164 冒険者Aさんとスキルの違い
あらすじ:【ライト】スキルは、ねっとりミルク風味の香ばしいキノコ味でした。
視点:フジョ様のお供で護衛 ビーエルさん
『』:アルファさん
「はあ~~美味しかった~~。
ご主人! 大変ごちそうさまでした!」
「(にこにこ)いえいえ、お粗末様でした。
では私は片付けをしてきますので」
・・・・・・ハァ・・・ハァ。
別の意味でもごちそうさまでした!
それはもう、大変な美味で美味で・・・。
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(カチャカチャ、ズズズーー)
『は~~~、食後のコーヒーは
やっぱし、ちょい苦めの熱々ブラックが落ち着くな~~』
「んは~~~、まったりできますわね~~~。
濃すぎてもアレですし、甘いのもアレですし」
「・・・に、苦いです、うおっ」
「こ、これは、落ち着くコーヒーなんだな~。
おでが夜勤の時に飲んだのとは、また全然違うんだな」
「(こくんっ)・・・うん、すっきりした苦味で美味しいですね。
私はコーヒーを飲む習慣はありませんでしたが
苦さや甘さ、濃さや温度で、全く別物の味になりそうですね。
お茶と同じで、飲む状況で色々試せそうなのは興味深いです」
「(ずずず)・・・ふむ、澄んだ味わいで飲みやすいのう。
これはわらわでも飲めるな、いや、むしろ好きじゃな。
・・・以前に{かふぇ}とやらで飲んだのは
ドロドロで、ただただしつこい甘さじゃったからのう」
「ま、まあまあ、フジョ様。
アレはデザートと思えば、そんなに悪くはないかと」
「あー、あの糖分の塊みたいなの飲んだんですか。
アレって何て呼ばれてるかご存知です?
うひひひ、僭越ながら、このミケがお教えしましょう!
通称{デブドリンク}ですわ!!」
「で・・・デブ・・・!? ひ、ひどい!!」
「そ、そうなのか? ビーエルよ」
た、確かに、毎日飲みでもしたら
あっという間に、デ・・・その・・・に、一直線でしょうけど。
ですけど!!! たまに飲みたくなるじゃないですか!?
デザートみたいな物ですよ、デザート!!!
『わはは、やめてさしあげろ、ミケ。
ビーエルちゃんもゆーとった通り、デザートみたいなもんやろ。
・・・ほれ、フジョ様、【フソウ】でも似たもん有るやん?
【甘味処】の甘~~~い{お抹茶}とか
とある地方名物の小豆たっぷりの{アイスミルク}とか』
(トコトコトコ、ガチャッ)
「ほーい! お願いされてた、ホットミルク持ってきたよー!」
(ゴトン、ゴトン、ゴトン)
『おお?』
「あ、多分サバミソ君は苦いのが苦手かなと思いまして
私がツリーさんにお願いしておきました。
他にも、コーヒーを割って飲みたい方も居るかもしれませんし」
「ええっ!? よ、よくわかりましたね、ユキさん、うおっ。
ボクも飲んではみましたけど、やっぱり苦手です。
ユキさん、ありがとうございます! うおっ」
「な・・・なんと言うお気遣いの人・・・。
あっ! 私のにもミルク入れてもらえますー?」
『ミルクかー・・・・・・。
そーいや、さっき【チーズフォンデュ】の時、
{スキル}の話したやろ? サバミソ』
「(ふーふー)熱っ熱っ・・・、えっ!? はい! うおっ」
『ついでに、【コモンスキル】と【クラススキル】の違いも
忘れん内に教えとくわー。
後回しにすると忘れそーやし・・・・・・この俺が!!』
・・・何でホットミルクを見て
【コモンスキル】と【クラススキル】の話になるんでしょう?
ま、まあ・・・私もその2つの違いって
せいぜい、強さの違い? ぐらいでしか知りませんし
ちょ、丁度良いですね!!
・・・たまには、冒険者として
真面目に先輩冒険者の話を聞くのも悪くないでしょ!
フジョ様の安全の為ですし、そう、フジョ様の為なんですー!
「ご主人様~、そこは自信満々に言わないで下さいよ~。
あと、そこのフジョ子のビーエルさんは
何でちょっとツンデレ風に恩着せがましく考えたんです~?
まさか、{Cランクなのに今更}とか思ったんですか~?
良いんですよ~、恥ずかしがらなくても~~(にやにや)」
「・・・あ、あうう(かああああ)」
『ほーれ、ミケ。
(わっしゃわっしゃ)ビーエルちゃんで遊んだらアカンやろ?
まー、それでやな、サバミソにロバやん。
このホットミルクの状態が、普通の【マナ】とするやろ?
世界中のどこ行ってもある普通の状態や』
「はい、ホットミルクが【マナ】ですね、うおっ」
「・・・どう言う例えじゃ。
まったく、お主の例えは、いつもそんなのばっかりじゃのう」
『でな? この【マナ】で使えるのが【コモンスキル】なんや。
だけど、さっきの【チーズフォンデュ】見たやろ?
使用する【マナ】も必要最低限だけや。
だから当然、効果も限定的やし、出力も大した事無い。
・・・ここまではええかー?』
「はい、うおっ」
「お、おでも大丈夫なんだな」
「は、はい! わかります、ととさま」
「わかったよ! わたしも、超わかった!! よーな気がする!」
「う・・・わ、わかりました(かああああ)」
『お、おおう・・・。
フジョ様は当然別として、ユキ以外は知らんかったか。
まーー、ええわ。
んで、【コモンスキル】が、便利で使い易いって事は
はっきりしたやろ? そこで神様達は応用を考えた訳や』
「うむ、【マナ】に【神力】を混ぜたのじゃ。
ほれ、このカップのホットミルクに(トクトクトク)
こうやって、コーヒーを混ぜる様にな」
『ああっ!? フジョ様にセリフ取られたっ!?』
「むっふっふっふ。
先程、ビーエルを恥ずかしがらせてくれた意趣返しじゃわい。
許せ許せ(けらけらけら)」
『わはは、むしろ説明の手間が省けたってもんですわ~。
んで、フジョ様の続きやねんけどな。
例えば、{剣を司る神様}やったらコーヒー。
{地図を司る神様}やったらハチミツ。
{炎を司る神様}やったら潰したイチゴ、みたいになー。
神様達は、それぞれ自分の得意分野を【神力】として
ミルクにま~ぜまぜして、特化用の【マナ】を作った訳やな』
「そして、その【神力】入りの【マナ】専用に設定されたスキル。
それが【クラススキル】と言われる物なんですよ。
神様の力が加わってる分、当然【コモンスキル】よりも
強力な効果が発動される訳ですね」
「「「「「ほえー(ぽかーん)」」」」」
ああ、そういう事だったんですね。
私、てっきり【コモンスキル】って
初心者用のお試しスキルかと思ってましたよ。
実際、少ないギルドポイントで修得できますし。
・・・・・・あ、あはははははは!
で、でもでも!? 知らずに使ってる人って多いはず!?
ギルドの訓練学校でも、そんなの教わらなかったですし?
「(じとーー)いやー、ビーエルさん。
あなた、神様と・・・まあ【亜神】ですけど
神様と一緒に旅してるんですから。
そのぐらいは知っておいた方が良いですわよー?」
「うっ!? うぐぐ・・・」
『まーまー、えーやないか。
今知ったんやし、それでえーやないか。
んで、そんな訳で【クラススキル】には
強力な【神様の加護】が宿っとるっちゅー訳なんやけど。
逆に問題もあるんやな、これが。
ちなみに、何かわかるかー?
ヒントは、その(ずびしっ!)ミルク入りコーヒー!
・・・あ、フジョ様とユキは答えたらアカンでー?』
「え!? うーーん、うおっ」
「問題・・・問題だか?」
「こ、ここで答えて汚名を返上しないと」
「あう・・・?」
「わかった! 超わかった!!
答えは・・・・・・、砂糖が入ってない!!」
『わはは!(なでなで)
俺好みの答えやけど残念や、エイトちゃん。
他はおらんか~? じゃあ、答えは・・・』
「(ばっ!)はい! 答えはー!
【クラススキル】は混ざったミルクコーヒー専用だから
ミルクでは使えない事です!!!」
「「「「「ほえー(ぽかーん)」」」」」
『お前が答えんのかい!? ミケ!!』
「何で掛け合い芸が始まっとるんじゃ・・・」
「まあまあ、フジョ様。
では、既にミケお姉様から答えが出ましたので
補足をさせて頂きますと、【クラススキル】が使用できるのは
{その神様が居られる、【結界】の張られた大陸内}のみ。
・・・と言う事になります」
「え? 大陸内限定? ・・・あれ?
あの・・・私、【ドラント王国】で、訓練学校を経て
冒険者になったのですけど。
その後、【フソウ】へ渡った後も【クラススキル】を
使用できましたが、それは・・・?」
私の故郷の【ランス帝国】は、【冒険者ギルド】と非常に仲が悪く。
国内に支部どころか、本部すら無いのです。
それでも、冒険者になるのが幼少からの夢だった私は
どうしてもその夢をかなえたかったので
下級貴族だった実家を飛び出し、【ドラント王国】の訓練学校へ入学。
そして、訓練学校中に{同好の士}に見せて頂いた芸術作品を知り
訓練学校卒業後に【フソウ】へ渡ったのですよね。
ああ・・・懐かしいですわ~。
あの時の芸術作品は、今でも鮮明に思い出せますわね・・・ぐふふ。
「いやーーーー、ビーエルさん。
さすがに、乙女的に{ぐふふ}はちょっとどうかと思いますわよ」
「ビーエルよ、さすがに{ぐふふ}は、わらわもどうかと思うんじゃ」
「え”え”~~~~~!?」
『ちなみに、この【オーシュトカ大陸】は【フソウ】と割と近いし。
神様同士の仲も悪くない上、両方で加護与えとる神様も居るから
【行者組合】と【冒険者ギルド】は提携関係なんや。
だから、どっちの地でも、クラスによる【神様の加護】は顕在。
【クラススキル】も使用できるって訳なんやわ』
「え、えっと、えっと・・・。
【コモンスキル】はホットミルクがあればどこでも使えて」
「えっと? そ、それよりも強力な【クラススキル】は
ミルクコーヒーが無いと使えない・・・で合ってるだか?」
「そ、そして、ミルクコーヒーはコーヒーカップ内に収まっていて
外に漏れないって事でいいんでしょうか? うおっ」
「あと、例外として、提携しているお店同士なら
同じミルクコーヒーが飲める?」
「そうですね。
纏めるとそんな感じで合ってると思いますよ、皆さん」
『わははは! 皆やるやんか。
よっしゃ順番に、サバミソ!(なでなで)』
「わ! やった! えへへへ」
『次はロバやん!(なでなで)』
「お、おでも今回はナデナデしてくれるんだか?
な、なんか、嬉しくてこそばゆいんだな」
『お次はサクやな!(なでなで)』
「(にこにこ)ふわぁ・・・」
『そして、ビーエルちゃんやな!(なでなで)』
「わ、私も!? あっ! わっ!(あわあわあわ)」
『ついでに、エイトちゃんな!(なでなで)』
「ついでなの? でも嬉しいな! 超嬉しい!!」
『よっしゃよっしゃ、じゃ、これで終了・・・』
「「「・・・・・・」」」
(クイクイッ、クイクイッ、クイクイッ)
「どうぞ、お師様!(すっ)」
「ミケもミケも!(ずいっ)」
「せっかくじゃし、わらわも!!(ずずいっ)」
『え~~~~~~!? しゃーないな~』




