17 冒険者Aさんと良い茹だな♪ グツグツ
あらすじ:大物が釣れました。
視点:アルファさんのセクハラ従者 実はタヌキ汁を免れた過去を持つ ミケニャンさん
『』:アルファさん
(グツグツグツ・・・チャプチャプ)
「はあーーーー、き”もちぃーーーー、うおっ!」
『お、おう・・・。
喜んでくれたなら何よりやわ』
「え、ええ。
端から見ててもとっても良い加減に見えますわ?」
そう・・・良い茹で加減に!!!
いきなり海から現れた彼? ですが
ご主人様がおっしゃられるには
多分【リューグー人】の子供、子魚? だそうです。
そういえば、以前にご主人様とあそこに行った際
こんな感じの人? が結構居たような気がしますね。
(ザッザッ、ジャブジャブジャブ)
『そういや、聞きそびれたんやけど
キミ、【リューグー】の子やろ?』
「あ、はい!
ボクの生まれ故郷は
おっしゃるとおり【リューグー】です、うおっ。
・・・あっ!? すみません! 申し遅れました!
ボクはミーソット一族の、サーバクンって言います、うおっ」
(ガタガタ、カタン、チャプチャプチャプチャプ)
『おー! やっぱそうか。
ふむふむ、サーバクン・ミーソットくんかー
かっこええ響きの名前やな~』
(バッシャバッシャバッシャ)
「ありがとうございます! うおっ。
そんなこと言われたの初めてで嬉しいです! うおっ」
【リューグー】ですか・・・あそこは海に沈んでますけど
実は、れっきとした{神々の創った大陸}の1つなんですよね。
まー、神々というか1柱ですけど。
確か、元は【フソウ】の【十干神】に数えられてた神様でしたっけ?
『あれは、15・6年ぐらい前やったっけなー・・・。
【五十六商会】の届け物で行った時に
色んな話聞かせてもろたな~』
(ぽいっ、ボッ、ボボボボボボッパチッパチッ)
「ミケ的には、あの大陸自体のインパクトが凄すぎましたよ。
まさか、海の中に木々が生い茂る大陸があるとは思いませんでしたわ」
『せやなー。
しかも、結界で囲まれとるから、中は普通に空気があるし。
湖と森の恵みで、食料は豊富やったしな』
「何よりもびっくりしたのは、あそこの住人って
この子みたいに、魚介の体に普通に手足があった事ですね。
半魚人とは違って、融合した姿? とでも言うんですかね?」
(ジャブジャブジャブ、ザーーーー、ジャブジャブジャブ)
『せやなー。
なあ、サーバクンくん。
聞いた話やと、キミら【リューグー人】の大半が
肺呼吸とエラ呼吸両方出来るんやろ? すごい便利やな!』
(ザバーザバー)
「あ、はい! うおっ!
ボクがお爺ちゃんに教えてもらった話ですと
昔々に神様の【キノト様】が、海中に大陸をお創りになられた時に
ご先祖様達は住人となる事を希望したので
【キノト様】は、あの大地で生きる事ができる様に
{適応化}という形で、加護を与えてくれたそうです、うおっ」
ふーむ、ミケ達も【リューグー】で同じ話を聞きましたけど
自然な形に手足が融合しており、水も陸の上も行動可能。
おまけに、知能も普通に高いから
言語だって世界共通の【神代語】が堪能にしゃべれます。
彼らは{適応化}と言ってますが
これって、普通に{進化}とか{昇華}って呼んでも
差し支えないんじゃないですかねー?
分類としては、半魚人系の【亜人】になるんでしょうけど
はっきり言って別格ですよ。
もう、完全に【リューグー人】っていう、新たな人種ですよね。
「・・・・・・あ! なるほど。
完全に人種扱いだから、さっき近付いて来た時
モンスター避けのお香も効かなかったし
ご主人様の【広範囲サーチ】にも
ミケのモンスター探知にも、引っかからなかったんですね」
『せやろな。
あそこの住人達は、【神様の奇跡】で変化したもんらしいし
もう、完全に【リューグー人】って種族なんやろな。
そりゃ、対モンスターのアイテムもスキルも効く訳無いわ~』
(ぎゅっ、ブツン、ブツンブツン、すぱーーーっ、シャッシャッ)
「例えばこの、自然の魚に見えて実はモンスターだったりする
【ファングフィッシュ】や、あっちの浅瀬から
遠目にこっちを伺ってる蛙系の【マダラフロッグ】なんかは
しっかりミケの探知にも反応してますしね。
あっ、ご主人様!?
ついでにアレも獲ってきましょうか?」
(ジャブジャブ、ぱきゅっぱきゅっ、カサカサカサ)
『ん? いや、食うもんはこんだけあるし。
別にいらんのちゃうか?
まー、あっこからこっち来るようやったら、仕留めりゃええし』
むう・・・ご主人様は微妙な反応ですね。
あの【マダラフロッグ】は蛙系のモンスター。
自然の蛙も、食べれるやつは調理次第で結構美味しいんですけど
なぜか、大きな町に住んでる人とかだと
食べれない人って意外と多いんですよね・・・、美味しいのに。
蛙って、ちょっと小骨が多くてお肉の量は少なめですが
味は脂身の無い鶏のモモ肉とほぼ同じ。
何より、弾力性のあるプリプリとした食感が良いんですよね。
【マダラフロッグ】は、見た目はモンスターっぽく斑模様なので
確かに、少し毒々しい感じがしますけど
味も食感も普通の蛙とは訳が違いますよ!
特に見た目通りでかい分、お肉の量もたっぷり!!
アレを濃い目のタレを塗って焼いたり!!!(はぁはぁ)
衣つけて油で唐揚げなんかにしたらもう!!!!(はぁはぁはぁ)
・・・・・・じゅるりっ。
「ひゃっはーーーー!!
もう我慢できませんわーーーー!!!(しゅばばっ!!)」
(しゅたたたたたたたたたたた)
「う、うおっ!?(バッシャバッシャ)」
(「死ねいっ」ザシュッ!)
(・・・・・・・しゅたたたたたたた、ドッシーーン!!)
「ふう、危ない所でした。
ご主人様! この蛙が近寄ってきましたので
ミケがさくっと仕留めてきましたよ!!?
ええ、近寄ってきましたので!!!」
『いや、今・・・まあええか。
よくやったな、ミケ(なでなで、ぽふぽふ)』
「イヤッフーーーーー!!(はぁはぁ)
もっと、もっと誉めて撫でて下さいましーーー!!?」
「・・・・う、うおっ?(ぽかーーん)」
『ああ、驚かせてすまんな、サーバクンくん。
いつもの事やから、あんまし気にせんとってなー。
とゆーか、ミケのやる事を一々気にしとったらキリ無いしなー』
「もう! ご主人様たら、そんなに誉めないで下さいよ~」
「あ・・・はい、うおっ」
むっふっふ~~、追加の美味しいおかずをゲットしただけ無く
ご主人様にも誉めて貰える・・・すばらしい!!
(ジャブジャブジャブ、ズバッバツン、ズバッバツン)
『ミケ、この蛙はブツ切りにして、照り焼きとかでもええよな?
さすがに、今からそんな手の込んだもん作るのめんどいし』
「もちろんです、ご主人様!!」
『サーバクンくんも楽しみにしといたらええわ。
この蛙モンスター、中々美味いんやで~?』
「えっ!? ボ・・ボクも頂けるんですか? うおっ。
そんな、悪いですよ!
お風呂に入れてもらっただけでもありがたいのに、うおっ」
(ザッザッ、カシャカシャッ)
『わはは! そんな遠慮せんでも、ええって、ええって。
俺らも【リューグー】では【キノト様】や【乙姫様】には
宴会でもてなしてもろたしな~。
そのお返しみたいなもんや!』
「そういえば、ミケ的に気になってたんですが
何でサーバクンさんは【リューグー】から
ここへ上陸してきたんですか?
まさか【乙姫様】に黙って来たんじゃないでしょうね?」
もし家出とか出奔とかだったら、えらい事なのですよ。
【リューグー人】は基本的に引き篭もり体質というか
大陸を創造した【キノト様】を筆頭に、娘の【乙姫様】も含めて
住人が滅多に地上へ出てくる事自体、珍しいんですよね。
そもそも、昔話によると
【キノト様】は【十干神】の1柱で{樹木を司る【乙神】}。
そして、同じく【十干神】の{樹木を司どる【甲神】}である
【キノエ様】とはご兄弟だそうです。
生真面目で勤勉な兄神と、天才肌だがズボラで面倒臭がりな弟神。
兄神は弟の為を思ってアレコレ小言を言うものの
弟神にはありがた迷惑であり、弟神はついに地上を飛び出して
兄の追ってこれない海底まで逃げたらしいです。
そこで更に、快適な引き篭もりライフを満喫する為に
【リューグー】という大陸を創ったとか何とか。
いやー・・・筋金入りの引き篭もりですねー・・・。
「い、いえっ!
ちゃんと、親族や【乙姫様】を説得しましたよ!? うおっ。
ボクは、噂でしか聞けない外の世界を実際に見て感じたい
特に、外の世界の料理には凄く興味があって
実際に色々見てみたいし、食べてみたい! うおっ。
小さい時から・・・ずっと、そう思っていまして
そして、つい先日に、条件として出されてた
{成人の儀}を終えた事で、許可を貰えましたので
ようやく、外へ出る事ができたんです!! うおっ」
「ほほー・・・、なるほど、なるほど!
あの引き篭もり体質の【リューグー】出身の割りに
珍しいと言うか、見込みのある子ですね!」
『わははは、せやなー。
ひょっとすると、サーバクンくんみたいに
最近は、そういう子も増えとるかもしれんし。
【リューグー】にとっても、ええ傾向かもしれんな。
・・・・・それにしても、【乙姫様】はまだしも。
よく、あの【キノト様】が許可出したもんやなー?』
「あ、それに関しては【乙姫様】が
{えー、外行きたいのー? んーと、外で見聞を広げる事は~
別に悪くはない・・・んじゃない・・・かな~?
あ、一応お父様の許可は・・・んーと、まあ許可とかどうでもいいか。
んー、好きにしたらいいと思うな、ふぁ~あ・・・むにゃむにゃ}
っておっしゃってまして、うおっ。
しかも、途中まで護衛の方までつけてもらえましたよ? うおっ」
「『・・・・・』」
(キュッ、ポン、トプトプトプトプ)
それって単純に、眠いし面倒臭いから手下に丸投げして放置!
・・・っていう事じゃないですかね。
あの、【乙姫様】ですよ?
父親に引けをとらない程、面倒臭がりで有名な。
『・・・まー、一応話は通ってるみたいやしええか。
さてと、蛙はしばらく酒に漬けとくとして
他のをボチボチ焼いてこかー。
サーバクンくんも、もうボチボチお湯から上がるかー?
風呂慣れしてないのに、あんまり長湯してもアレやろし。
でっかいタオルやったら、いくらでもあるから。
それで体拭いたらええわー。
ミケ、カバンから出したって~』
「かしこまりっ!」
(しゅばばばば)
『(じーーー)・・・・・・にしてもなー』
そうなんですよね、サーバクンさんは肩から上が魚。
肩から下はかなり人間っぽい姿なんですよね。
そして、彼は【聖鉄缶】のお風呂に浸かってる訳ですが
肩までたっぷりとお湯に浸かってるので
缶の上に巨大な魚の頭が飛び出てる・・・・と。
そして缶の下には焚き火、グツグツ煮えるお湯と湯気。
『火にかけた魚の缶詰・・・(ぼそっ)』
「(ひょいっ)ご主人様~。
それを言うなら、むしろ魚鍋じゃないですか?」
『・・・せやな』




