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70億の異世界来訪者  作者: Slime
アズマ・ユウタ 1
5/18

5「ゴレ1号と適性レベル」

魔法の練習を終えて、スグルさんの所へ戻ると

もう既に夕食の用意がされていた。

部屋中に広がるいい香りがさらに空腹感を掻き立てる。


「ただいま。ご飯美味しそうですね」

「あ、裕太おかえり。魔法の練習はどうだった?」

「魔法は問題なく出せました。ただ、どう戦闘に活かそうか...」

「そんなに頑張らなくてもいいんじゃない?まだ子供なんだしさ。

 そんなことよりご飯にしようよ」


よく見ると食事は三つ用意されていた。

俺とスグルさんと...あ、そういえば他の転送された人がいるんだっけか。


「ただいま~...って、ん?その子は?」


玄関の方へ目をやると、背の高い女の人が入ってきた。

なんか外国の人っぽいな。アメリカの人かな?健康的な黒い肌をしている。

しかしすっげー綺麗な人だな~。


日本語上手すぎじゃないか?

...あそっか多言語翻訳バイリンガルは地球人同士でも対応するのか。


「おかえりエマ。この子は裕太。俺達と同じ地球人で森で倒れてたから運んできた。これから一緒に暮らすから仲良くしてやってくれ」

「あ~若いのに大変だったのね。でももう大丈夫だからね。

 ここの村はいい人ばっかりだし、ご飯は美味しいしもう最高よ!よろしくね!」

「!?」


急に抱き着かれた。


...エマさんいくら安心させるためだとはいえ抱きつく必要はないんじゃないですかね。

もう俺11ですよ。てかめっちゃいい匂い。


「...ありがとうございます」


言っておくがこのありがとうは決して変な意味じゃない。決してだ。


しかしエマさんはそうは言うが二人とも髪ぼさぼさだし、

魔法を使って治すほどではないがやや体の傷も多い。明らかに無理をしている。


スグルさんは俺みたいなやつの救助活動。

エマさんは...さっきからずっと腰を支えているから農作業かなんかか?


とにかく二人ともオーバーワークなのは見ればわかる。

それでも俺に余計な気負いをさせないために嘘をついているのだろう。

なんていい人達なんだ。

それに比べ自分は...今日やったことと言えば魔法の練習ぐらいじゃないか。しかも自分の為だけに。


「あの、俺も明日から何か仕事しましょうか?」

「いや裕太はまだ子供なんだからそんなことする必要はないよ」

「でも...」

「あーお腹空いた~早くご飯にしよ~」

「そうだな食べよう食べよう!今日はごちそうだぞ!」

「わーい!」


エマさんが強引に割り込んできたせいで話が終わってしまった。

それからは普通に晩御飯を食べて、近くの川で水浴びをして寝た。


異世界来訪から四日。俺はやっと布団で寝れた。少々ボロいがぐっすりだった。






森とは違って気を張る必要がないせいか疲れがしっかりとれている。

鳥の鳴き声が心地よい朝、目が覚めて一番に思った。


なんだかいつもより朝が清々しく感じる。まあ場所の所為というのもあるだろうが。

布団のあるなしで一日の始まりはこんなに変わるんだな。

ここには俺を殺しかけたゴブリンみたいなやつも人さらいもいない。

今はとても幸せだ。飯、家、布団万歳!


だがこの子供にとっていい環境は、

大人たちの辛い労働によって作られている。


機械もないから農業も大変だろうし、

これは夜小便にいくときに見つけたのだが大人たちが村の警備も交代制でしていた。

スグルさんたちもなんか疲れ気味だったしなんとかしてあげたい。


「...そうだ!」


ふと俺は一つのアイデアを思いつき、外へ出る。


皆さんはゴーレムというものをご存知だろうか。

アニメで見る限りは魔法で作られた召使いだ。

警備をさせたり、農業をさせたりその他諸々ができる。

しかもこのゴーレム、かなりコスパがいいのだ。こりゃもう作るしかないだろう。

まあ、アニメ知識なんだけどもね。


よしじゃあ早速警備用のゴーレムを作っていこうか。

イメージとしては相手の攻撃を凌げる耐久力とパワー。

それと盲目的に言うことを聞く忠誠心が欲しいな。


そんなことを考えながら土魔法を使い、ゴーレムのボディ製作に取りかかる。



製作開始から十五分が経ってようやく完成した。

ちょっとデカすぎるのが少しだけ気になるがまあしっかりできているな。

記念すべきゴーレム一号機目だ。ゴレ1号と名付けよう。


そして4mぐらいある馬鹿でかいゴーレムをかたどったロマンの塊

に残り魔力の殆どを与えるとゴレ1号は動き出し、俺に向かってかしづいた。

なんか動くたびにするゴゴゴって音が若干怖いが気にしたら負けだな。


「オォ...マイマスター...」

「そう、俺がお前のマスターの裕太だよ。よろしくなゴレ一号!」


やべえ、興奮してきた。

ゴーレム作っちゃったよ俺。やべえやべえ!

適性のある魔法を操るのって滅茶苦茶簡単だな。なんか少し拍子抜けだわ。

けど凄い人はもっと凄いんだろうな~。


「ゴレイチゴウ...イイナマエ」

「気に入ってくれて嬉しいよ。それで早速だけど試しにあの岩を壊してみてくれ」

「リョウカイ...」


テストのためにゴレ1号に命令すると、目の前の岩に向かっていった。

...と思った瞬間俺のすぐ右隣りにいた。


「おい岩は...」

「モウコワシタ」

「いや嘘つけよ...」


岩の方を見ると、既に粉々に砕け散っていた。


「お前凄いな!」


同時に恐怖を覚えた。


そりゃそうだろ。こいつの速度が目で追えないほどに速かったんだから。

明らかに俺の実力を上回っている。いや上回り過ぎだ。

もしこいつが不具合とかで急に暴れだしたりなんてしたら...。

仕方ない、そうなる前に...。


「アリガトウ、マスター」


...まあそんなことは起こらないようにがんばればいいだけの話だ。


褒められて子供の様な仕草で喜びを表現するゴレ一号を見て

破壊するという考えはサッパリ消え失せた。




それからというもののゴレ一号は村の為しっかりと働いてくれた。


警備用の為に作ったというのに何故か手先が器用で

農作業はあっというまに村一番の技術を身に着けて

元から強かった腕っぷしはさらに強くなり、

他にも色々なことをスポンジのように吸収していった。


結果、ゴレ1号は皆から親しまれた。まあ当たり前か。


そして一週間後。






俺はいつものように魔法の練習をしていた。

最近では仕事を終えたゴレ一号と一緒に実戦の練習もし始めた。

まあ、今は人参の収穫でいないが。


雷魔法と土魔法はある程度使いこなせるようになってきたが

召喚魔法は全くできないままだ。


今までの魔法はアニメとかでイメージが固まっていたから使えたのだが、

召喚魔法はできない理由がいまいちよくわからない。

なんでだろう。呼び出す対象が定まってないからだろうか。



...適性はあるらしいけど、これじゃ練習にならないので今日は苦手な風魔法の練習でもするか。


風出ろ!


...やっぱし扇風機並みの風しか出ないな。他の魔法と一体何が違うんだろうか。


「何やってんのあんた」


振り返るとフーがやれやれと言いたげな腹立つ顔をしてこちらに来た。


「練習だよ...風魔法の...」

「あ、風魔法の練習だったの?」

「...弱いとか言いたいんだろ。わかってるんだよそんなん」

「誰だって最初は弱いもんなの。頑張って強くなればいいだけじゃん」


...この子本当に七歳なのか?達観しすぎだろ。


「それにね、あんたの適性で風魔法使おうとするなら並みの努力じゃ無理よ。

 雷と土と召喚魔法の適性高いんだからそれで戦えばいいじゃない」

「...それは色々使えた方がいいに決まってるし。ていうかなんで俺がその三つ使えるってわかるの?」

「そんなん見ればわかるわよ。あたしエルフだし」


へえ、エルフは見ただけで適性がわかるのか。便利だな。


「ちなみにエルフ以外が適性を測ろうとしてもぼんやりとしかわからないの」

「へ~そうなんだ」

「それと適性にはレベルがあるわ。レベルは引き出せる力を表すの。

 魔法の適性レベルは10が最大よ」


そのへんは教えてもらわなかったな。


「あんたは...うん、回復と支援以外の魔法の適性はあるんだけどレベルに偏りがありすぎなのよね」

「というと?」

「炎0.5、水12、木1、風1、雷8、土9、光0.2、闇12、召喚6

 ってところかしら」


おいおいちょっとまてよ。明らかにさっきの発言と矛盾してるだろうが。


「いやいや、おかしいだろうが水と闇最大レベル超えてるじゃん。

 しかも少数レベルもあるし」

「うん、だからびっくりしてるよ。こんなん初めて見るわ。

 でもね使ったらだめよ10より上から使える力は。

 魔族以外ではみたことないけど体が耐えきれなくて最悪死ぬかもだし」

「わ、わかった。仮に使うとしても最低でも10の力に抑えて使うよ」


レベッカさんにも言われたし使うつもり全くはなかったが、

それでもやっぱり魔法は危険なものなのかと再認識させられた。

俺もう魔法使えるぜマジ天才!なんて慢心することなくちゃんと慎重に使おう。


「シゴト...オワッタヨ...マスター」


そんなことを考えていると、ゴレ1号がすごいスピードでやってきた。

慣れてきたのか動きを目で追えるようになってきた。まだほんのちょっとだけだが。


「え、マスターってあんた...あれ作ったの?」

「うん、我ながら凄いもん作ったよ。何でも言うこと聞いてくれるし、強いしね」


ついつい自慢してしまう。それほどにこいつは自信作なのだ。


「ふ~ん確かにあれは強そうね」

「だろ?まあとりあえず風魔法の練習してるから、またな」

「ちょっと待ちなさいよ。風魔法ならあたし教えてあげられるけど?」


暗に練習の邪魔になるからバイバイと伝えようとしていたことに気付かれ、腹が立ったのかムッとした表情でそう言う。


「本当か!?フーは適性レベルいくつなの?」

「7よ!」


普通の人がどれだけのレベルかは知らんが食い気味で、しかもドヤ顔を決め込んでくるあたり高い方なんだろうな。


「じゃあ教えてもらおうかな。フー先生」

「ま、任せといてよ!」


あ、少し照れたな。やっぱそういう素直なとこはしっかり七歳だな。

これを兄ちゃんが見たらデレたフーたんかわゆすwと草を生やすに違いない。

...これの何がいいのかは俺にはまだよくわからないが。


そしてフー先生による地獄の風魔法の適性レベル上げが幕を開けた。

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