170 冒険者Aさんと片手武器の注意点
あらすじ:ミケニャンさんの舎弟となりつつあるヤンキさん。
視点:Dランク冒険者 ファイターLv4 マイクさん
『』:アルファさん
「お帰りなさい、ご主人様。
少し遅かったですけど、どうかなさいましたか?」
『わははは、すまんすまん。
忘れもんはすぐに見つかったんやけどな。
戻るついでに、エイトちゃんを塾まで送ってったから
少し遠回りになってもーた訳や』
「あー、なるほど。
確かにあの子、昨晩は宿の方に泊まりましたし
朝だと、塾までの道は少し人通りが少ないですから
送って差し上げた方が安全なのは間違いありませんね。
(ぎゅっ!)流石ですわ! ご主人様!」
「(ぎゅっ!)私もそう思います! 流石です! お師様!」
「ふふ、それはお疲れ様でした、アルファさん」
『おっ!? リッちゃんが珍しく誉めてくれたな~。
むっふっふっふ、送った甲斐が有ったわ~~!!
・・・ま、それはそうとして、皆どんな感じや~?』
「とりあえず、リマさんの動作を参考にして
練習続けてますけど、僕は慣れるまでに
もう少しかかりそうですね」
今まで剣ばっかり使ってたからなぁ。
最近になって、初めて鈍器使ったぐらいだし。
多分、剣の癖がついちゃってるんだよな。
鈍器は、まだ共通点多くて、そんなに違和感無かったけど
純粋に槍で突くだけって言うのはなかなか・・・。
気付くと振りかぶって叩きつけそうになる。
「まー、マイク君は剣を愛用してましたので
その癖が邪魔してるんでしょうね~。
でも、別に剣士を目指している訳じゃ無いんでしょ?
でしたら、戦士クラスとしては
色んな武器を操れる様になった方が強味になりますし
頑張って慣らしていくしかありませんわね~」
「はは・・・ですね!
僕も少しはコツがつかめてきたんですけど。
・・・モブコはコツつかむの早かったね」
「え? そう?
自分では良くわからないんだけど。
もしそうなら、多分アレじゃないかな?
私、この間まで常に金欠で、武器も安物の中古品だったから
特に愛用してたとか得意だった武器が無かったし・・・」
「あー、癖がつく前に武器が壊れるパターンですか。
それはそれで世知辛い話ですわね~」
『わはは! まー、えーやんか、えーやんか。
今が順調なんやったら、それでええねん。
ところで、俺が忘れもん取りに帰る前にゆっといた
片手武器を使う時の注意点の方はちゃんと覚えてるか~?』
注意点ね・・・うん、僕は大丈夫だ。
アルファさんが忘れ物を取りに帰る前に
槍・・・と言うか、片手武器を使う際の注意点を
2つ言われてるんだよね。
ちなみに、槍のコツの方は
リマさんの動作を参考にすればOK! ・・・らしい。
「はい! ボク覚えてますよ、アルさん!
{途中で無理に軌道を変えない}ですよね? うおっ」
「あっ、さ、サバミソくん。
頭に{外れた場合も}が抜けてるんだな」
「あっ!? そういえばっ・・・あ、あははは、うおっ」
「えっと・・・もう1つは
{攻撃後はすぐ体勢を元に戻す事}でしたよね?」
『おー! ちゃ~んと覚えとったな~。
サバミソもロバやんもモブ子ちゃんも、えらいえらい。
順に誉めたるわ~(なでなで、なでなで、なでなで)』
「わーい! うおっ」
「お、おでも? 何か不思議な感じなんだな」
「あ、あはは・・・嬉しいけど照れますね」
『ちなみに、その理由まではゆっとらんかったけど。
実際やってみて、その理由わかったもんっておる~?』
「理由ですか? うおっ」
「理由・・・理由?」
「えっと、私は既に知ってますので、皆さんお先にどうぞ」
「あ! じゃあミケが・・・」
(スパーー「ドナイナットンネーン!!」ーーーーン!)
『いや、ミケが答えたらアカンやろ。
せっかく、ユキも回答譲ってくれとんのに・・・』
「(ビリビリビリビリ)あばっ!? あばばばばばっ!!!」
「ひえっ!?」
「うわぁ・・・(いつ抜いたのか見えなかったな)」
「さ、さすが、お師様の【ツッコミくん】!!(うっとり)」
「つ、つっこみ・・・? そういう名前なんだ・・・」
「この寸劇をいつも受付前でされるのですけど
職員としては少し・・・困るんですよね・・・」
「・・・おっさん。
途中で無理に~ってのは、手首とか肘への負担の話だよな?
あと、速度が落ちるし、当たった時の威力も期待できねえ。
だから、素早く戻せば、攻撃が外れたとしても
体勢が崩れる事はねえし、仕切り直せるって事だろ?」
「「「「えっ!?」」」」
「(シビシビ)あばばっ!?」
「{えっ!?}って何だよ、みんなして。
俺が答えたらそんな意外か?」
ごめん、ヤンキ! 正直、意外だった!!
いや、だってお前いっつも態度良くなかったし。
あれ?・・・でも確かに、冒険者の事に関しては
忠告とかもマジメに聞いてた・・・かも?
・・・・・・あっ!! そ、そうか!!
「そうか、そうなんだな? ヤンキ。
お前もアルファさんに誉めてほしかったんだな?
気付かなくて悪かったな?(ぽんっ)」
「えっ? いや、ちがっ・・・」
「あっ!? そ、そうだったんだ!? ヤンキさん」
「そっかそっか・・・うんうん、わかるよヤンキ!」
「ボクと同じですね! ヤンキさん!! うおっ」
「そ、そうだったんですね、ヤンキさん。
誤解していてすみません」
『お~~~~、そーやったんやな? ヤンキくん。
ちなみに、理由はそれで正解や! よー気付いたな~?
よっしゃ! じゃあ、早速・・・(わきわきわき)』
「(ずざざざっ)や、やめろっ!!!
手をわきわきさせて俺に近いてくんじゃねえっ!!」
「うふふ、これってアレですよね? リマ先輩。
素直になれない系の男子~!
照れちゃって、何だかかわい~!(くすくすくす)」
「(ぷーくすくすくす)おやおやおや~?
どうしたんです~? ヤンキ君~~。
ご主人様に誉めていただけるんですわよ~?
そんなに遠慮なさらなくても良いんですわよ~?(によによ)」
「ちっ、ちげぇええええええええ!!!?」




