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「「異世界から来て魔王と勇者を兼業した唯一無二の人間だよ」」  作者: Hurricane(そよ風)
2章・「まさか一度に6種族と戦う羽目になるなんて・・・」-エルフ・マーメイド領域征服戦
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幕間9・紅き闇とメイド少女2(サラウンド・ワン)-----VS紅闇(Andras)

その日、ルーレは快眠とは言い難い眠りから起きた。

悪い・・・というより変な夢を見ていたような気もするが覚えていない。


(ふぅ・・・。こういうけだるい朝は散歩でもしてくるにかぎりますかね)


そうぼんやり考えながら寝巻きから着慣れたメイド服に着替え、中庭へと向かう。

幸いにも晴れて透き通るような青空を見上げつつ目を覚ましていると丁度そこに同じメイド仲間のランがやってきた。


「やっほーっおはようですルーレさん!いつも早いですねっ!」

「ランさんこそいつも元気でうらやましいです」


嫌味ではなく心からそう思いながらいつも通り挨拶を交わす。

いつもなら主人であるマキナを起こしに行く流れだが、今日は違った。


「でもなんでこんなに早いんですか?あの役立たず・・・・・・マキナはいないのにー」

「まあ習慣ですから」


そっけなく返すルーレにおおーっと感嘆するラン。


「マキナに代わってルーレさんが会議を担当するんですよねっ!頑張ってくださいね!!」

「マキナさんに比べれば私の方がマシでしょうから仕方なく、です、け、ど」


ギリギリと、頭が痛む。

春先だというのに風邪でも引いたのでしょうか?と不思議に思いながら頭を押さえるルーレ。


「ふぅ、今日は何故か体の調子が悪いですね・・・。ストレスでしょうかランさんの元気を分けてもらいたいくらいですよ」

「うーん、大丈夫ですっ?今までマキナにこき使われていたから反動とかあったのかもです・・・。今日くらいゆっくりしては?」

「そういう訳にも行きませんよ。この緊急事態に会議欠席なんて・・・」


あれ?何が緊急なんでしたっけ?

ソレイン評議国は安定してますし・・・魔王軍も攻めてこれないですし・・・。

シュレフィスト様とレン様の話もマキナさんが言っていた「程度」のことですからどうでも、


痛い。やはり頭が異常に痛む。なんで?

別に昨日だって夜更かししたわけじゃないはずなのに。

きりきりきりきりきりと。

何なのだ一体。

頭痛。

頭痛?

そもそもこれは本当にただの体調不良か?


そもそも。


わたしはここで何をしていた?

なんのためにこのくににつかえていた?

わたしは、そう。おうこくをつぶそうと、おうこく?おうこくなんてないはず。なぜ?そうまきなさんがたすけてくれて、でもまきなさんはてきで、わたしのにくむべき



『バキンッ』



「・・・い。おいルーレ?」

「ふぇ・・・?」


そこは会議を行う円卓がある部屋だった。

突っ伏して寝てしまっていたらしいルーレを元革命軍リーダー、ルールが驚いたように見ていた。


「珍しいなルーレがそこまで無防備な姿を見せるなんて」

「す、すみません。よく分からない夢をみ、て・・・?」


(本当に不愉快で不敬な夢でした・・・。ランさんも私もご主人様のことをあんなふうに言うなんて)


そう考えて自分が座っている席が普段マキナが座っている席だと気が付き、慌てて立ち上がる。

誰に言われていたわけではないがいくらマキナの代わりとは言え、そこに座るとマキナが帰ってこなくなりそうで嫌だったのだ。

マキナの居場所を守りたいという健気な想いから。

それを知ってか知らずか昨日話し合ったとき立っていたルーレに疑問を呈する者はいなかった。


(あれ・・・?私いつの間にここに?朝何をしていましたっけ・・・)


まったく思い出せない。

そう悩んでいると円卓に座るミューとエンブレが話し始めた。


「さて、4人そろったところで始めるみゅーな。代行入るけど」

「おーう、今日も仕事はじめるぜー。あの野郎がいないのが救いだけどな」

「うむ。無能な王子がいなくなるとやりやすい事このうえない」


「・・・・・・・・・・・・・・・っ」


理解できなかった。

なにがというのも簡単である。

『無能な王子』というレッテルに、なんの躊躇もなくマキナのことを思い出しあてはめ、それを当然だと感じている自分の感情が、だ。


「・・・うっ」


くらくらとめまいがする。

吐き気を催ししゃがみ込む。

何だこれは?

自分の心と記憶に嫌悪感と不信感をここまで抱くのは初めてである。

また夢なのだろうか?

夢であるならさっさと覚めてほしい。今日は忙しいのだ。

ご主人様がいないストレスは大きいとはいえ、こんな夢を見るほどなのだろうか。

どこまで自分は甘えれば済むのだろう。

いまこそ、ご主人様が窮地であるからこそ今度は私が助けないといけないのに。


「お、おいルーレ?やっぱ今日のお前はおかしいぞ。体調が悪いなら休んでいた方が」

「・・・さ・・・」

「え?

「うるさい・・・っ」


ルーレとは思えない暴言に絶句する3人。

だがルーレの方はそれどころではなかった。


どうなっているのか、何が起きているのか聞かなければ。

この3人はダメだ。

同じ理由で夢だったのか現実だったのか分からないがランも。

そして確実にご主人様に恩がある人・・・。


そう考え一人の女の子を思い出し、引き留めようとするルールを無視し走る。



「フィリアさん!少しいいですか?!」


ルーレの記憶では、フィリアは派閥についてマキナに忠告し後に大やけどをしているところを救われている。

実際そのことにフィリアはかなりの感謝をしているようでシャルロットのおつきとして頑張ってくれていることを知っていた。

そんなフィリアならこの状況を打破するカギになるのでは、と。


「ル、ルーレさん?どうしましたそんなに慌てて・・・」

「早急に聞きたいことがあるんです。ご主人様、マキナ様のことなのですが」

「はい、マキナさんがなんでしょう?行方不明だと聞きましたけど」

「・・・それについてなんとも思わないんですか?」

「え?まあ報いじゃないですか?ルーレさんも言ってたじゃないですか、本当に最低な人だって」

「・・・・・・・・・・・・・・・・そう、ですか」


ふらつきながら、ルーレはめまいを必死に抑えながら次に聞く相手を探し始める。

心底不思議そうな顔をしたフィリアを置いて。




(私が、おかしいのかな)


結論から言えば。

マキナの味方などどこにもいなかった。

関係がある人だけではなく藁にも縋るおもいで面識もないであろう人にもあたったが同じ反応である。

役立たず

無能な王子

乱暴で最低

権力乱用の権化

そればかりだった。

しかも口をそろえて言うのだ。

『ルーレさんもそう言ってたじゃない』と。


(・・・明らかに、おかしいのは私の方だ。なのになんで、なんでこんな・・・)


悔しい。

心から悔しいのだ。

マキナが罵倒されることが自分のことのように腹が立って仕方がない。


そうたどたどしい歩みはいつの間にかマキナの自室に向かっていた。

当然のように誰もいない。

そんな広い室内のおいてあるベッドの前に崩れ落ちるように座り込み、布団に顔をうずめる。

恐怖と不安と悔しさがごちゃ混ぜになりこぼれる涙を隠すように。


(きっと、これはただの同情でしかない。いなくなったご主人様のことを憐れんで、いい面しか覚えていないだけで。そう、それだけ・・・)


そう言い聞かせても何も変わらない。

なにも忘れることができない。

この国を変えようと真剣な彼を。

自分を許し、一緒に寝た恥ずかしがる彼を。

信頼を寄せてくれていた彼を。

華麗に障害を打ち倒し平等な統治を成し遂げた尊敬できる彼を。

ただのメイドである自分にすら心配をしてくれた優しい彼を。


「忘れられるわけがない・・・っ!」


そこでようやく決心がついた。


「・・・日記。私の日記を読み返したら本当のことがわかるはず・・・」


怖い。

そこに書かれた内容がご主人様への罵倒かもしれないと考えるだけで恐ろしい。

でも、だから何だというのか。

昔は昔。今の自分は今の自分だと言い聞かせ、日記を開く、と。


「やっぱり・・・っ!!」


そこに書かれた内容はとてもご主人様には見せられない、


敬愛すらこもった文字たちだった。

好きで好きでたまらないことがすぐにばれてしまうような文ばかりである。

こんな文章を書きながらも自分がご主人様のことを異性として好いているのに気が付いたのがつい最近だというから面白い、と思いながらも安堵感に包まれる。

自分の記憶は間違っていなかったのだと。


とりあえず、とりあえず深呼吸を、と思い、息を大きく吸ってはく。


(ご主人様はいつも言っていました。『常に冷静に』と。今こそ冷静になるべき時です。自分が正しいと分かった今、何が起きているのかが次の問題・・・!)


そもそもだ。昨日の時点では誰もマキナのことを悪く言っている者はいなかった。

心の中で思っている者はいるかもしれないが少なくとも口に出してはいなかった。

なら何故今日になって突然こうなったのか?

思い当たる点は、あった。


(単一感情、の増幅。東雲の魔王がやってきた魔法と同じ物・・・?)


人を人が見るとき、そこには様々な感情が含まれる。それは例えば、あの人のこういうところは好きだけどこういうところは嫌だな、と言った風に。

マキナへの『嫌悪』の増幅。そういうことではないだろうかと考えた。

つまりは、


(敵は東雲の魔王かそれに匹敵するの者の仕業、いやタイミング的におそらく魔王・・・!)


ではなぜ自分だけ抜け出せたのか。

それは東雲の魔王の魔法にマキナがかからなかったのと同じ理由じゃないかと考える。


(あの時、ご主人様は東雲の魔王に対して一切の恐怖感が無かった。だから効かなかった・・・?同じ理由で私のご主人様に対する嫌悪感がほとんどなかった結果、増幅しても効き目が薄かった?)


ご主人様を最も信じているのが自分であることをちょっと誇りに思いつつ、これからすべきことを考え始める。


(だったらそのちょっかいをかけている魔王を倒すかやめさせるかすればいいということに・・・。でも王宮すべて、いやもしかしたら街も含める広範囲で魔法を発動させるとなるとかなりの力が必要なはず。射程距離も必然的に短い。ということは十中八九、その魔王は、この王宮にいる)


最も考えられる可能性は、


(誰かと入れ変わっている・・・っ!?待てよ、そういえばフィリアさんに意見を求めた時、何でご主人様が行方不明ってことを知ってたんだ?)


ということは。

そのことを知っていた者。

会議の3人。マキナに仕える使用人3人。マキナの家族6人。


この12人のうち誰かということに・・・


そう悩んでいるとふとおなかが減っていることに気が付いた。

ここに至るまで必死だったため気が付かなかったらしい。

取り敢えず栄養を取って、頭をフル回転させることができる状況を作らないとと、厨房へと向かうのだった。




「いやーはやいはやいよ流石にさー。もーちょっと騙されてくれてもいーじゃん、東雲ちゃんの軽いやつに比べれば10倍は強力な上位魔法なのにーさー。なーんか未明ちゃんを思い出すよー」


そう嘯くあらゆる色で着飾った道化師のような服の彼女は全く違う姿をしていた。

とある人物に酷似した姿に。

ささっと服を着替え、魔法で収納する。


そして舌なめずりをしながら笑うのだ。


「さーさールーレちゃん。暁たる紅き闇の魔王、ダウンを楽しませるだけの技量があるのかなー?」


内容が思い浮かばな過ぎて困惑しているそよ風と申します。

遅れたとかいう次元じゃ無いですねこれ・・・。

何回かいても書いてもコレジャナイ感がぬぐえず、書けませんでしたごめんなさい。

ルーレさん回は頭使うからフラグ管理に気を付けないといけないんですよね・・・。

そんな私にお付き合いしてくださる方、本当にありがとうございます。

ここまで読んでくださった方に感謝を。



ちなみにこの場にマキナさんがいると暁の魔王は一話で倒されます。

・・・・・・化け物すぎっす。



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