12 冒険者Aさんと間にあわなくなってもしらんぞーっ!!
あらすじ:ヒゲワンコ無双
視点:謎の走るじーさん
『』:アルファさん
(だだだだっ、たったったったっ・・・)
ハアハア・・・キ・・・キツイ・・・。
さ・・・さすがに年か?
いや! 俺もまだまだ若いはず。
単に運動不足なだけじゃな、うむ。
だが、そんな事よりも、今はとにかく急がねばならん!
走るのじゃ! 信じているから走るのじゃ!
間に合う、間に合わぬは問題ではな・・・いや大問題じゃ!!
今、急いでる理由以外、知ったこっちゃない。
俺は、執務室に山積みの書類や、苦情の処理なんかより
もっと大きいもののために走っているのじゃ!!!
(だっだっだっ・・・・だんっだんっだんっ・・・)
「よお~~、ご同輩~
珍しく急いで、ど~~したんじゃ~~?」
「どうしたもこうしたもあるか!
急いどるんじゃ、見りゃわかるじゃろ!」
「なんじゃ、そんな慌てて。
おお、そうじゃ良いお茶が入ったんじゃが、飲んでくかの?」
「急いでるとゆっとるじゃろが!?
今度な! 今度。
明日・・は無理じゃから明後日にでも飲みに来るわい!」
「おお~、そうか~じゃあ茶菓子でも用意して待っとるわ~」
くっ! 余計な時間を取った。
こっちは急いどるというのにタイミングの悪い奴じゃな。
それにしても良い茶か。
こっちも何か茶請けを用意していくか?
・・・おお!? しまった、そんな事より早く行かねば!!
(たたたた・・・だだだだだだっ・・・ザッ)
よし! この角を曲がれば近道があったはずじゃ。
「おっと!?
急に飛び出してきたら危ねえじゃねえか」
むう、いかんいかん。
焦って出会い頭でぶつかる所じゃったわい。
いくら急いでても
俺が一般の人に怪我させたらまずいしのう。
「うむ、ほんにスマンかったの!
では、急いどるのでな!」
「おお、珍しく急いでるみたいだけど
この奥の通路は狭くて暗いから、足元にも気をつけてなー!」
「うむ、忠告感謝じゃ」
(ガサガサガサ・・・とっとっ・・どっどっどっど)
よし! ここを抜ければ・・・。
もう、目と鼻の先じゃ!!
(ガンッッッツ!!!!!!)
!!?・・・ぐ!?・・・・あ”っ!!??
(ずしゃーーーーガタタン、ガシャーーーン)
(・・・・・どたどたどたどた・・・ガチャッ)
「おいおい! 何かすげえ音がしたけど大丈夫か!?」
ぐぅ・・・な・・・なにがおきた・・・んじゃ。
目の前が・・・・ちかちか・・・する・・・わい。
「あーー、通用口の看板に頭ぶつけたんだな。
おいおい、こんな暗いとこで急いだら危ねえぜー」
「うぐ、う・・うむ、すまんな。
ちょ・・・ちょっと手を貸してもらえるかの?」
「おお! ちょっと待ってな!
・・・・よっ! ほらよっ」
「やれやれ・・・助かったわい、すまんかったのう。
急いでて足元しか見とらんかったわい」
「ありゃ? ギルドのじっさまじゃないか。
この辺通るのは珍しいな」
「うむ、ちょっと緊急の用事でのう。
急ぎだったんで近道を・・・と思ったんじゃが
えらい目に遭うたわい」
「お? 緊急なのか、そりゃ大変だ!
少しだけ待っててくれよ。
(どすどすどす・・・ガサガサ・・ザブッ)
(どすどすどす)ほら、じっさま!
この冷たい布巾をぶつけたトコに当てときな。
布巾は今度また暇な時にでも返してくれればいいからよ」
「おお、助かる。
重ね重ねスマンのう。
じゃあ、俺は急ぐからもう行かせてもらうぞい。
布巾はまた返しに来るでな」
「ああ、気をつけてなー。
・・・いやぁ、じっさまがこんなに急いでる所とか珍しい」
(すたすたすた・・・・たたたっ、だっだっだっだっ)
うーむ、イカンイカン
近道のつもりが余計に時間を食うてしまったのう。
それにしても、思いっきりぶつけたが
まさか血とか出とらんじゃろうな・・・?
冷たい布巾のおかげで痛さとかはあまり感じんが
この緊急事態の一大事にえらいタイムロスじゃわい。
(だっだっだっだっだっだっだっ!!!!)
よし! 見えた!!
ふう・・・こんな急いで走ったのとか
ほんに久々じゃわい。
・・・それにしても、会う奴、会う奴が尽く皆
口々に{珍しく}と口にするのが、少し癪じゃのう。
まあ・・・自分でもそう思い当たる節があるから
確かに仕方ないかもしれん。
だが、コレだけ走れるって事は
俺もまだまだ若いって事じゃな。
・・・・・・うむ!! ようやく着いたわい!
(すたすたすた・・・コンコンドンドンドン、ガチャッ)
(バーーーーーーーーーーーーーン!!!!!)
「俺のハンバーグはどこじゃーーーーーー!!!!?」




