かってますよ、サク。

 本当はもっとお師様やミケお姉様に甘えたいんですよね?

 今まで甘えられなかった分、こうやって抱きしめてもらって

 サクは良い子だねって、可愛いねって、自慢の子だねって

 いっぱい誉めて欲しいんですよね?(にこにこにこ)」


「へえ~~~~? サクちゃん、そうなんだ!

 あ~~~っ! もうっ! 可愛いなあ!!!(なでなで)」


「あ・・・あうあう・・・(かあああああ)」



 うん、一時はどうなるかと思ったども。


 サクちゃんが元気になって良かったんだな。


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 ▽ 並行して連載中 ▽
↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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