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70億の異世界来訪者  作者: Slime
アズマ・ユウタ 2
18/18

16「お疲れ」

明けましておめでとうございます。

「ケケケケケ!」


聞き覚えのある不愉快な笑い声。

よく見ると蝿がたかっている不潔そうな緑色の肌。

見るたびに驚かされたでかい鼻。



こんな特徴の塊を忘れるはずもない、あいつは俺を殺そうとしていたゴブリン(仮)だ。



「ケケケケケ!」

「おいおい、笑いたいのはこっちだぜ顔面モンスターくん。

 俺はもうお前みたいな雑魚、相手にならないんだよ!」


そう、俺はもう魔法を使えるようになったんだ。めちゃんこに強いのをな。

つまりお前なんてもうイチコロってわけ...さあ、あの時の恨み晴らさせてもらおうか!



「電気出ろ!」


ゴブリン(仮)に向けて雷魔法をただ真っすぐに飛ばす。

単純な攻撃魔法だが威力、速度、精度はレベル8の。俺の現最高火力をゴブリン(仮)ごときに躱せるわけがないのだ。




...フラグでもなんでもなく俺の魔法はゴブリン(仮)に直撃。


「へへっ、どうだ化け物!」




「ケケケケケケ!」


「...は!?」


俺の攻撃魔法のせいで立ち込める砂煙が邪魔でよく見えないが、

今確かに聞こえた殺したはずのゴブリン(仮)の声。


「ケケケケケケ!」



やっぱり聞こえる。何でだ!?



土煙は晴れ、憎たらしい大きな顔が露になる。

フラグ回収...つまりやつは生きていた。


おいおい嘘だろ、俺の魔法は確実に当たったはず。

しかもあんだけの威力で放ったんだぞ、傷一つないのはおかしいなんてレベルじゃない。


「ケケケケケケ!」


表情一つ変えないゴb...化け物はあの時のようにじりじりと距離を詰めてくる。

引き換え俺は先程の表情から180度転換。怯え切ったものになる。


「あわわわわわ...」


全力の攻撃が全く歯が立たない。

そして情けないことに逃げようにも腰が抜けて動けない。

状況が優位できなくなった途端にこれだよ、本当やんなっちゃうね。



そして成すすべなくナイフめった刺され


「ケケケケケケ!」

「あぁぁぁぁああああああ!!!!!」


叫びが辺り一帯に木霊する。


しかしそんなのお構いなしに何度も何度もナイフを振り下ろす化け物。

雪崩のような痛みが全身を駆け巡る。


血が辺りに飛び散り、抵抗する力がどんどん抜けていく。

もはや叫ぶもままならなくなった。


何か前にもこんなことがあったような...。


「あ...あ...」

「ケケケケケケ!」


今度こそここで死ぬのだろう。

そう思った瞬間助けが来た。とても都合のいいタイミングで。




「ふんっ!」

「ギギャァ!?」


先程まで俺への攻撃を楽しんでいた化け物は、

突如現れたハンマーを担いだ大柄・・・・・・・・・・の男・・の一撃で近くの岩に叩きつけられ、俺の時よりも大量の血が辺りにばら撒かれる。


助かった。

しかし何だろう。この人どこかで見たような...。


....いやいや、そんなことよりも助けを求めないと。


力を振り絞って出来る限りの声を出す。


「たす...けて...たすけて...くだ...さ...い...」


この違和感は何だろうか。

ていうかあの化け物って何日か前に殺されなかったか?

確かアイツを殺したのは人さらいで...ちょうどこんな感じの顔だったな...。


ということは...


「なあ、小僧。何で俺がお前を助けたかわか「電気...出ろ...!」


ほぼ0距離でのレベル8の雷魔法。

考えるまでもなく人に向かって打つ威力ではないが、そうでもしないと俺が危険な目にあうことになる。


体中刺し傷だらけで

コンディションは見ての通り最悪だが、得意な魔法ぐらい問題なく放てる。

ゴブリン(仮)のときは効果なかったが流石に人間相手なら一撃で殺れるはずだ。

フラグ回収はもういい。今度こそ決まってくれ。




「――――――――それはな、お前を売って小遣い稼ぎするためさ。

 だから一応手当はしておいてやるぜ。感謝しろよ小僧!」


...こうなりたくなかったから全力で撃ったってのに、なぜだ。

なぜ何事もなかったかのようにできるんだ!?

お前も、今はグロテスク死骸となったゴブリン(仮)も。



意識が限界を迎え、視界がどんどん狭くなる。

畜生。また何も出来なかった。



そんな俺の気持ちをよそに男のゴツい腕がこちらに近づいてくる。

こっち来るなよ。怖いよ。売られるなんて嫌だよ。


どうしよう。売られるなんて絶対に嫌だ。

どうしようどうしよう。嫌だ嫌だ嫌だ!




・・・・・

・・・





「うわああああああああああああああ!!!」


目が覚めて真っ先に目に入るのはもう見慣れつつあった借家の天井。


その次に心配そうに駆け寄る傑さんとエマさんと

傷一つ付いていない汗だらけの自分の体を見て

何だ、さっきのアレは夢だったのかと胸を撫で下ろす。



「おい裕太、大丈夫か?」

「悪い夢でも見てたの?」



しかし本当夢でよかったよ全く。

...こんな夢見るなんてやっぱあの時の事がトラウマになってるってことだよな。


まあ普通はなるか。むしろならん方がおかしいんだ。

あんな気持ちの悪い見た目の猟奇的な人外に殺されかけたんだもんな...。


今考えて見れば

ここ最近ずっと魔法とか剣の練習に熱中していたのも

無意識のうちにトラウマになっていたからなのかもしれない。



「大丈夫です...」

「そうか、ならいいんだけど」



まあ、言ったところで解決するわけじゃないし

無駄な心配を掛けさせるわけにもいかないしここはお口チャックマンだな。


「じゃあごはんにしようか。今日は裕太の好物だぞ!」

「結構おいしかったよ!」

「だろ...ってエマ何つまみ食いしてんだよ」

「ははは!」



その日のごはんは美味しかったけど、

さっきの夢が頭をよぎってあまり食事を楽しめなかった。


週1投稿って一体何だったのか...。


今度こそ受験終わるまで投稿を休みます。

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