168 冒険者Aさんと新たな参加者
あらすじ:デルタさんはこれっぽっちも反省してないようです。
視点:冒険者ギルド 脱・新人受付嬢 インディアさん
『』:アルファさん
「・・・えー・・・っとぉ~?
一体、何でわた・・・あたしまで?」
「・・・まあ、そう、言いたくなるのも分かりますけど
私達職員が、実際に現場に出る事は滅多に無いですからね。
例え訓練だとしても、実際の戦闘を目で見て
肌で感じられる経験は、職員としても貴重なんですよ?
ですので、これは特別研修と思って下さい」
「はぁ・・・まぁ・・・はい」
『わははは、インちゃん、めっさ不満顔やな~。
まーまー、ええやんか。
インちゃんは、リッちゃんに期待され取るって事やで?
未来の幹部候補やな! すごいやんか。
しかも、今日は見学だけでお給料出るんやろ?』
み、未来の幹部候補!!? それ魅力!!
・・・あ、いや・・・まあ?
確かに、リマ先輩が言った通り、職員は現場に出ないから
冒険者の人達がどう戦うとか知識でしか知らないし。
それが見れるなら、貴重な経験になりますし~?
今日だけでも、朝の忙しい受付を回避できる上に
見てるだけでお給金貰えるなら、すっごいありがたい。
・・・でも、おっちゃんに見透かされてるのが
すっごい悔しい!!
あと、インちゃん言うな。
(ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ)
「うわっ!? 何本有るんですか!?
本当に人数分揃えたんですね!」
「1、2・・・・・・全部で10本とか
一体幾らかかったんだ・・・すげえな、おっさん」
え”っ!? 人数分揃えた?
おっちゃんが、次から次へと槍を取りだして並べ始めたけど
アレって、多分【ショートスピア】って槍よね?
でも、【ショートスピア】って、ショートと言っても
確か1m以上の長さじゃなかったっけ?
あの槍は1mも無いっぽいけど、そういうのも有るんだ?
・・・武器って、駆け出しやEランクが持つ様な
安めの既製品でも、確か大銅貨5・6枚ぐらいするわよね?
それを、この訓練・・・って言うか
明日のクエストの為に、わざわざ人数分揃えたの!?
・・・そっか、おっちゃん金持ちだったんだ。
玉の輿を狙うべき? ・・・うーん、狙えるかな?
でも、わたい的に、あのおっちゃんは無いのよねーーー。
「まー、有ったとしても、ミケが許しませんけどね」
「!!?」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
『よっしゃ、全員持ったかー?』
「はい」
「バッチリです」
「はい! うおっ!」
「はーい」
「は、ふぁいっ! あうう」
「はいなんだな」
「はい!」
「おう」
「は、はあ・・・」
おっちゃんに、おっちゃんの弟子になった美少女・・・。
もとい、おっちゃんの弟子になった美少女っぽいお兄さん。
アレで、わたいより年上の男性とか反則よね。
本当、冗談じゃ無いわよねー・・・男に媚びる為に
必死にオシャレ頑張ってるわたいがバカみたいじゃない?
・・・で、3人組の・・・あ、最近4人組になったんだっけ。
4人組の魔法使いくんに、魚くん。
この短い期間で、魚くんもすっかり馴染んできたわよね~。
最初はすっごいおどおどしてたのにね~。
その隣には、その4人組に加わった子、モッブコットンちゃん。
・・・わたいの担当じゃないけど、実は密かに応援してる。
今までに2回も、パーティが怪我が原因で解散。
それでもめげずに頑張ってる、わたいと同い年の子。
応援せずにはいられないわよ。
リマ先輩がおっちゃんに紹介してから、順調らしい。
その点だけはおっちゃんに感謝よね~~。
あと、リマ先輩、ナイス!!
モッブコットンちゃんの横に居る小さい子が
おっちゃんが養子にしたって子よね。
『わはは、サクは噛み噛みやな~(なでなで)』
「は、はうう・・・(照れ照れ)」
・・・・・・何アレ・・・可愛いわね。
アレは、わたいみたいに狙ってやってるわけでも
デルタみたいな、頭お花畑とも違うわね。
何と言うか・・・守ってあげたい系の萌えっ子?
あのタイプは、都会だと好かれるけど
田舎だと苛められ易いのよね・・・。
わ、わたいは優しくしてあげようかな?
あの子よりお姉ちゃんだしね! うん!
・・・で、ロバートさん。
ロバートさんかー、デルタから引き継いだ後は
本当苦労したわよねー。
最近は、ちょっと自信ついてきたのか
そんなにおどおどしなくなった・・・かな?
ま、わたいの評価に繋がるから、その調子で
もっともっと頑張ってくれてもいいのよー?
そして、4人組の戦士くんと盗賊くん・・・と。
まー、アレよね?
英雄や一角千金を夢見て田舎を飛び出してきたって
典型的なタイプの冒険者・・・多分。
わたい、あの3人の事、よく知らないしー?
見た目もパッとしないから、あんまり興味無いしね。
そして、最後にリマ先輩っと・・・。
「ええええっ!!? リマ先輩っ!?」
「何です~?
うるさいですわよ~、見学の小娘~~~」
『わははは、まーまー、えーやないか、ミケ。
それよりも、ええツッコミやったで、インちゃん!
ツッコミの才能あるんとちゃうか!?』
「そんなもの誉められても嬉しくないですっ!!」
「(ぼーぜん)・・・何でこうなっちゃったのかしら」




