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70億の異世界来訪者  作者: Slime
ルスラン・アシモフ 1
8/18

8「Руслан Азимовの来訪」

Руслан Азимов は ルスラン アシモフです。

グー〇ルの翻訳頼りなのであってるかどうかはわかりませんが。

軍人の朝は早い。


上の奴の寝がえりでギシギシ軋む二段ベッド。

久方ぶりのいい夢だったってのに途中で起きちまったじゃねえかよ。


「ふああ...」


まだ少しだけ重たいまぶたを擦り、俺はすぐに訓練へ向かう。




朝は体力訓練。柔軟運動やランニングなどをしたりする。

最初こそキツかったが今じゃすっかり体が慣れてきやがった。


ランニングの途中、急に辺りが暗くなる。

空を見上げると、俺の大好きな朝焼けの空は真っ黒に染められていく。


「おいおい雷雲か?」


誰かがそんなことを呟いた次の瞬間空から巨大な『手』が伸びだした。

おかしいな俺はこんな天気は知らないぞ?


ざっと見て100は超えているそのおびただしい数の『手』は俺の理解が追い付く前に一人、また一人と仲間たちを空へ引っ張り上げていく。



「うわあああああああ!!!!!」

「助けてくれえええええええええええ!!!」


まるでお化けを見た子どもの様な悲鳴が上からも下からも聞こえてくる。

だがまだ俺は状況を呑み込めていない。


とにかくあの『手』に捕まってはいけない。逃げなきゃヤバい。

俺の残念な頭じゃこれぐらいしかわからなかった。


『手』の動きは速いが、まあ逃げ切れない程じゃない。

とりあえず建物の中に非難だ。出せる限りの全速力で寮へと逃げ込む。



「ふう...取り敢えず一安心...」


なーんてことはさせてもらえなかった。目の前には大きく広がった『手』が

窓を突き破って入ってきた。しかも複数。これは完全に詰んだな。


「もうどうにでもなれ...」


『手』を振りほどく力も気力もなく俺は黒の空へ連れていかれた。

すごい速さで地面が遠ざかってゆく。


何でこんなことが起きているのかなんて俺にはわからない。

今日が世界の終わりなのかな?


そんなことを考えている内にも黒の空が凄い勢いで近づいてくる。

情けないことに恐ろしい以外の感情が出てこない。


「ん?」


薄れゆく意識の中、俺は確かにあの『手』の群れが町の方へ伸びてゆくのを

見逃さなかった。


町には妻や娘がいる。あの『手』がもし町に来たらあいつら確実に捕まるだろう。


「神様...どうか妻と娘を救ってください...」


弱々しい声でそう言い切ると俺はプツンと切れるように完全に意識を失った。














「はっ!」


目が覚めると、そこは出口のない真っ暗な小さい部屋があった。


ちょっと夢オチを期待したがどうやら現実はそんな甘くはないらしい。


ここは黒の空の内部なのだろうか。さっきから心臓がバクバクうるさい。


何だかこの部屋は落ち着けないのだ。

死への恐怖が頭が何度も頭をよぎる。なぜだろうか。


これでも俺は軍人。死ぬ覚悟なんてとっくにできていたはずなのにな...。

自分の未熟さに嫌気がさしながらも俺は部屋全体を見渡す。

だがやはり当たり一面真っ暗。あるのはぷかぷか浮かぶ紫の炎ぐらいだった。


...ん?ぷかぷか浮かぶ紫の炎?


「よお、案外早く起きたな」


うお!?しゃべった。この炎しゃべりやがった。いやどこから声出てんだ?

もうなにがなんだか...。

ただわかるのは、俺が落ち着かない理由の1つは間違いなくコイツであるということだ。


その小さな炎からは想像もつかないような大きく危険な雰囲気を漂わせている。

こんな臆病者でも軍人。人間離れした強者ということは瞬時にわかった。


いや『強者』なんて表現すら生ぬるいだろう。

コイツは強さなんて格付けの一つ先の次元にいる。


...多分だがあの『手』の黒幕はコイツで間違いないだろう。


「...何が目的なんだ?」

「まあそんな警戒すんなよ。殺しはしない」

「いやするだろ普通」

「そりゃそうか、ガハハ!!!」


ガハハじゃねえよ。笑えねえよ。

こんなしらけたの久々だよ。


「で、目的は?」

「簡単に説明するとだな。お前たち人類にはこっちの世界に来てもらう。

 いわゆる異世界転移だ」


こっちの世界?異世界転移?何言ってんだコイツ?頭がおかしいのか?


「どういう意味だ?異世界って何だ?」

「地球とは違うところってことだよ。察しろよ」

「で、何で俺たちはその...異世界転移?ってやつをしなきゃならんのだ?」

「ワシが退屈だったから」


はは、身勝手もここまでくると怒る気も失せてくるぜ。

あ、笑えたわ。


たったそれだけの理由で70億人以上の人間をあの『手』で捕まえたのか!?

本当に何者なんだコイツ。実力も中身もとんでもないやつだな。


「やめてくれないか」

「やだな。無理やりにでもやる」


やはり説得はできないか...。


「じゃあ人間がいない間地球はどうなるんだ?

 俺らは元の場所に帰れるのか?」

「大丈夫大丈夫。ワシが満足するか死んだら自動的に元の場所と時間に戻れるからさ」


いやだからってならいいやとはならんだろう。馬鹿か。


でもそれ以外帰る方法が思いつかない。

説得は無理そうだし。...覚悟を決めるとするか?


「わかったもういい。転移させてくれ」

「うん、じゃあランダム転送っと」


躊躇ねえなおい。しかもランダムっておい...。


あ、そういえばコイツの名前聞くの忘れてた。


「おい、アンタ名...」


言い出すのが少しだけ遅かった。

その時俺は既にまぶしい光に包まれ、黒の空間からつまみ出されていた。




あの変な光で意識を失いかけたがなんとか持ちこたえられた。


目が慣れてくると俺は今自分が真っ逆さまに落ちていることに気が付いた。

下を見下ろしても底が見えない程に真っ暗で、

周りにはいろんな色がぐにゃっと混ざり合っている変な空間にいる。


ああ、これはきっと多分異世界へワープしている途中なんだろう。


と、常識で考えるのをやめた俺がいた。

もう俺の常識でものを考えると頭が痛くなるだけと悟った。


これから俺たち人類が行くのは地球とは違う場所なのだから

地球の常識は恐らく通用しないだろう。いや、通用しない。


だから地球の常識は捨ててしまおう。生きてロシアへ帰るために。

『異世界』しっかり生き抜いて、『アイツ』倒して家族でロシアへ帰るんだ。  


そう心に誓うと、底が光だし、この紐なしバンジーワープは終わりを告げた。

目がくらんで、前が見えなくなった。


















だんだん視界が広がっていく。どうやら異世界に着いたみたいだな。

まだ半信半疑だけども。




ここが異世界...。なんかいまいち実感がわかないな。

どうやら俺は雪の降る森の中へ飛ばされたみたいだ。


そしてどうやら俺の異世界奮闘記...いや俺の人生は早くも終わりを迎えるようだ。


なぜなら今俺の目の前には大剣を振りかぶっている少年がいるからだ。

なぜかはわからないが、真っすぐな視線と煮えたぎるような殺意を俺に向けている。恰好がかなり民族風なのはこの非常事態だ。気にするまい。



そんなことを考えている内に刃はどんどん俺の喉元に近づいてくる。

言うまでもないがこのままだとまずい。なんでだ...こんなの理不尽だ。



なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ

なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ

なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ

なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ

こんな目に合わなければないんだ!?


...そうだ『アイツ』のせいだ。『アイツ』が身勝手にこんなところへ俺たち人類を連れてきたからだ。


今更怒りの感情が湯水のようにあふれ出てきた。

そのぶつけどころがないのがさらに怒りを掻き立てる。


そうだ、まだこんなところで死ねるか。諦められるか。


しっかり生き抜いて絶対『アイツ』を...











ぶっ殺してやる....!                

ルスランも多言語翻訳バイリンガルを貰っています。

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