閑話1 終わりの日と始まった物語
いつもよりかなり短めです。
あ、1話後半を少し変更しました。
おっす、俺橘 雄大。高校2年生の17歳、年齢=彼女無し歴、童貞だ。
それはさておき、今は8月9日。夏休みだ。高校2年の夏休みともなると友達とプールに行ったり旅行に行ったりするんだろうが、俺はアウトドア派だ。別に友達がいない訳じゃあない。
断じてない。
その証拠に、今友達、いや、大親友の家に行っている最中なのだから。
そいつの名前は相模 樹。小学生の頃からの友達で、俺と同じくオタクだ。
なのだが、さっきから家に行っていいかを聞く電話をしているのに、全然出てくれないのだ。まあ今いる信号を渡って曲がり角を進んだ先が樹の家なんだけどな。
ははは、もしかして着信拒否されてたりして。そんな馬鹿な。我ながら面白い冗談だ。
されて無いよな?
と泣きそうになりながらもスマホをポケットに仕舞った時、今言った曲がり角から、見覚えのある中肉中背の、しかし顔は良い(自分で言ってた。否定出来ないから悔しい)姿が見えた。
「あ……おーい、樹……ん?」
そう、樹だったのだ。こちらには気付いていない様子で、樹は俺がいる横断歩道の10メートル程離れた反対側でスマホを取り出し、少し操作してから耳に当てた。何処にかけているのだろう? そう思った時、俺のスマホが鳴った。え、俺?
着メロは結構うるさいのに、樹はこちらを見向きもしない。気付いてるだろ絶対。さっきの冗談は現実になってしまうのだろうか。
なんて悠長に考えていたら鳴り止んでしまうので、3コール目で通話をタッチして耳に当てる。
「も、もしもし?」
「雄大、俺だ。家に行ってもいいか?」
それは紛れもなく樹の声だった。だが、何かがおかしい。何故か樹であって樹じゃないような、そんな曖昧さを感じる。まさかドッペルゲンガー!?なんちゃって。
「あ、ああ。良いけど。つっても、お前の反対側にいるんだけどな」
そう言った後、樹が此方を向いたので、軽く手を上げたら樹は本当にびっくりしているみたいだった。そう言えば曲がり角から出てきた時も俯きがちだったし、本当に気が付いていなかったみたいだ。ほっ。
「あ、マジか……おーい、今からそっち行くわー!」
樹は電話を切り、大声で叫んで来た。
「おう、わかった────樹、危ない!!」
「えっ────────」
信号が青になり、樹がこちらに走って来たその時。
信号を無視したトラックが、車道から樹に猛スピードで突っ込んだ。
────
「……おっ」
「どうした?」
「イツキは分身が代わりに死んでおくって言ってたじゃん?」
「おう」
「成功だよ」
「さっすが邪神さまー」
「ふふん、こんなのお茶の子さいさいだよ。でも撫でてー」
そんな会話がデートに行く前の新婚バカップルの間であったとかなかったとか。
そしてこの温度差である。
明日も1話投稿です……とい来たかったのですが、学校が始まってしまいました。
恐らく2日に1回になると思いますが、これからもよろしくお願いします。