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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
134/401

134 冒険者Aさんとすき焼きの締め

あらすじ:雛鳥にえさをやる親鳥のごとく。


視点:策士! ミケニャンさん

『』:アルファさん


 ぬっふっふっふ。


 サバミソを保護した時ぐらいから


 ご主人様が、前みたいに色々構ってくれるようになって


 ユキさんの弟子入りと、今回のサクさんで駄目押しですわね!


 便乗して甘えたい放題ですわ!!


 素晴らしい!!!!!



「あ、アルさん、【闘鴨】って何なのかな?

 闘って事は、【闘犬】みたいに、な、何かを闘わせるんだか?」


『せやでー、ロバやん。

 【闘犬】とか【闘鶏】とか【闘牛】とかその類やわ。

 【フソウ】の【ヘイアンの都】にはな

 元々、カラフルな水鳥の鴨ってのがようさん居るんやけど

 その鴨を、たっぷりの飯と運動で大きく育てて

 鴨同士で闘わせる見世物というか賭け事やな』


「うむ、【闘犬】などは、民間で好きに開催しても良いのだが

 鴨は【ヘイアンの都】の名物というか、象徴的な水鳥なのでな

 【闘鴨】だけは、朝廷が主動で開催しておるのだよ。

 上も下も一緒に楽しめる催しとして人気だな」


「【闘鴨】かぁ、俺もよく行ったもんだぜ。

 ま、見てるだけでも面白ぇしな!」


「ちなみに、【闘鴨】は登録制なんですよ。

 冒険者みたいに、体格や勝率でランク付けされてましてね。

 それが対戦時の掛け率の基準になるんですけど

 掛け金は上限額が決まってて、当たった際の配当金も

 最低でも2倍以上に設定されてます。

 まー、だから、当たればそれなりに儲けられて

 大損もさせにくい・・・と、うまい事やってますわよねー」



 ま、それでも、賭け事には違いないので


 身を持ち崩す人は、当然居るんですけどねー。


 借金まみれの人は、朝廷の施設で強制労働。


 資金も労働力も得られて、娯楽で民衆の不満も散らせる。


 朝廷は1粒で2度も3度もおいしいわけですよ。


 おかげで、その仕組みができてから、わずか20年程で


 常に金欠だった朝廷の国家も潤ってきて


 民衆からの支持も上がったそうじゃないですか。


 おまけに【西フソウ】では【闘鴨】を専門で育ててる牧場や


 専属のトレーナーなんかも居ますしね。


 この仕組み考えた人は、本当よく考えつきましたわねー。



『せやろ?』


「へっ!?」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「(もっきゅもっきゅ)にゃるほろ!

 ・・・・・・。(ごっきゅん)

 お店で売ってる【闘鴨】のお肉って

 【闘鴨】としてデビューでけへんかった子なんや。

 そっかー・・・(もっきゅもっきゅもっきゅ)」


「まあな、さすがに現役のやつを食ったりはしねぇし。

 引退したやつとか完全に筋張ってるだろうからな。

 それに、頑張ったやつらを食うのは人情的になぁ・・・」


「まあ、戦闘向きの種類とは言え、鴨は鴨だからのう。

 どっちかと言うと、性格は温厚だしな。

 主に牧場で闘えないと判断した鴨が食用になっておるな」


「ふーん、鴨さんも大変やね(もっきゅもっきゅ)

 (ごくんっ)あっ!? もう空になりますわ!?」


「ユミネさん。

 あなた、まだ食べる気満々なんですわね・・・」


「はは・・・相変わらずの食欲ですね。

 どうしましょうか? 私が何か作りましょうか?」


「いえ、必要ありませんわ、ユキさん」


「え~~・・・そんにゃ~(がっくり)」


「これこれ、ユミネよ。

 あまり、がっつくものではないぞ」


「まー、そんなに気を落とさないでくださいな。

 ご主人様が戻られたら、締めを作って頂きますので」


「(ばっ!)締めっ!!!?」


(すたすたすたすた)


「おっ、噂をすれば、戻ってきたみてぇだな」


(ガチャッ)


「お帰りなさいませ、ご主人様、ツリーさん」


『おー、年少組は寝かせて来たでー。

 おっ! 丁度、鍋の具も空になったみたいやし

 そんじゃ、締めといこかー』


「おっ! いいねえ。

 締めと言えば{おじや}か?」


「いやいや、【すき焼き】の締めと言えば

 やはり{うどん}だろう」


「「・・・・・・」」


「はいはい、そんなのどっちでもいいですわー。

 こんな所で大人気無い真似しないでくださいまし。

 それにどちらも違いますので、少しお待ちくださいな」


「うむ、すまないなトウタロウ君」


「ああ、こっちもすまねえな、ゲンさん」



 まったく・・・【フソウ人】はこれだから。


 食に対する主張や願望が強すぎるのも困ったものですわね。


 ・・・ちなみに、ミケは締めと言えば


 やはり、{米粉の麺}ですわね。


 たっぷりと汁を吸って半透明になった{米粉の麺}が


 ほどよく、ぷるんぷるんになったのが好きなんですよね~。


 ご主人様は何を締めで使われるんでしょうか。



『わははは。

 まあ、みんなすまんけど、今日の締めはこれなんや』


「これって・・・お豆腐?

 しかも【木綿豆腐】ですか? おじさま」


『せやでー。

 これを(ひょいひょい、グッシャグッシャ)こうやって

 ぐしゃぐしゃにほぐしてなー(ドザーーーーー)

 上に細かく切ったおネギたっぷり乗っけてな。

 (トロトロトロ~~~)たっぷり卵かけんねん。

 これで蓋して、軽く煮立ったら完成やな』



 ああ・・・そう言えばそうでしたわ。


 最近は【すき焼き】はともかく


 この締めをされてなかったので


 ミケも少し忘れてましたわ。


 ・・・・・・何年振りでしょうかね?



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




『お! もうええやろ。

 さあ! そんじゃ締めを食おかー!』


(カパッ、フワッ、クツクツクツクツ)


「ほわあ・・・全体的にふわふわなんだな!」


「わあ!? これも美味しそう!

 おじさま、この料理には名前付いてるんですか?」


『名前? いやぁ、特に無いなー。

 店でこんなん作ってるとこも見たこと無いしなぁ』


「まあまあ、ユミネさん。

 いわゆる「ご主人様の、思い出の一品」って感じの

 ご家庭料理なんですわー。

 名前なんてどうでも良いじゃありませんか~」


「(じーーー)・・・ああ、なるほど。

 この料理がお師様の・・・・・・」



 あー、さすがにご主人様マニアにはわかっちゃいますか。


 どこから、そういう知識を得てくるんでしょうかねー。


 本当、色々な意味で侮れない子ですわ。


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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