132 冒険者Aさんとじーさん to じーさん
あらすじ:回し焼きの最中に、オリーブオイルやピーナッツオイルを塗る手法もあります。
視点:タンゴの町 猟師&薬師 トロットさん
『』:アルファさん
(カロンッ、トクトクトク)
「(ごきゅごきゅごきゅ)ぷはぁあ~~~~!
う~~~い! この酒は効くのう~~~~!!」
「まあな。
だが、効くだけじゃなくて、香りも良いじゃろう?」
「おお! 確かにな!
これは港の露店で買ったのか?」
(トクトクトクトク)
「(ごくごく)っくぁあ~~!
ふぃい・・・いや、これはアルファの坊主に頼んだ奴じゃわ。
【フソウ】でしか作ってないらしくての。
わざわざ取り寄せてもらったんじゃ」
「ほう、ワシも今度頼んでみようかのう?」
「ん? お前も要るなら、一緒に頼んでおくぞ?
これはお試しに取り寄せた奴じゃから
どの道、今度まとめて頼むつもりじゃしなー」
「おお! ぜひ頼むわ!」
(トクトクトク)
「(ごっきゅごっきゅ)くっはぁ~~~。
それにしても、あの坊主がなあ・・・。
のう、トロットよ、覚えとるじゃろ?」
「あん? 何がじゃ」
「いやな?
開拓時代にワシら、あやつに何回か会った事あったじゃろ?
ほれ、あの無表情な坊主じゃわい」
・・・ん? 会った事あったか?
開拓時代に・・・? うーむ、覚えておらんのう。
そもそも、何で開拓時代に?
「ぬ? 本当にワシも会っとるのか?
全く覚えておらんのじゃが・・・?」
(コトン、カロロン)
「ぬ?
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・あ、すまん。
お前は会っとらんかったかも」
「なんじゃそりゃ!
・・・で? どこで会ったんじゃ?」
「おお、あれは大体30年ぐらい前じゃったわ」
「30年前じゃと? ・・・その頃だと・・・。
丁度、村から町になった頃か?」
「そうじゃそうじゃ。
あの頃、丁度、港を作る計画しとったが
どう作ったもんか、困っとった時じゃわ」
「ああ、あの時か。
その時にあやつに会ったのか?」
・・・そんな時に、どこで会うたんじゃ。
当時、開拓村から発展して、住民も一気に増えた頃じゃし。
だが、あやつはこの町出身じゃなかろ。
その時の流民かなんかで会っているのかのう?
・・・・・・ん? まてよ?
あやつ、そもそも【五十六商会】の者じゃよな。
「・・・ゼーロよう、1つ思い出したんじゃが。
あの時、港が一気に計画から完成まで漕ぎつけたのって
確か、ゴロウさんが来て、大判振る舞いしてくれたとか
言っとらんかったか?」
「おお、覚えとったか。
そうじゃ、その通りじゃ。
あの時、丁度、お願いしとった工具と資材を届けに来てくれててな。
それで、ワシらが頭を悩ませてるのを見たゴロウさんが
色々と相談に乗ってくれた上に、頼んでいた物とは別に
大量の資材やら何やらくれたのよ。
利益もへったくれもない大盤振る舞いじゃったわ」
「ほう、そんな事があったんかい。
ワシはその頃、畑やら牧場やら作る為に
山の方の開拓で手一杯じゃったしなあ・・・。
だが、なんでゴロウさんはそんな事してくれたんじゃ?
あの人も一応、商売でやっておったんじゃろ?」
(カラン、トクトクトク)
「(ごっきゅごっきゅごっきゅ)ぷは~~かぁあ~~!!
・・・おう、確かにいつも利益は重視しとらんかったし
多少なら、いつもありがたいで済んどったんじゃが
さすがに量が莫大でなあ・・・。
ワシもそこが不思議じゃったんで聞いてみたのよ」
「ほう? そしたら何じゃと?(すっ、じーーーー)
・・・む、空じゃぞ? ゼーロよ、もう無いのか?」
(ゴソゴソ、ドンッ!)
「それはもう無いから、こっちを飲んだらいいわい。
こっちはこっちで美味いぞ?
・・・それでじゃな、ゴロウさんの答えがこうじゃった」
(キュポン、トクトクトク)
「(ごくごく)はふっ! おあっ!?
かぁああ~~、こいつぁきついのう!?
おお、何と言っとったんじゃ?」
「それが、ゴロウさんな、小躍りしながら
{拾って養子にしたこの子が、初めて俺の事を父ちゃんと
呼んでくれたんだ!}って言っとったんじゃよな。
その記念に幸せのおすそ分けじゃとよ」
「は? ・・・ああ、なるほど。
その時、アルファのやつも居ったんじゃな?」
なるほどのう。
そう言えば、当時。
ゴロウさんが子供連れて来たとか何とか聞いた事あったわ。
確か、その次の次ぐらいでゴロウさんは来れなくなったんじゃよな。
まあ、あの人も、いくら頑丈で元気とは言っても年が年じゃったし。
こんな辺鄙な所まで来るのは大変じゃったろう。
あの人が居らんかったら、町どころか
開拓の時点で、ワシら完全に詰んどったわい。
ワシらにとっては、本当、恩人だったんじゃよなぁ。
それにしても、あやつも養子にした子に父と呼ばれて・・・か。
変な所で、妙に縁があるやつじゃな、あやつ。
「ふぁっふぁっふぁっ。
同じ理由で大盤振る舞いとは
血は争えんのう!!!」
「養子じゃから血は繋がっておらんぞ?」




