118 冒険者Aさんと母上~~~!!
あらすじ:討伐が終わったら小宴会がデフォです。
視点:上級行者 ニンジャLv8 チヨさん
『』:アルファさん
「「母上! 今戻りましたでござる!」」
「あら~、お帰りなさい、クニちゃんシゲちゃん」
「おや!? お帰りなさい! クニちゃんにシゲ君!
何でも{討伐クエスト}に同行されたとか?(ばいんばいーん)」
・・・ふむふむ。
マリちゃんが教導の為に、この【タンゴの町】へ
臨時のサブギルドマスターとして招聘されたから
私は一足先に現地入りして、王都でもある【キロの町】へ
色々と調査しに行っていたんだけど。
この町へ戻ってきて合流してみれば
ユキちゃんは{アルファさんの弟子}という
以前からの希望がやっと叶ってて実にめでたいわね。
そして、以前から少し問題有るかな? と思っていた
クニちゃんとシゲ君だったけど、帰ってきた顔を見る限り
中々、良い表情になってるじゃないですか!?
うんうん! どうやら良い経験をしてきたみたいね。
「あ! お帰りなさいでござる、おチヨ殿っ!!」
「(かああっ)お、お、お帰りなさいでござる! おチヨ殿!!
もう王都から戻ってきてたんですね!?
お役目、本当にお疲れ様でござる~~(ちらっちらっ)」
「あははは!(ぶるんぶるん)
2人共、相変わらずお元気ですねっ!(むちむちーん)」
「・・・はっ!! そうだ! は、ははうえ、母上っ!!」
「・・・はっ!! そうそう、母上っ!! お聞きしたい事がっ!!」
「あらあら~。
とりあえず、落ち着きなさい2人共~。
お茶でも飲んで一服してから、ゆっくり話してくれるかしら」
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▽
「マリちゃん、これって・・・」
・・・・・・うん。
要は、落ち着いて対処するという事と、構えは小さく自然に。
理想としては、最後まで攻撃気配を悟らせずに仕留める。
武に身を置く者としては当然よね・・・・・・当然なんだけど。
これはむしろ、マリちゃんや私の責任よね?
たまに、2人に稽古つけてあげた時は、大体興が乗ってて
派手な演劇のような大立ち回りで相手してたから
そっちを目標にしちゃった可能性が・・・。
この年頃の子達だと、やっぱり、地味で堅実な戦い方よりは
主役的な、派手で格好良い見た目を選んじゃうわよね・・・。
うーん、ユキちゃんは理解してたから、私達も油断してたわ。
「あら~~、多分そうね~、チヨちゃん。
2人共、ごめんなさいね~。
それはね? アルファさんの言う通りなのよ~」
「ええーーーー・・・」
「・・・やはり、そうなのでござるか」
「えーっと、そうねぇ。
何て話せばいいかしら~」
「あははは! では、私が説明しましょうか。
私自身の腕前は、一流に届いてませんけど
見て分析するのは専門ですからね!(ばるんばるーん)
天才肌で感覚派なマリちゃんよりは、うまく説明できるかな」
「(でれっ)お、お願いしますっ、おチヨ殿っ(ふんすふんす)」
「うーー・・・お願いします」
「あらあら~。
じゃあ、お願いするわね、チヨちゃん」
「では・・・おほん! お2人共。
例えば、達人同士の戦いとは、どの様なものだと思いますか?」
「えっ? ・・・つ、強い方が勝つ!!?」
「達人同士・・・一撃必殺でござるか?」
「あらあら、うふふふ(くすくす)」
「・・・答えはね、読み合いなの」
「「読み合い?」」
「そうよ~? シゲちゃん、クニちゃん。
一手読み間違えれば、即、致命傷。
・・・あら? そういう意味では
一撃必殺も間違いと言う訳じゃないのかしら~」
「一撃必殺・・・」
「どんな達人だったとしてもね?
人間の動体視力や反応速度には限界があるわ。
実際にね、振られた武器だけを見て避けるなんて
人間には到底無理なのよ。
ま、神様や他種族だったら限界はもっと先かもしれないけどね?」
「えっ!?
それは、母上でも無理なのでござるかっ!?」
「それはそうよ~。
あなた達のお母さんは、普通の人間なのよ~?」
「・・・母上は絶対に普通では無いと思うのでござる」
「で、ですが、母上達は、攻撃を見てから回避してるでござるよね?」
「それは、シゲ君。(ばい~~~ん)
武器を直接見てる訳では無いの。
武器と武器を振る体の動きから、予測して避けてるのよね」
「よ、予測?(あわわわわ)」
「そうよ~?
相手の構え、攻撃方法からだけでも
どこをどう狙ってくるか、ある程度分かるでしょ?
例えば、シゲちゃん。
相手が正眼に構えて、大きく右上段で振りかぶったら?」
「・・・あ・・・た、確かに。
当たる範囲は大体予測できるでござる、母上」
「つまりはそういう事なのよ、シゲ君にクニちゃん。
さらに細かく突き詰めるなら、相手の体の向きや踏み込んだ足。
肩や腕の動きに目線なんか、分かり易い情報源よね?(ぼいんっ)
そして、相手の武器の形状、間合いが分かっているのなら?
これだけ揃っていたら、避けれない方が不思議なぐらいよね?
達人になればなるほど、そういった相手の情報の読み合いになるの」
「な、なるほど!
確かに母上や、おチヨ殿の言われる通りでござる!(ちらっちらっ)」
「う・・・確かに・・・」
まあ、本当の達人同士だと、一撃、二撃で必殺は当たり前。
攻撃が当たっても外れても隙ができるから
一手の読み違いが命取り。
だから、さらに一段先、攻撃気配自体の読み合いに変わるのよね。
最も、私はそこまでの領域に達してないし
達したいとも思わないのだけどね・・・心臓に悪いし。
「うふふふ。
チヨちゃんが説明してくれた通りよ? 2人共~。
だから本来は、相手に自分の情報を与えない為にも
自然に動いて、構えも極力小さくするのよ~。
自分は手の内を見せず、逆に相手の手の内を読むの。
・・・・・・あっ!
ちなみに、相手が人間じゃなくても同じよ?
相手が例え、亜人でもモンスターでも神様でも同じ。
相手を刺激しない様に自然に動いて
相手がこちらの攻撃気配に気付く前にズンバラリン~。
どう? これで、疑問は納得できたかしら?」
「はい、母上! ん? 神様?」
「あ、はい! ・・・え、神様?」
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▽
「ところで、2人共、明日はどうするの~?
私もチヨちゃんも午後は空いてるし
訓練所借りて、訓練でもしてみる?」
「それも良いわね、マリちゃん。
{鉄は熱い内に打て}って言うし
せっかく、やる気になってる今なら
身に付き易いだろうしね?(ぼい~~ん)」
「・・・あっ、も、申し訳ありません、母上におチヨ殿。
伝えるのを忘れてましたが、明日は予定が・・・」
「母上、おチヨ殿、すみませんが
明日は、剥ぎ取って暖かいコートを入手するのでござる!」
「え? コート? 入手? クニちゃん???
・・・あらあら~、シゲちゃん、どういう事?」
「あ、えーっとですね、母上。
今日討伐したモンスターの毛皮がですね。
コートや手袋などに向いているという事でして
せっかくなので、素材はギルドに納品せず
直接工房へ持ち込むことになったのでござるよ」
「あらあら、うんうん」
「それで、剥ぎ取って入手してゲットなのでござる!(ふんすっ)」
「・・・えっと? シゲ君?(たゆんたゆ~ん)」
う、うーーーーん・・・・・・クニちゃんは相変わらずね。
困った所がある2人だけど、シゲ君の方はまだ見込み有りかな。
こうやって、クニちゃんの抑えと要訳で鍛えられてるっぽいし。
・・・・・・それにしても、シゲ君って、私が苦手なのかな?
いつも、ちらちら見るだけで、目を合わせてくれないし。
目が合ったら合ったで、顔真っ赤にして目を逸らしちゃうし?
「(ちらちらっ)え、えっと、それは・・・」