173 冒険者Aさんとダンジョンの罠 中級編
あらすじ:ダンジョン入る時は糸を忘れずに!
視点:Dランク冒険者 シーフLv4 ヤンキさん
『』:アルファさん
(ピタッ・・・)
「と、止まった・・・ぞ? 何かまずかったのか?」
『せやで~、ヤンキくん。
まー、丁度ええし、{ダンジョンの罠}について教えとこか』
「「「?」」」
{ダンジョンの罠}? つっても、足元は注意して見てた。
更に、左右の壁も気をつけてたし、今の所見落としは・・・。
何がまずかったんだ?
「何がまずかったかと言うとですね、ヤンキ君。
確かに、床だけじゃなく壁にも注意してましたけど
実は【ランタン】の光の当たっている所しか見てなかった事です」
「「「?」」」
『わははは!
まー、この辺は、実際に見てみんとわからんやろーな。
例えば・・・(ずびしっ)ここやな』
「ここ・・・・・・? あっ!? あああああっ!?」
「ここ・・・? そこに何かあったのか? ヤンキ」
「(つんつん)コレですよ、コレ。
ここに、{感知の罠}があるのがわかりますか?」
うわ・・・全然気付かなかったぜ・・・。
そんな所にも罠があんのか!?
「・・・・・・あっ!!?
確かに両端の壁の膝よりもちょっと下ぐらいの位置?
そこに宝石っぽのが埋まってますね。
それも罠なんですか?」
『せやでー。
これはミケも言ったけど、{感知の罠}でな。
この間を何かが通ると、連動して何か起きるって罠やねん。
今回のは、付近の他の罠が発動しとらんし
多分、既に通った通路が封鎖されるとか
どっかで警報が鳴って、警備のモンスターが
わちゃわちゃ沸いてくるとか、そんなんやろな~』
「なっ!? ・・・なるほど、そんな罠もあるんですね。
それにしてもコレって・・・。
丁度【ランタン】の光とかが当たらない位置なんじゃ?」
「そうですわよ~。
コレは意図的にその位置に設置されてるんですよ。
罠には{即発動する物}と、この罠みたいに
{時間差で発動する物}が有りますからね。
皆さん、よ~く覚えておくんですわよ~?」
「・・・すまねえ、リーダー、ケベック。
今回は完全に俺の失態だわ。
コレが即発動する罠だったら、今頃大変な事になってた」
「うーん、コレは仕方ないよ・・・」
「いや、僕とケベックは、そもそも気付いてなかったし。
むしろ、罠に関してはヤンキにばっかり頼ってて悪いな」
『わははは!
ヤンキくん、反省はええけど、後悔は無しでいこか!
実はな? ぶっちゃけ、この系統の罠って
{Cランク推奨}ダンジョンでも珍しい方なんや。
しかも{洞窟ダンジョン}やと、更に珍しい』
「えっ!? そうなんですか?
例えば、どんなダンジョンに多いんです?」
「この手の連動する仕掛が設置されてる所と言うのは
大概は人の手が加わってる、遺跡とかが多いですね。
他には{塔ダンジョン}や{迷宮ダンジョン}の様に
明らかにダンジョンの主が居て、管理してる所ですわ」
「な、なるほど・・・ん?」
「それって、アルファさん。
このダンジョンには主が居る可能性が高いって事ですか?」
『ま、その可能性が出てきたっちゅー事やな~。
ちなみに、それがわかっただけでも
{調査クエスト}としては、かなりのお手柄やねんで?
そんじゃ、あまりここに留まるのも良くないやろーし
先に進もっかー』
「「はい!」」
「おうっ! 俺も気合入れなおすぜ!」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(ザッザッザッザッ、カツカツカツ)
・・・少し疲れてきたな。
遠征前に修得したスキル【サーチ】を常時発動して
ずっと索敵してるせいってのも有るんだろうけど
それ以上に、目視でも罠と敵に注意してるからな・・・。
そう考えると、地上での活動はかなり楽してたって事か。
・・・にしても、地上とダンジョンの狭い通路じゃ
【サーチ】の感覚が全然違うもんなんだな。
こっちの方だと通路内しか感知できなくて
壁や床の向こう側とかはさっぱりわかんねえ。
地上なら、木とか岩とかお構い無しだったのにな・・・?
・・・・・・あーーーー! 駄目だ!!!!
頭でこんなのぐるぐる考えてるって事は
本格的に集中力が途切れてきてやがんな・・・。
「そういう事ですわ~、ヤンキ君。
ご主人様~、そろそろ一息入れませんか~?」
『せやな~。
皆そこまでダンジョンは慣れとらんやろーし
ボチボチ休憩にしよか~』
「あ、はい!」
「ほっ・・・助かったっス、耳の姐さん!」
「お疲れ~ヤンキ・・・、よいしょっ(ドサッ)」
『おっと! ちょい待ちや~、ケベックくん?
休憩にはするけど、まだ座り込んだらアカンで~?
休憩する前に、やっとく事が有るからな~』
「「「えっ?」」」




