本能で察して
お金を手に、宿の一室を一週間ほど確保。迷子になったお陰なのか、それなりに部屋に余裕があり、簡単に確保が出来た。
そしてボードンは二人分部屋を確保したレオンたちと別れて儀式に向けて行動を始めていた。
「暇ー」
「そうだね」
トーコは部屋でぐてりとしながらレオンに言う。
「神獣撫で回して楽しいんですか私にも撫でさせてくだ」
───シャァァァァアアア!!!
「はいやっぱいいです、ものっそい威嚇してますし」
「威嚇してるニャーちゃんも素敵だなぁ可愛い」
笑顔で猫を撫で回すレオンと、それを気持ち良さげに受ける猫。トーコはとても仲間外れな気分に陥る。
「折角お金貰いましたし、外行きましょうよ」
「明日ね、あとお金はあんまり使わないようにしようかトーコ」
「えー、今行きましょうよ」
「外、もう暗くなってるよ? 俺達見た目子供だし、あんまりそういうのは良くないな、と」
レオンとしては本当に良くないと思っている。
トーコははっとしたように窓の外を見る。
「あー、夕日綺麗ですね……確かにあまり良くないですよね」
トーコは明らかに気落ちして目を伏せ、溜め息を吐いた。
「明日行くから、今日の所は宜しくね」
「何度も言わなくても分かりますよ、はぁ」
「あ……まだ夜か」
あれからしばらくしてから睡眠をとった二人。しかし、トーコは落ち着かなくて、まだ暗いうちに目が覚めてしまった。
レオンはまだ寝ている。深い眠りだ、トーコは愛おしげにレオンの寝顔を眺めていた。
───お前。焦っているのか
「何を」
猫が真っ直ぐトーコを見ている。
───違うなら良いが、落ち着きがない。お前なら、夕方に外に行こうなど、思わないだろう?
「思うんじゃない?」
トーコは投げやりに答えた。
落ち着きがないことは事実だが、焦っているわけではない。いや、焦っているのかもしれない。
なにせ、原因が分からないのだから。
妙にそわそわするのだ。
「どうでも良いじゃない、私はあなた達と目的が違うのよ」
────これはただ言いたいだけなんだが。
「はい?」
────自分を見失ってもコイツに取ってはお前はトーコで、それ以上でも以下でもない。それだけ、忘れるな。
「そんなの、分かってる」
───どうだかな。肝心なときに忘れていそうだ。
「まったく、私はそんな物忘れ激しくなんて無いですよ、っての」
それきり猫はうずくまる。夜行性ではあるが、寝るつもりらしい。
トーコもそれきり黙って、目を閉じた。
「私は……神様よ。そんな事、言われなくても分かっているわ」




