15 冒険者Aさんとベテラン受付嬢は見た
あらすじ:ナニかを試される(予定)アルファさん
視点:冒険者ギルド 受付嬢 エコーさん
『』:アルファさん
・・・はーー、最後の一撃は特に凄かったなー。
先輩の後ろで見てた私でも唖然としたもの~。
アレを目の前で展開されたら・・・。
そりゃ、皆さんドン引きしちゃいますよ~。
黙々と真剣に仕事しちゃうしかないですよねー?
それにしても、ここに勤めて6年の私でも
先輩があんなに怒るのって久々に見たかなー。
私も、先輩と一緒に
何回もギルド長に改善と文句言いにいったけど
聞いてはくれても、全然実行しようとしなかったから
温厚な先輩がかなり怒り溜めてたもの~。
それでも、窓口の専用化と増設の切っ掛けが
コネで入ってきた新人の子のミスというのはアレだけど
多少強引でもようやく決定したのよね~。
さあ、その準備に入る事が出来た~と
先輩と一緒に慌しくしてたら
ノーヴェ君が来て、アレだもの~。
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(すたすたすた)
「あれ? ギルドマスターこちらにいませんでしたか?
指名のクエスト依頼書の事で・・・」
(ガヤガヤガヤ)
「あ! そっちの書類はですね!
3番のロッカーに全部入れて下さい。
そこのは・・・もう必要ないので全て処分行きで!」
「えっと、リマ先輩・・・は忙しすぎて
聞こえてないみたいですね。
あっ、エコー先輩!
ギルドマスターは居られないようですが、今どちらに?」
(ガタンガタン、ザワザワザワ)
「えーっ? あー、ノーヴェ君か~
ギルド長だったらそこにー・・・あれ~? 居ない!?
リマ先輩ぃ~! ギルド長どこか行きましたか~?」
「その机は・・・えっ! ギルド長?
あっ、机は中を空にして壁際に寄せておいて下さい。
ギルド長なら、珍しく自分から書類整理するって言い出して
部屋の中じゃ書類仕事どころじゃないから
そこのテラスでするって、さっき出て行ったわよ?」
「テラスですね? ありがとうございます」
「あ、ノーヴェさん。
私も配置の事で少し聞く事ありますので、一緒に行きます。
エコーさん! ここ少し離れますので、指示の続きお願いね?」
(ガタガタッ、すたすたすた)
「は~い! わかりましたー。
じゃあ皆さん、作業の続きいきますよ~?」
「さあ、ノーヴェさん、行きましょう」
(すたすたすたすた、ガチャッ)
(・・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・)
(バーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!)
「うひゃっ!? な・・・何、何~~?」
(ドグシャーーーーーーーゴロゴロゴロッ、ガンッ!!!!)
「ん?・・・ってあれ~? ギルド長ー?」
(ザワザワザワ)
「い、痛ぅ~~~、あた”た”た”・・・。
い、いきなりなにするんじゃ!?
なにも殴る事ないじゃ・・・・」
(ざっ、ざっ、ざっ、ざっ)
「・・・あ”っ?(ぎろり)」
「・・・ろ・・とおもうんじゃよ?」
(シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン)
「り・・・リマ・・・先輩?」
(すたすたすた・・・ぐいっ、ぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ)
「わ~お、先輩、片手で軽々とか、力持ち~~」
「うぐっぬぐぐ、ちょ・・・ちょっとまっ・・・」
「(ぎろっ)・・・ギルド長?
・・・今日の仕事の重要度わかってますよね?」
「ひぇ・・も・・もちろんじゃ・・・よ?」
「・・・じゃあ、なぜ?
書類の整理が一つも終わって無いんですか?」
(ぐぐぐぐぐぐくぎゅうっ)
「そ・・・それは、アレじゃ、アレ。
外の陽気で・・・ついウトウトと・・・な?」
「・・・書類作業中の眠気なら・・・多少は仕方ないです。
たまには、そういう事もあるでしょう」
「うぐぐ・・そ、そうじゃろ?
だ、だから、おちつい・・・ぐえっ」
(ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐうっぐぐぐぐぐっぐぐぐぐぐ)
「せ、先輩! 絞まってる、絞まってる~!」
(ぱっ、どたーーーーーっん)
「(すっ)では・・・この酒瓶は何でしょうか?
・・・おや? 封が開いてますね?
ずいぶん中身も減ってるように見えますが?」
「そ・・・それは、そのじゃな・・・(がくがくがく)」
(ぎゅぎゅぐぐぐぐっ、ぶるぶるぶるぶるぶる・・・)
「!? お、落ち着いてくださいよ先輩~!
ギ・・・ギルド長ー!
これ以上ごまかしとか逆効果ですよー!!?」
「そ、そのじゃな・・・。
昨日、お土産に良いのを貰って・・・じゃな?
夜まで我慢できんで、ついつい・・・」
(ぐぐぐっ・・・・・・どごおおおおっ!!!!)
「ウボァーーーーーーーーーーーー!!?
・・・・ご・・ごひゅっ・・・(ぴくぴくぴく)」
「せ!?・・・せんぱーい!?
ストップ、ストップ~~~~~~!!!」
「に・・・二度もぶつこたなかろ!?
嫁にも二度はぶたれた事無いのに!!」
「・・・{王都の本部よりも活気のあるギルドにしたい。
【ドラント王国】での研修時代に体験したギルドに
並ぶぐらい、人もギルドハウスも立派に育てて
いつか恩人に見てもらいたいと思っている。}
・・・開拓村にこの支部を立ち上げる際
そうおっしゃって、職員に勧誘してきたのは
あなたですよね? ギルド長?
・・・・・・もう、お忘れですか?」
「ぬ・・・むう。
いや、忘れとりゃせん・・・」
(シーーーーーーーーーーーン)
えっ~!?
何!?
この急展開なシリアス雰囲気~~!?
「(あ、あの・・・依頼書・・・。
いえ、もう少し静観しましょうか。)」
「・・・当時、所属していたパーティも解散になって
冒険者を続けるかどうするか迷っていた私に
{冒険者としての経験や、仕事に対する姿勢は非常に貴重で
経験も実績も無い新設ギルドに、是非とも欲しい人材だから
力を貸して欲しい。}とも熱心に語ってましたよね?
それで、私も冒険者を引退してここへ来たわけですが?」
「・・・うむ、そうじゃったな」
「支部立ち上げからコツコツ地道にやってきて10年。
4人からスタートした支部の職員数も、今や30人に増え。
冒険者の所属数も、依頼数も、実績にしても
王都の本部をとっくに追い越しています」
「(僕が聞いた話だと、当初はボロボロの小さな空き店舗で
冒険者も数人が拠点を移しただけだったそうですね。)」
私が入った時は、確か新築で増員~の時だったのよね~
開拓村と支部の連携がようやく軌道に乗ってきてた頃で
職員の人数も12人ぐらい居たかなー?
まあ、私と一緒に入った3人の同期の子達は
もう全員辞めちゃったけどねー。
「そして、ここ2年程でさらに活気が出てきたおかげで
漸く・・・漸くですよ?
ギルド長が目標にしている規模へ。
少しでも近付く絶好の機会なんですよ?
ギルド長の本懐だったんじゃないんですか?
貴方が本気でやらないでどうするんですか?
・・・それとも・・・もういいんですか?」
「・・・・・・・・・そうじゃったな。
俺が周りを巻き込んでやり始めたもんじゃものな」
「・・・ふう~、これで一件落着ですか~?
もう、すっごい緊張しましたよー」
(ホッ、ザワザワザワ、フウッ、ザワザワ)
「う・・うむ? 皆も、スマンな。
じゃあ、ギルド会館のリニューアルに合わせて
明日から心機一転といくかのう」
「え? ダメです」
「えっ?」
「何を寝ぼけた事をおっしゃってるんですか?
今からに決まってるでしょう?」
「いや、わかっとるよ? わかってはいるんじゃよ?
でものう、ほら!
気分の切り替えというか・・・あるじゃろ?
な? そんな急にはごにょごにょ」
(どごぉおおおおおん!!!!!!!!!)
「・・・好きなだけ寝てろっ! (#○_○)ビキビキ」
(ヒィッ、ガクガクガクガクガタガタガタガタ)
「ところで、ノーヴェさん
先程、依頼書って言ってませんでしたか?」
「え? あ、はい」
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いやー、さすが先輩。
さすが元冒険者って感じですねー。
前の2発はかなり手加減してたって事ですよね~。
やっぱり。
そういえば、前に先輩とご飯行った時に
冒険者としてのランクはDランクって聞きましたけど
クラスまでは聞いてなかったんですよねー。
てっきり後衛の支援系クラスかと思ってましたけど
案外、前衛の戦士系だったりして~。
・・・今度聞いてみようっとー。
・・・・・・それにしても、ノーヴェ君って
絶対男の人、特におじさんとか好きっぽいよね~アレ。
しかも総受けっぽい?
アルファさんとか、窓口で応対してるの見たら
明らかよね~?
口調はいつもより丁寧で口数多くなってるし~。
微かに頬を染めてるし~、目もうっとりしてるし~。
あれって、絶対期待してるメスの顔だよね~?
・・・女性には一発で分かっちゃうぐらい。
でも、見てて私が面白いとおもっちゃったのは
彼がアルファさんと応対してる時って
すっごい濃厚な雰囲気出てるからかな?
他の男性の冒険者さん達は、身の危険を感じてるのか
窓口に寄りたがらないって所よね~。
しかも、一部の女性の冒険者さん達だけでなく
一部の女性職員達もなんだけど
遠目から頬染めてガン見してる事よね~。
男性達はともかく。
アレって多分、【フソウ】発祥のアレの影響よね~。
私にはイマイチ理解できない世界だけど。
アレ好きな女性って最近すっごい増えてる気がするな~?
なんでだろう、何かの影響?
アレって病気みたいに感染でもするものなのかな~?




