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情報収集

4.情報収集





下山するまでに1時間を要した。


意外にあったな。この道。


帰りは地獄だな。





とりあえず街には降りてきたけど人っ子ひとりいやしない。


街並みも違和感を感じる。高層ビル的なものもないし、民家がほとんど木造だ。


街頭も裸電球ではないもののLEDではない。


見たこともない街並みは当たり前だ。


隣町といえど用事もないのに来ることはなかった。





ただ、何か懐かしさを感じる。





ここまで来て整理した結果。。。。





「タイムスリップ的なものが妥当じゃね?」


に至った。


体は小さくなっているからタイムスリップと言うよりはタイムリープっていうのかな。





これはひょっとしたらひょっとするかもしれない。


まさに人生リセット状態!


ってことは事故の前のあの車の異変は「デロリアン」的な!


にしては随分ド派手にワープしたな。


ってか3年前に40万で買った中古車にそんな機能は付いてねーだろ!


ただ、アニメや漫画に出てくるような主人公みたいにそんな順応性は俺にはない。





他に考えられるのは夢オチ。。。。


これは一番最悪。


この状態が夢で起きたら事故って1ヶ月間意識不明になってたってオチ。。。


最悪だな。





家賃払ってないよ。養育費も車のローンも終わってないのに。。。。








まぁ、今はこの世界?の状況確認が先決だ!





とりあえず補導覚悟で誰かに聞いてみるか。





そんなことを考えながら歩いていると、後ろから妙な視線を感じた。


びっくりして振り返ると誰もいない。





下に目をやるとそこに猫がいた。


そう、あの黒猫だった。


怖い。怖いよ。薄暗い街頭しか点いてない誰もいない夜中の街中で黒猫がこっちを見るな。





「お前か!やっぱりそうか、お前が現れておかしなことになってるんだよ!ちゃんと説明しろよ!


実は喋れます的なやつなんだろ!?今更驚かねーよ!」





「。。。。。。ミャー。。。。。」





喋らない猫と本気で会話しようとした36歳がそこにいた。


恥ずかしい。どうもこの訳の分からない世界に来て思考がおかしくなっているような。





「君、面白いね。そんなに真剣に喋りかけたって猫は猫だよ。(笑」





え?やっぱり喋ったの?


素直に驚いた。


俺は猫を抱きかかえるとバウリンガル的な何かを探したが見つからない。


猫はヒョイっと俺の肩を蹴って声のする方へ逃げていった。





「それは、猫だよ。僕はこっち。」





猫の後ろの薄暗い家の物陰に誰かいる。


「誰だ?」





「ハハハっ、ゴメンネ。もう少し見てたかったんだけど面白くてつい。。。」





これは来ただろう案内役の美少女!しかも僕って言ってる系のボーイッシュな感じか!?


ひょっとしたら猫耳ありの亜人タイプか??





現れたのは10代半ばくらいの男の子だった。





ガッカリだ。正直、思いっきりガッカリだ。


美少女的なやつを出せ!せめて登場人物くらいちゃんとした設定で出せ!





「あからさまにガッカリしてるね?」


心を読まれた。


「見ればわかるよ。」





「お前は誰だ?俺にこの状況を教えてくれる案内役的な存在なのか?」


「まぁ、、概ねそうなんだけど、ちょっと違うかな。立場は僕も君も同じようなもんだから。」


「はい?」





「とりあえず自己紹介してよ。名前も知らないんじゃお互い信用もできないだろ?」


「全て知ってる設定でお前は俺を導いてくれる役回りじゃないの?」





「知るわけないじゃん!君とは今初対面だよ!」


知ってるのか知らないのかハッキリしてくれ。まぁいいや。





「俺は一条いちじょう 弥白やしろバツ有り2児の父親。36歳独身のブラック企業のサラリーマンだ。」


「そっか、よろしくね、弥白!」


流された。


体が小さくなってる今だから使える鉄板ジョークと思って一生懸命考えたんだけどな。





「僕は佐伯さえき 有香あかだよ。」





女みたいな名前だな。


「この名前は正直好きじゃないんだ。もっとかっこいい名前が良かったんだけど、まぁ名前は自分じゃ決められないし仕方ないんだけどね。」


また読まれた。





「じゃ、弥白の経緯を教えてくれない?」





俺はまだ信用はしていなかったが頼る相手もいないし何より情報が欲しいので有香にこれまでの経緯を説明した。





「なるほどね、なんとなくだけど分かってきたよ。


僕もこっちに来て最初は同じような事してたもんなぁ。」





「さぁ次はお前の番だぞ。」





有香もここにいる経緯を話しだした。


話によれば有香は28歳。トラックドライバーで運転中俺と同じように黒猫に遭遇。


急に加速しだし、成すすべもなく気を失った。


気付いたらこの世界の住人に拾われて介抱されたらしい。





「なんだよ。それじゃ状況は何も変わってなくて、分からない奴がひとり増えただけかよ。」





「そうでもないよ。僕がこの世界に来たのはだいたい1年前。それから情報を少しづつ集めてきた。


ある程度の知識は僕を助けてくれた人が教えてくれたんだけど。


そして分かった事はこの世界は。。。。」





「ちょっと待てよ。さっきからこの世界とかなんとか、ここは日本だろ?異世界じゃないだろ?」





「そっか、本当に何も知らないんだね。


弥白が事故を起こした時の日にち覚えてる?」


「えっと、確か2019年6月24日だったと思うけど。。。」


「僕がこっちの世界に来た時の日にちは2034年4月3日なんだよ。」


「え?未来から来たの?どういうこと?」


「この時代から言えば君も未来人ってことになるね。


この世界の今日の西暦は1999年2月13日なんだ。」





マジか。タイムトラベル的な。いや体は小さくなってるからタイムリープになるのか?





「タイムトラベルでもタイムリープでもないと思う。」


また読まれた。


「タイムリープの場合タイムリープの限界は過去・未来の同一個体の自分の存在に依存するところであり、タイムトラベルの場合は過去・未来時間における自己の存在を無視できるけど早い話が、自分が生きていない時間までタイムリープはできないって定義がある。


でもこの1999年に僕は存在しない。まだ生まれてないんだよ。」





そうか、有香は2034年から来たって言ってた。本当は28歳だとすれば有香は2006年生まれ。





「そして弥白の話によると、隣町に住んでいるのに警察が調べたらそんな子は存在しないって言われたんだろ?」


確かにそうだ。


そして何より俺は1982年生まれ。1999年だと17歳になる。


この姿はどう見ても中学生でも信用してもらえないレベルの容姿だ。





頭がこんがらがってきた。





「そうなるとやっぱりタイムトラベル的な何かでこっちに来る際に若返ったとか?」


「可能性は否定できないけど、もう一つ元いた世界と大きく違う事があるんだよ。」





「違うこと?」





「この世界は魔法に似たものが存在する。」








いきなりファンタジーかよ。。。。















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