13 冒険者Aさんとじーさんは二度死ぬ
あらすじ:走れ・・・走りきったじーさん
視点:こっそりご主人様に何かしてるらしい従者 大妖狸ミケニャンさん
『』:アルファさん
・・・あー、何事かと思いましたが
{アホのじーさん}ことブラボー氏ですか。
ノックしても、返事する前にいきなりドア開けたら
びっくりするじゃないですか、やれやれですよ。
『おお!? ・・・ブラボーのじーさんか~。
そんな急いだら、びっくりするやん』
「ア・・・ゲフンゲフン、ブラボーさん!
ドアは静かに開けて下さいませ」
「う・・うむ!?(ぜひ~ぜひ~ぜひ~)
ス・・マン!!(ぜは~ぜは~)
そ・・それよりもだ!
俺の分の【ワイルドボアのハンバーグ】は
ど・・どこじゃ!?
もちろん、あるんじゃろ!?」
それにしても・・・
何で、額に布巾当ててるんでしょうね。
まさか、急いで近道しようとして
狭い路地走り抜けてたら足元しか見てなくて
頭を看板にでもぶつけて、ひっくり返った所を
物音にびっくりしたご近所の人に助けられて
冷水浸した布巾でも貸してもらったんですかね?
ハハッ、まさかそんな訳ないですよね。
いくら{アホのじーさん}とは言え。
どうせ、運動不足で走ったから
吹き出る汗を拭ってるだけでしょう。
『わはは。
はいはい、もちろんやんか。
ちゃ~んと、別に分けといたから安心してな~。
ほら、そっちに・・・(クイッ)』
「おお!! そうかそうか、良かった。
急いだ甲斐が・・・・・・・」
「? (・ω・)モッシャモッシャモッシャ」
『・・・・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(ばたーーーーーーーーん!!!!)
「ああっ!? アホのじーさーーーーん!!!??」
し・・・・死んでる!!
「(むくりっ)いや、死んどらんし」
「心の声に反応しないで下さいよ」
「そんな事は知らん!
それに、誰がアホのじーさんじゃ!?」
チッ! 聞こえてやがりましたか。
頭はボケてても耳はボケて無いみたいですね。
「誰がボケじじいじゃ!」
「な・・なん・・だと!?」
『【フソウ漫才】はもうええっちゅうねん』
さすがはご主人様
絶妙なタイミングで、不毛な争いになっているのを
ピシャリと締めて下さいましたよ。
・・・・・・まーーー、今はそんな事よりも!
「おいコラ、そこのヒゲロリーフ
あなた、何勝手に食べてるんですか!?」
「えっ!?
これって(もぐもぐもぐ)
余ってたやつじゃ(ごくんっ)ないの?」
「お・・・俺の晩飯が・・・。
俺のハンバーグ様が・・・・・・。
ぐふうっ!(ばたーーーん!!)」
『いやー、エッちゃん。
たとえ余ってたにしろ。
勝手に食うのは、さすがにあかんやろ?』
「ぐぬぬぬ・・・・!!?
俺をいきなり斧で脅しただけじゃのうて
本当に殴り倒して気絶させた上
楽しみにしてた俺のハンバーグ様まで喰らう始末!!
ぜったいにゆるさんぞ! このヒゲ娘め!!
じわじわとクエスト査定を低く見積もってやるわ!!!」
「・・・地味に嫌ないやがらせですねー」
「へっ? 何のこと?」
{職権乱用じーさん}はともかく。
このワンコ、どーせ、情報聞き出した瞬間。
このじーさんの事なんか頭からすっ飛んで。
慌てて飛び出そうとした結果、斧がじーさんを直撃。
・・・で、伸びたじーさん放ったらかして
ここへ突撃・・・って感じですかね?
ふーむ・・・本人に悪気は無いんでしょうけどねー。
あまりにも(おつむが)残念すぎますわね・・・。
『・・・こんな事もあろうかと準備しておいたんだが』
(ごそごそごそ・・・ガサッ)
「ぬ!? むむむ!!?
その【聖鉄紙】の塊はなんじゃ?
・・・そ、その中身は ま さ か !?」
『せやでー、安心しーや、じーさん。
これは【ワイルドボアのハンバーグ】の{たね}や。
こうゆー事態は、俺も予想しとったしな。
これに大き目の{たね}4つ入れてあるわ。
家持って帰って、嫁さんに焼いてもらい~。
じーさんも最近忙しかったやろしな。
家でゆっくり味わえるようにしといたで~』
「(´;ω;`)(ブワッ)」
「うわっ・・号泣しやがりましたよ、このじーさん」
『ま、俺らも何だかんだで
じーさんには世話になってるしなー。
せや、付け合せ用の野菜もまだあるし。
ついでに一緒に渡しとこか』
「(わくわく)ねえねえ!
今からそれも焼くの!!?」
「『焼かねーよ!!!』」




