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70億の異世界来訪者  作者: Slime
ルスラン・アシモフ 1
11/18

11「スイアンじいさんと狂戦士の戦い」

集落に着くなり、儀式の準備が始められていた。


儀式は夕方に始めるみたいなのでそれまで俺は集落を見て回って時間をつぶすことにした。昨日は全然見て回れなかったしな。



「よお、ルスランさん!じいちゃんから聞いたよ狂戦士になるんだって?」


その声の主はシルド。以前にも説明したがソルドの双子の弟である。



「ああ、なるぞ。強くなりたいからな」

「じゃあさじゃあさ!儀式が終わったらすぐ俺と戦おうぜ!」

「いいぞ」

「言ったからな!約束だぞ?」

「わかったわかった」



...このようにシルドは若干キザめな兄のソルドとは違って元気で子供らしい子供だ。


「あ、それならさ!スイアンじいさんに武器作ってもらおうよ!」

「いや俺知らねえよ。スイアンじいさん」

「スイアンじいさんは集落一の鍛冶職人なんだ!

 俺のこの武器もスイアンじいさんが作ってるんだぜ!」


そう言ってシルドは鍛えなおされた大盾と自慢げに見せつけてきた。

ああそういえば修理してもらいに行ってたんだっけか?


...デザインこそはシンプルだが確かに性能は良さそうだ。


これから武器は必要になってくるだろうし...。

スイアンじいさん。聞いたことはないが作品らを見るに

中々の名工なのはまず間違いないだろう。

この人に作ってもらえるなら悪くない。いやむしろ作ってもらいたいぐらいだ。


「...じゃあ行ってみるか。案内してくれ」

「よしきた!」


・・・・・

・・・


集落の外れまで歩くと、いかにも中世の鍛冶職人がいそうな雰囲気の

工房が見えてきた。石の煙突が何とも言えないいい味を出している。


「おーいじいさんいるか?」

「...何だシルド」


シルドの方には見向きもせずにただただ目の前の鉄を打ち付ける。

本物の職人の姿がそこにはあった。この人がスイアンじいさんか。


てか外と違って暑すぎる。まあ工房だから当たり前ではあるのだが、

何で二人とも汗一滴も流してないんだ?


作業が終わったのか、部屋を照らしていた太陽のような鉄の塊は

あらかじめ用意されていた水の入った容器に沈んでいく。


湯気を立てて、あの鉄の塊は一瞬にして見るも質のいい刀剣へ

早変わりした。すげえ。


「で、何の用だ。...まさかもう武器壊したのか?」

「ちげーよ。この人に武器を作って欲しいんだ」

「誰だそいつ。よそ者か?」

「うん、昨日この村に来たルスランさん。

 今日儀式を受けるんだよ」

「な...!族長は許可を出したのか!?」


殆ど無表情だった顔が急に崩れる。

え、よそ者が狂戦士がなるってそんな珍しい事なの?

族長さんがすんなり許可くれたからてっきりよくある事だと思ってたぞ。


「うん、なんか嬉しそうにしてたよ」

「そうか...あのよそ者嫌いがな...」


あの誰にでも優しそうな族長さんがか?マジかよおい。


「よしわかった作ってやるよ。おいあんた」

「ん?」

「そこの戦闘馬鹿から聞いてるかも知れねえが俺はスイアン。

 スイアン・トロイだ」

「ルスラン・アシモフだ。よろしく頼む」

「よろしくな。で、どんな武器がお望みだ?」

「できれば銃が...」

「じゅう?なんだそれ?」

「いや、すまん忘れてくれ」

「?」


やっぱりこの世界に銃はないか。

まあダメ元だったけども...。


ナイフという手も考えたが、昨日の熊の化け物みたいなのに襲われたときに

多分殺しきれないしな。さてどうしたもんか...。


「いやなんでもない。

 そうだな、手軽でいてその上威力も高いような」

「なら片手斧なんてどうだ?ちゃんと条件満たしてるぞ?」


...ナイフと違って威力も高いし、刃こぼれしても鈍器のような使い方を

すれば十分戦える。片手斧いいじゃないか。


「いいな、それにしよう。ちょっと長めに作ってくれ」

「よしわかった......儀式が終わる頃には作り終えるだろう。

 そん時に届けに行くから楽しみに待っててくれ」

「おう、ありがとうな」




そして俺たちは工房を後にした。


・・・・・

・・・


時刻は正午。


「ところで気になったんだが、お前ら兄弟ってどっちが強いんだ?」

「そんなの俺に決まってんじゃん!」


「おっとそれは聞き捨てならないな」


いきなりシルドの真後ろにソルドが現れた。びっくりした心臓止まると思ったぞ。

族長といいなんなんだ。人を驚かすのが好きなのか?全く...。

てかあいつさっき気絶してたよな?回復早すぎだろ。


「なんだよ。本当のことじゃんかよ」

「何を言ってるんだ。俺の方が強いだろ朝は俺の勝ちだったし」

「昨日は俺が勝った!」

「あー言い合ってないで実際に見せてくれないか?

 ほら、シルドの武器は直してもらえたみたいだし」

「望むところだ」

「今のうちに負け惜しみでも考えておいた方がいいよ兄ちゃん」


仲いいなこいつら。

...こいつら見てるとなんか家族を思い出すな。皆元気にしてるだろうか。

準備が整ったらまず家族探しからだな。




ところ変わって集落の中心広場。

ソルドとシルドは手合わせ前の準備体操をしている。

いつの間にか観客も増えてきていた。人っ子一人いなかったのにどんどん賑わいだしてきた。


「お、あの二人また戦うのか」

「今日はシルドが勝つな」

「いやソルドだろ!」

「頑張れー!ソルド!」

「やっちまえシルド!」


にしても凄い人気だな。あいつら村の中でも強い方なのだろうか。

凄いやつらが多すぎてなんかだんだんマヒしてきたぞ...。


「ていうかあいつ誰だ?」

「紋章もないし...確実によそ者だよな」

「でもあの兄弟と親しげだし、悪いやつではないのかな」

「族長が言ってた今日儀式受けるのってアイツじゃない?」

「え!?族長が許可を出したの!?」

「一体何者なんだアイツ...」


心なしかだんだん俺に注目が集まっている気が...。

そんなによそ者って珍しいのか?

というより族長そんなによそ者嫌いなのか?じゃあなんで俺は...。


「おーいルスランさん!準備できたよ!」

「俺もいつでも問題ない」


...いや今はこっちに集中しよう。





「では構えて...始め!!」


まずはソルドが先制、自分の背丈ぐらいある大剣でシルドを薙ぎ払う。

だがシルドは盾でがっちり受け止める。どうやらパワーは互角のようだ。


「ふん、まあこれぐらいはしてもらわないとな」

「戦闘中におしゃべりなんてずいぶん余裕だね?」


シルドは盾を傾け、ソルドの重心を崩す。

前のめるソルドの頭に左手の片手剣が襲いかかる。

だがソルドはあえて勢いよく倒れこむことでそれを回避。


あれが俺だったらもうとっくに頭蓋骨真っ二つだったことだろう。

にしても俺もずいぶん狂戦士ソルドとシルドの動きにも目が慣れてきたな。


シルドの攻めはまだ終わらない。

一旦距離を置いたソルドにシルドは自分の背丈以上の盾で身を隠し突進。

...あぁ、なるほどね。何がしたいかわかったぞ。


「!?」


ソルドは盾を躱し横からカウンターを決めようとするも、

盾の後ろには誰もいない。


「うりゃっ!」

「んぐうぅっ!」


ソルドの後ろからはシルドの回し蹴りが飛んでくる。

なんかものすげえ音したけどあいつ頭大丈夫だろうか。



俺は二人の横から試合を見ていたからわかったのだが

シルドがソルドに向けて盾を蹴飛ばしてあたかも体当たりしているように

見せていたのだ。



で、素早い動きで死角に回り込んで

それのカウンターを狙ったソルドにカウンターをする作戦だったのだろう。

実に上手く決まった。元々うるさかった歓声が更にうるさくなる。



「いいぞシルドー!!」

「おいおい負けんなよソルドー!」



でもまあその気持ちわからなくはない。

狂戦士の戦い方はもっと考えなしの攻めの一点張りだと思っていたが...。


俺も紋章をもらえばあれだけの速さで動けるようになるのか?

そう思うとなんだが夕方が待ち遠しくなってきた。

戦闘描写って難しい...。

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