105 冒険者Aさんとごほーこく ③
あらすじ:芋ようかんには、こし餡ではなく、ざく切りにした甘露煮が入ってます。
視点:まだ魔法の練習をした事がなかったソーサラー サーバクン・ミーソットさん
『』:アルファさん
「えっと、つまり、後ろ足で立ち上がった大型犬が
ブンブンと武器を振り回してくるんですか? うおっ」
「(もぎゅもぎゅ)がっふがっふがっふ!(もぎゅもぎゅ)」
「大型犬・・・動物のモンスターって、どれも素早いですし
武器も使ってくるなら【ゴブリン】や【オーク】よりも
厄介そうに聞こえるんですけど?」
『せやな、モブ子ちゃん。
それだけ聞いたら、普通は強そうって思うやろ?
でもな、脅威度はその2つと同じ程度なんやわ、これが』
「「「???」」」
うーん、僕は【ゴブリン】や【オーク】という
モンスター自体知りませんので、比較が分からないんですよね。
でも、【リューグー】の中でも、姿が人族寄りな人よりも
魚や海の生物寄りな人の方が、水の中では素早く動けてたし
そういう事なのかな?
「(むしゃりむしゃり)はぐはぐはぐはぐ、んごww!?」
「(コポコポ・・・)はい、ミケお姉様。
どうぞ、お水です。(さっ)」
『えっとなー、じゃあモブ子ちゃんに質問や!
そこら辺に居る犬が後ろ足で立ったとするやろ?』
「はい、いわゆる{ちんちんのポーズ}ですね?」
「(ごくごくごく)・・・ふう。
た、助かりましたよユキさん。
・・・それにしても、ご主人様、さすがです!
会話からの極自然な流れで
卑猥な単語を、いたいけな少女の口から言わせるだなんて!!
このミケの目を持ってしても読めませんでしたわ!」
「? ・・・・・・あっ!?(かあああああ)」
「どんな時でもセクハラを忘れないその姿勢!
ミケは心から感服いたしますわ!! ご主人様っ!!」
『いや、ちゃうから。
わざわざ、そんな遠まわしな事せーへんから』
「えっ!? あっ! そうですわね!
ご主人様は遠まわしな事なんかしないで
いつもふがふがふがふ(ぎゅうううううううう)」
『(ぎりぎりぎり)ん? この口か?
ご主人様を陥れようとするのはこの口かー?
んんんー? (#^ω^)ピキピキ』
「(ぎゅううう)あひゅひょひょひょめんははい~~~!
ほにゅにんひゃまーー(べろべろべろべろ)」
うーーーーん?
犬の{ちんちんのポーズ}って、どんなポーズなのかな?
モブコさんが恥ずかしがるようなポーズ?
ちんちんって確か・・・?
うーーーーーーん、よく分からない。
そもそも【リューグー】に犬は居ないんだよね。
この町で初めて見た時、すごいびっくりした。
それにしても、犬にすごい舐められたんだけど
犬にとっては僕って舐めたらおいしいのかな?
あと、猫って言うのかな? 猫も寄ってくるんだよね。
・・・ひょっとして、僕、食べ物に見られてる?
『(ぱっ)・・・はあ、まあ今回は許したろーか。
これに懲りたら・・・って!?(べとーーー)
つねってた指、舐めすぎやろー、ミケ』
「・・・あ、あの、えっと、アルファさん?
い、犬が{あのポーズ}で立ったとして
その続きは・・・?(ちらちら)」
「えっふぇっふぇっふぇっ!!
ご主人様の指、おいしゅうございましたわ~~~!!
・・・さて、ドロンっとな!(ぴょんっ、くるんっ!)」
(ドロロロン!! すたっ)
「わっ!? ミケ姉さんが大きな犬に!? うおっ」
「わふわふわふ、これでサバミソにもわかりやすいでしょ?
大体大きさも【ノール】と同じぐらいですわよ。
・・・で! (ひょいっ)
これが、これこそが{あのポーズ}!!!
さあ、モブ子ちゃん! ぜひもう一度!(はっはっはっはっ)
ちゃんとした呼び名で{このポーズ}の名前を!!!」
「あ、ああうううう!?(かああああああ)」
『ミケー、えーかげんにしとけよー?
話進まんしなー。
ま、変化で分かり易くした事だけは誉めたるわ』
「はーい、わかりましたワン(はっはっはっはっ)」
・・・なるほど、背を起こして、4足から2足に。
前足は前に垂らして手の代わりに・・・。
・・・え? これって。
「あ、あの、ミケ姉さん、うおっ。
その状態でどうやって歩くんですか?
あと、武器も持ちにくそうなんですが、うおっ」
「・・・ふむ?
では、ここから、よいしょっ!・・・っと(うにょにょ)」
(ぐにょぐにょぐにょ、シャキーン)
「て、手と足が少し人間っぽくなったんだな。
こ、これが、【ノール】なのかな?」
「少し違いますわ、ロー。
これは{【ノール】っぽい姿}です。
何で再現できるのに完全に再現しないか?
それは、もちろん。
さすがのミケでも、モンスターの完全再現とか嫌だから!」
「わかります。
それでも、凄いですね。
見事な【変化の術】です、ミケお姉様」
な、なるほど、前足はほとんど人族に近くて手や腕に。
足も長く太く・・・これなら確かに歩けそうかな。
でも、これって・・・。
『おっ、サバミソは気付いたみたいやな。
それじゃ、さっきの質問の続きや、モブ子ちゃん。
この姿勢と足の形状見て、どー思った?』
「前方には早く動けそうですけど
横や後ろには凄く動き辛そうですね。
・・・骨格的に」
「正解です、モブ子ちゃん。
前へは、こんな感じで(しゅばっ!)俊敏に動けますが
横へは(よたよたよた)こんな程度にしか動けませんし。
後ろに至っては(びょんっ)・・・こうですね。
後ろへは飛び退るしか無いんですよ」
「・・・あの、ミケお姉様?
おまけに、その腕周りの骨格からすると
武器は握れても、ほとんど上下にしか振れないのでは?」
『おー? よー分かったな、それも正解や。
ユキにはさっきゆーたけど
そこが{種族的に中途半端}なとこやねんな。
前足と後ろ足が別々に発達した代わりに
今度は4つ足での歩行が無理になっとる。
んで、手に武器持っても、ほぼ上から振りかぶるしかでけへん』
えっと、そうすると・・・。
立ち上がった体の大きさは僕らよりも少し大きいけど
基本的に前にしか進んで来なくて、攻撃も上からしか来ないのか。
うん、油断しなければ何とかなりそう・・・かな?
(ぴょい、ドロロロン!)
「はいはい、変化はこれでお終いですわ!
ミケは、例え変化した姿だとしても、あんな不細工な姿を
ご主人様に長くお見せしたくはありませんのでー。
(すりすり)さ、ご主人様?
頑張ったミケを誉めて、撫でて下さっても良いんですわよ?
いえ、むしろ甘やかせて下さっても!!(ふんすふんす)」
『はいはい。(なでなでなで)
よーやってくれたなー、ミケ。
おかげで説明するのがやりやすかったわー。
・・・ま、サバミソ達もちらっと思ったやろうけど
油断せんかったら、そんなしんどい相手やないわ。
油断せんかったらなー(わっしゃわっしゃわっしゃ)』
「(すりすり)そーですわー。
腕力も耐久力も【オーク】以下ですし
【ゴブリン】みたいに小賢しくないですから
罠も魔法も使ってきませんしねー。
隊とか軍とかの概念も無いみたいですし。
せいぜい、気をつけるとしたら
何匹かは弓矢使ってくると思うので
当たらないように~ってぐらいですね。(くんかくんか)」
「えっ? 弓矢を使ってくるのですか?
それは少し面倒ですね」
『まー、弓も矢も手作りの{なんちゃって弓}でな?
曲射とかは無くて、真っ直ぐしか射ってこーへん。
射程も短いし、命中率も悪いから
気をつけとったら脅威にはならんのやけど
流れ矢ってのは下手な近接武器より怖いし
見かけたら真っ先に倒す方がええやろな(なでなでなで)』
「な、なるほど、真っ先に倒すんだな」
「流れ矢に注意ですね。
わかりました! うおっ」
『・・・おっ、そーいや。
昨日の{討伐クエスト}はどうやったー?
練習も含めて、特に問題とかはー?』
「問題無しです!」
「問題無かったです! うおっ」
「問題無かったんだな!」
『お、おう・・・』




