150 冒険者Aさんと品種改良
あらすじ:ダンジョンは植物。
視点:Dランク冒険者 シーフLv4 ヤンキさん
『』:アルファさん
・・・マジかよ、このおっさん・・・ってか。
リーダーと知恵袋(笑)は、何で気にならねえんだ?
話の内容の方に注意が行ってるせいなのか?
『ちなみに、ダンジョンの{種}に関しては
{天然モノ}と{品種改良モノ}があるんやでー』
「な、何か、野菜の種みたいなんだな・・・」
「・・・えっと、それってどう違うんですか?」
『まー、簡単にゆーとやな。
{天然モノ}は【創造神様】が創ったもんで
{品種改良モノ}ってのは、他の神様達用に
色々と設定出来る様に改良したもんやな』
「改良? 設定???」
「んんんん!?」
何だそりゃ、天然とか品種改良とか・・・。
野菜や家畜じゃねえんだからよー。
改良? 設定? そんなのできるもんなのか?
「・・・え、えっと、つまり、訓練場の場合は
{品種改良モノ}って事で合ってますか? うおっ」
「おー! 正解ですよ、サバミソ!
今、ご主人様はミケを撫でなければいけませんので
ミケが撫でて誉めて差し上げましょう!(なでなで)
(すりすり)さあ! ご主人様もどうぞ!」
「わわっ・・・、んんん~、うおっ(にこにこ)」
『いや、ミケお前・・・、まー、別にええけどな。
(なでなで、むぎゅーー)って事でな。
{天然モノ}は、どんな風に育つかは誰にもわからん。
【マナ】を吸えば吸う程、巨大化して階層も増えてくし。
その許容量も植えてみんと、わからんらしいわ』
「(むぎゅー)ひいにょはにゃひひゃ・・・ほひゅひんはな!?
(ぱっちん)あたた、ひどいですぅご主人様~。
・・・そう言えば、聞いた話だと
植えた大陸の【マナ】を吸い上げすぎたせいで
土地が枯れて、大陸丸ごとダンジョン化しちゃったって所も
有ったらしいですわね。
で、それが原因で品種改良を試みる様になったとか何とか」
「ひえっ!? 大陸丸ごと!?」
「うーん、スケールがでかすぎて、もう想像つかないや」
おいおい、ケベック~。
知恵袋(笑)自称するなら、思考の放棄は駄目だろ。
いや、確かに大陸丸ごとダンジョンとか想像もできねえけどよ。
・・・にしても、やっぱそうなのか? そうなんだな?
『んで、ミケが先にゆーてもーたけど。
【創造神様】と神様達が協力して{種}を品種改良したらしい。
あ、いや、今も改良は続けてるってゆーとったな。
まずは、【マナ】を吸い取れる許容量の設定が最初で。
次は、地上か地中への育つ方向性を設定したらしいわ』
「まあ、際限なく、吸い上げちゃったら大変ですもんね」
「ほわー、今も改良中なんですか?
どんな感じに変わっているんですか? うおっ」
「それこそ、ギルドで使われている訓練場がそうですわね。
土地に影響しない様に、許容量は最低限で、1階層のみ。
そして、【マナ】の使用は階層の床や壁の強化と再生。
後はダンジョンの番人や罠代わりに
無限沸きの【ヘビーカカシ】を再出現する様に設置。
そんな感じの設定になってると思いますわよ?」
「ふわぁ・・・。
そ、そんな細かい設定まで出来るものなんですね?」
「あれ? そこまで設定できるのなら
人工のダンジョンもできるんじゃないですか?」
『いや、大都市なんかやと、実際にあるんやで?
例えば、【ドラント王国】やったら
【冒険者ギルド】や【冒険者訓練学校】向けに
専用のダンジョンを管理しとってな?
訓練や試験用なんかで使われたりしとるし。
他所の大陸やと、町の中心に塔型のダンジョンを設置して
町の名所にしとる所なんかも有ったなー』
「訓練学校!? そんなのがあるんだ・・・」
「ダンジョンって管理できるものなんだ?」
「ええ・・・、ダンジョンが名所~~!?」
「あー、ありましたわね、ご主人様。
確か、謳い文句が{塔の最大階層が地上100階!}
{時間によって内部構造がランダムに変化!}
{100階層攻略者には記念品を贈呈!}でしたっけ?」
「・・・何か、それだけ聞くと怪しい店みたいですね」
「100階層・・・」
「記念品て・・・」
「な、内部構造が変わるんだか!?
それじゃ、地図が意味なくなっちゃうんだな」
「何それ、すごい面白そう・・・」
いや、リーダー。
確かに話だけ聞くと面白そうだとは思うけどよ。
どのぐらいの間隔で変わるのか知らねーが
ロバのおっさんも言ったろ、地図が意味無くなるんだぞ?
しかも、それってよ。
モンスターや罠も再設置されるんじゃね?
しかも100階層もあんだろ?
普通に考えて難易度高いなんてもんじゃねえだろ?
そんなの攻略できるやつ居んのか!?
『・・・あー、そーいや、前に聞いた話やと。
通路は迷路状、階層は1階のみにして
モンスターの発生は一切無し。
時間で、素材や宝箱がランダムで湧くっちゅー。
{迷路ダンジョン型都市}を開発中らしいわ』
「あー、一昨年の【イヅモ】での宴会の時ですか?
あの時は、景品は何が妥当かとか、罠だ何だと
色々意見聞かれましたよねー、ご主人様~」
「町丸ごと迷路のダンジョン?」
「はは、よくわからないけど
何か凄そうなのは分かった・・・かな?」
「「「・・・・・・!?」」」
おいおい。
これ、もう確定的だろ!?
リーダーに知恵袋(笑)も、ちっとは疑問に思えよ。
それとも分かってて避けてんのか?
おっさんもケモ姐さんも、さっきから言ってんだろ?
{聞いた}ってな。
・・・・・・だから、誰にだよ!?
嘘だろ? まさか、神・・・。
「おほほほほ、ヤンキくーん?
あなたのような勘のいい子は
余計な詮索をしない方がよろしいですわよー?
余計な詮索はね?(にこおっ)」
「ひえっ!? あ、はい」




