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「「異世界から来て魔王と勇者を兼業した唯一無二の人間だよ」」  作者: Hurricane(そよ風)
2章・「まさか一度に6種族と戦う羽目になるなんて・・・」-エルフ・マーメイド領域征服戦
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第二十七話・「波乱の一日だったけどあいつらは大丈夫なのかねぇ」

アロマの大規模魔法により消滅したり石化したりした大地が広がる。

そんな状況でもどこからかやって来た狼の耳としっぽを持つお姉さんは叫んでいた。


「ど、どこのかたがたかはしりませんけど、きりありさまのいっかくをころすなんてっ!!」

「あー、まあ襲われると思ってやったこととはいえ、わるかっ

「知ったこっちゃないわよ。なに?あんたもさっきの蟻の仲間?」


そう言いながら右手をかざす。

その姿にビクッ!と狼のお姉さんはおびえてしまった。

一切悪びれることのない王道を行くようなアロマを手で制止する。


「・・・なによ」

「話にならなくなるから今は静かにしておいてくれないか?ただでさえこの森のことに関して俺たちは何も知らないんだ、情報はあればあるほどいい。それは分かるだろ?」

「・・・・・・分かったわよ」


拗ねたように腕を組みそっぽを向いてしまった。

自覚はあったんだなと思いつつ、目をつぶり震える狼のお姉さんの肩を叩く。


「ひっ!」

「大丈夫、何もしないからさ。そこの兎さん・・・アロマも悪気があったわけじゃないんだ。とりあえずいろいろ聞いてもいいか?」

「・・・ほんとですか?いたいことないですか?」

「しないよ。っていうかアロマはともかく俺はただの人間だしな」

「・・・・・・おはなし、したいです・・・っ」

「はぁ、それで元王子様。私は何したらいいのかしら?」


皮肉が多分にこもったアロマの言葉に苦笑する。

狼のお姉さんはマキナの服を掴んで背中に隠れていたが。

その時アロマの眼がかすかに動いた。気がした。

何かをマキナに求めるかのように。


(まさかとは思うがアロマが狼のお姉さんを力で脅して、俺がそれをかばうことで信頼を得ろってことか?もしかしてここまで考えて・・・?)


もしそうなら本気でアロマだけは敵に回すべきじゃないと思いつつ、何事もなかったように振る舞う。


「そうだな・・・狼のお姉さん。君の住む場所って村とかだったりする?できればそこの村長みたいな人と話したいな。俺たちちょっと遭難しててな、蟻のことも俺たちから説明したいし」

「んー・・・わかりました。それならきっと、とくれいとして、みとめてくれるとおもいます」



先導してくれる狼のお姉さんについて行きながら彼女のことについて聞いていく。


「それで、君の名前は?」

「よるです」

「え?」

「よる、っていいます。『ひる』とか『よる』の、よるです」


夜、ということだろうか?そういう名前も存在するんだなと考える。


「夜、ね。私はさっき紹介されたけどアロマ・ピラノースよ」

「よっ、よろしくです・・・」

「・・・怯えられてるし。あ、俺はマキナだ。本名は・・・長いからいいや」


名乗る機会がなく名前を忘れかけていた。

まさか自分の名前に若干自信がないとは言えなかったが。


「まきなはあれですか?ぼうけんしゃっていうやつなんですか?」


目を輝かせながら聞いてくる夜だが、そもそも冒険者なる職業があることすら知らなかった。

ゾンビとかの話を聞いていると遺跡などと言った古代の遺物が残っているらしい。

仲間と共に未発見の遺跡探索とか楽しそうだなと考えているとアロマが先に話した。


「違うわよ、こいつはソレイン評議国の実質的トップ。元王子様だからね」

「お、おうじさま!?すごすぎてあんまりじっかんがあわわわ」

「いうほど大したことはしてないよ。それと夜にアロマ、あんまりそれ言わないでくれな。あんまり国同士の関係にはしたくねえし」

「・・・?とりあえずないしょないしょ、ですね、まきな」

「まあそうね。私まで巻き込まれたらたまったもんじゃないわ」


そう話しながら歩いていると目の前にコテージのような木製の家が見えてきた。


「ほぉ・・・。エルフみたいに木をくり抜いたりはしないんだな」

「逆にエルフぐらいよ、木の中に直接住むやつらなんてさ。私たちも移動式の家だしね」


ゲル、みたいなものかな?と思いつつ狼たちの敷地らしき場所に入る。

そこでくるっと振り向いた夜は、


「ようこそ、じんろうのくに『ふぇりすた』へ!」



そこから通されたのはコテージの一室。

周りには少数ながら狼と人間・・・人狼?たちが遠巻きにおどろいた様子だった。

その奥には一際大きくて白い人狼が腰かけていて、その男?が夜に話しかけた。


「これは・・・どういうことじゃ?」

「ええっと、もりでそうなんしていたみたいでして・・・」

「遭難?珍しいのう、こんな森に紛れ込むとは」

「川に流されて外周部から来てしまったらしくてですね。それでそのために洞窟に泊まっていたんですがそこで錐蟻というものと会いまして」

「・・・なんじゃと?錐蟻様に会ったというのか」

「問答の最中に襲われかけて倒してしまったんですが・・・」

「錐蟻様を!?一体どうやって・・・。いやそれよりもこれは大変なことになったものじゃ・・・」


「なんてことを!」「それよりこれからどうする?」「錐蟻様を倒すなど尋常な強さでは・・・」


そんな周囲のざわめきを聞き、詳しい説明を夜に尋ねることにした。


「夜、結局錐蟻っていうのはなんなんだ?」

「えっとですね・・・


少し長かった夜の解説の要点をまとめると、だ。

この人狼の国、フェリスタには「巫女」というのがいる。

この「巫女」は3年に一度、錐蟻様を訪ね、身を捧げるか捧げないかを判断してもらう。

身を捧げたものは消え、新たな「巫女」が選ばれる。

そうすれば平穏が続く・・・

といった、人身御供の儀式のようだった。

今までなら「巫女」は3年に一度消える、というのが定説だったが、夜が「巫女」になった6年前からなぜか帰ってこれるようになったのだという。なぜか、というのは本人にその記憶がないらしい。そして次の儀式は明日の夜・・・満月の日だそうだ。

今日はその下見だったらしい。


(にしても・・・『錐蟻が一角』って言ってたよな、あの蟻。洞窟の奥から出てきたことといい、複数どころか下手したら女王蟻とかいるんじゃねえのか?流石にあの巨体が何万といることはないだろうけど・・・)


「長老さん」

「う、うむ?なんじゃ?」

「これは俺とそこのアロマが招いたことです。だから責任を持っていろいろ調べてみますよ。東雲の魔王の眷属とか言ってたのも気になりますしね」


疑問点は、先にあげた「錐蟻の数、生態」「リリスとの関連性」「巫女という生贄がなぜ始まったのか」「なぜ最近になって夜が戻ってこれるのか」「捧げなかった場合どんな災いが起きるのか」

このあたりだろうか。


(いや・・・多いなオイ。それを明日の夜まで?また無理ゲーを押し付けられたパターンかよ)


そう思いながらも未知なることに少し心躍らせる。

そんなマキナはやはり変人なのだろう。


少し欠けた月?のような天体を見上げつつ、


(俺が崖に落ちたことをそろそろ知ったはずのルーレと、様子が変だったから元気づけておいたゾンビ。あいつらは今何してるんだろうな)


そう考えるマキナだった。

10日間に合わなかったか・・・そよ風と申します。

最近ちょっと本当にダメだな。流石に遅れ過ぎだ・・・。

日曜日も用事だし平日はかなり投稿カツカツだし。

タイピング練習しようかな?

さてここまで読んでくださった方に感謝を。次回は月曜日までに!



これは本当にこそっとした伏線だけど、この森の名前の前2文字と錐蟻って名前似てますよね。

これ一応人狼たちの歴史に関する伏線です(ネタバレ)

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