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「「異世界から来て魔王と勇者を兼業した唯一無二の人間だよ」」  作者: Hurricane(そよ風)
序章・「「この日のことは忘れないでしょうね」」
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幕間1・王子王女のお茶会(プリディエイト・ティーパーティー)

王子王女のお茶会、などと聞くとお堅いものをイメージする人も多いだろう。作法間違えたら即斬首されるような。

しかし、ことこれに関しては真逆といっていいくらいである。なぜならこのお茶会は日常生活をしている中で兄弟姉妹きょうだいたちであまり話す機会がないため、「じゃあせめてお昼ご飯くらいは一緒に!」という極めてふわっとした理由で開いてるものだからだ。

必然、兄弟姉妹きょうだいたちの仲は(約一名を除いて)良く、彼女・・・第三王女にして最年少のシャルロット・S・セテプション・オーラ・アルティベート=リアもこのお茶会を楽しみにしている。


が。


「・・・・・・・・・・・・・はぁ。なんだったの、あれは。」


マキナの部屋からほけーっと出てきてからずっと思考が空回りしていた。

というか、今のマキナは知る由もないがこれは当然である。

実は、会議などを代表とするイベントをすっぽかし朝からシャルロットに怒られるというのは、いつものこと、だったのだ。

そして、マキナがキレるシャルロットを完全にスルーし部屋から出てどこかへ行ってしまい、ユリがなだめ、ルーレがおろおろし、もう一人のメイドがケタケタ笑う、というのがいつもの流れだった。

しかし今回はどうだったか。


(普通に話すってだけじゃなくって、メイドの事名前で呼んで・・・わたっ、私の事、シャルって・・・!!)


残念なことにマキナが必死になって取り繕いながらしていた言い訳なんざ全く耳に入っていなかったのだった。

いつものように部屋に押し入り、いつものように怒ったら、なぜか兄にため息をつかれ、言い返そうとしたら尊敬する父にも似た風格を出しながら愛称で呼ばれなんか諭された。


もはや思うことなど一つしかない。


「あの人・・・だれだ・・・っ!!!?」


「ふむ、何かあったのかシャル?」

「いつもの愚痴・・・というわけではないようであるな」


先に話しかけてきたのは最年長にしてマキナの姉にあたる第一王女、レン・S・アルティベート=リアである。黒く艶めくストレートの髪をかき上げながら椅子に座り、優しい口調で心配そうに私の顔をのぞき込んできている。


(むぅ・・・やっぱりレンお姉ちゃんは綺麗だなぁ・・・)


色々小さい自分と違い綺麗で優しいレンお姉ちゃんのようになりたいとシャルロットは常々願っていた。

客観的に見ればレンとは別ベクトルの魅力がシャルロットにはあるが自分で自分のいいところはわからないものである。


二人目に話しかけてきたのはマキナの弟にして第二王子。ヘルザノア・S・セテプション・オーラ・アルティベート=リア、通称ヘルだ。少し長めの金髪をサラサラと流すこちらもまた並み居る女性を虜にしてしまうような美男子である。彼も彼で普段とシャルロットの様子が違うことを心配している様子だった。


「いえその・・・大したことではないですわ」


マキナお兄ちゃんだってたまには人としゃべりたくもなる・・・のかもしれない

と思い、次会った時はちゃんとお話ししようと心に決める。

・・・それがマキナへの嫌がらせになるとは露知らず。

シャルロットが考え込む姿を見てレンが苦笑しながら、


「と、いう話より前にシャル。ここには我々しかいないんだ、無理をして話し方を変える必要はないぞ?」

「そ、そうかなレンお姉ちゃん?」


シャルロットがメイドのユリのことを名前で呼んでいたり、敬語が微妙におかしかったりしているのは、礼儀正しい理想の王女として振る舞うのを失敗している時があるからである。

王女などという肩書きがあってもまだ11歳。外での態度と中での態度のメリハリをつけるのはまだ難しいようである。


「そーそー、シャルは可愛いのが完全無欠の長所なんだからそのままでいーんですのよ」


独特の話し方をする新たに輪に加わった女性。きらめくような金髪がドリルのように巻いているまさにお嬢様といった風貌の赤きドレスをまとうこの人はしかし優雅さはなく、どさっと椅子に座ってけらけらと笑う。この女性こそ、第二王女のシュレフィスト・S・セテプション・オーラ・アルティベート=リアである。5人いる兄弟姉妹のなかでもマキナに次ぐ問題児さんでありとてもやんちゃなシャルロットの姉である。


「シュー姉・・・来ていたのであれば言ってくれれば待っていたであるものを・・・」

「はぁん?わたくしが来たらダメなことでもあるってんですのかしら?ヘルのくせに生意気言うようになったじゃねーですの」


にやにやとしながらヘルに近づくシュレフィスト・・・シューはさながらカエルを見つけた蛇であった。


これが総じてソレイン王国の王子王女たちである。レンが最年長でその次がマキナ、それにシュレフィスト、ヘルザノア、シャルロットと続く。


「ふふ、まったく。ほらほらその辺にしてシャルを見習って食べるといい」

「りょーかいですわレン姉様。それで、マキナお兄様が‘また’なにかしたんですの?うふふふ、本当に話題の尽きない御方ですわねぇ♪」

「・・・そう楽しそうに言われると姉として複雑なのだがな」

「えぇー、あんな面白い方はそうおりませんのにー。あ、それでシャル。今日は何が?」

「うーん、えっとね・・・」


姉にせかされ、シャルはつっかえながらも今朝のことを話す。

すると聞いていた3人に驚きの波が広がっていった。

「確かに兄上は≪国軍会議≫には参加していなかったであるが・・・もしかして今までも裏で動いていたのか?」

「今までのことはわからないけど、王妃との夕食に行くと言うとはね・・・。マキナを変えるなにかがあったのかしら・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「どうしたのシューおねえちゃん?」

「くぅぅぅぅ!!シャルだけ話してもらえるなんてずるいですわっ!わたくしも、わたくしも話したかったんですのぉ・・・っ!」

「シューおねえちゃんらしい心配の仕方だなぁ・・・」


ちなみに余談だが。このお茶会でマキナの話題というのは恒例行事であり、とてもいい話のネタになっていた。というのも4人全員が知っている人であるということと、

レンからすれば心配してもし足りない弟であり、

シューからすれば色々なことをしでかす自分と同じ問題児の先輩であり、

ヘルからすれば本来皇太子がやることをかわりにさせられているのんきな兄上であり、

シャルからすればとっても手のかかるお兄ちゃんであり、

と、それぞれがそれぞれの感情を持っていたため相当話題に事欠かなかったのだ。

・・・マキナは有力貴族たちの裏で「愚かな王子」であると噂されているが。


閑話休題。


昼ご飯を食べつつ、マキナの行動について頭をひねる。


「やっぱりマキナお兄ちゃんもたまにはしゃべりたくなるんだよ」

「たまにはって・・・私の知る限りマキナがメイドとかと普通に話すなんて初めてのことなのだが・・・」

「あはっ、18年に一度だけテンション上がるとかですの?なにそれおもしろい」

「・・・シュー姉、まじめに考える気ないであろう」

「はぁ~?あるわあるわよありありよ!今日この場においてわたくしほど本気でマキナお兄様のことを考えてる人はいねーですわ。っていうかヘルはどう思うんですのよ?」

「・・・想い人ができたとかどうであるか?」

「はははっ、私たち3人より乙女的だな。なるほど、想い人か。あのマキナがな・・・」


・・・まぁ、答えにたどり着くどころかどんどん話がそれていくのは自明の理であったが。

そして話は、マキナが最も嫌がる方向へ向くことになる。


王妃おかあさんとの夕食に私たちも加えてもらうのはどうかな?」

「うん、それはいいなシャル。私も行くことにしようじゃないか」

「んんんんーーー!!今晩は用事が・・・っ!ヘルっ≪会議≫の内容を伝えるっって名目で会いに行きますわよ!」

「少し強引な気もするが・・・今回ばかりはシュー姉に協力しよう」



・・・・・・こうして着々とマキナ包囲作戦は進行していくのであった。


2~3日の定義を教えてほしい、そよ風と申します。

またかよって感じの予定無視ですが、まあ遅いよりマシだしね(開き直り)


・・・・・・・・あとがき何書けばいいんだろう?そよ風の近況とか書いちゃう?

実は私、現実世界ではすこしやんちゃな人でして高校時代などは自称進学校の教室内で悪友2人と騒ぐわ暴れるわ走り回るわしまくり、先生や同じ学年の生徒に悪い意味で名前を憶えられています。

そんな中、つい先日引っ越した近所で高校の友達と出会い、話していたところ‘顔は見たことあるけど名前も知らないし、しゃべった覚えもない’ぐらいの女の子が一緒にいて、なぜか「うわーっ!〇〇(そよかぜの名前)じゃん!ひさしぶり、高校以来だね」とものすごくフレンドリーに話しかけられました。


え、いや誰だよ。


そう言葉にできればこの世界はどれほど楽なのでしょう。

結局情弱な私はその場に流され、さも知っているかのように話していたのですが、絶望はさらにその先ありました。

その女の子の実家がすぐそこだったらしく、割と高い頻度で会うのです。

・・・なおさら名前を聞くことができなくなりました。

いつになったら私は彼女を名前で呼ぶことができるのでしょうか?


以上、場に流されると大変だよという教訓でした。


関係ないこんなあとがきまで読んでくださった方々に感謝を。

次はまた2~3日を目途にしつつ早めに出します。きっと。



ここまでは実にほのぼのしてますね。ここまで、は。


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