表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

第7話 認めざるをえない現実

 


 「よ、よろしくお願いしますマリナさん!」


 「あはは、そんな固くならないでいいよ。あと、さっきも言ったけどマリナでいいからね! さん付けって照れ臭いし、慣れてないんだ。」


 私のドギマギとした挨拶を見て、マリナさん、いやマリナは楽しそうに笑っている。


 笑った顔もいいな……おまけに優しいし、私のことも知っててくれたし…………ってあれ? 私、マリナと初対面のはずじゃなかったっけ? なんで私の名前知ってるんだ?


 その疑問を口にする。

 返ってきた答えは、あまりにも衝撃的なものだった。


 「ああ、あたし、あの花畑にいたんだよね。アオイが自分の名前言ってるとこ見てたから。気付いてなくても仕方ないって。あたし、あの時透明状態だったし。」


 ――――と、透明状態っ? いやいやいや、何なのそれ! SF? 嘘でしょ、まさか、そんな……


 よっぽど顔に出ていたのか、マリナが「嘘じゃないよ。」と付け加えて言う。


 「これだよ、これこれ。この魔法薬を使ってたんだ。」


 と言って、マリナがジーンズのポケットから取り出したのは、薄紫色の粉の入った小さな瓶だった。

 マリナはその(ふた)を開けると、中の粉を自分の体全体に一気に振り掛けた。

 すると。


 「!」


 一瞬、マリナの体全体が強く光ったかと思うと、その次の瞬間、もうマリナの姿は見えなくなっていた。

 さっきまでマリナが持っていた瓶が宙に浮いている。

 その瓶に入っていたあの薬がマリナを透明状態にした、というのは明らかだった。


 本当に、本当にこんな薬が存在してるなんて……てか、なんとなく気付いてはいたけど、やっぱりここって……


 頭の中に前からずっとあった考えが、いよいよ現実味を帯びてくる。

 その考え自体、あまりにも非現実的だっていうのに。


 「で? あたしに聞きたいこと、まだまだあるでしょ? 異世界から来てるんだから、わからないことだらけなんだろうし。」


 えっ? い、異世界? なんでそれがわかるの?


 驚きを隠せないでいる私を見て、マリナは首を傾げながら口を開いた。


 「だってアオイ、あんた神様のいた世界から来てるんでしょ? 姓と名前の順番逆だし。」


 ここまでで、わかったことが2つある。

 1つは、ここが異世界だという、私の考えは大当たりだったということ。

 もう1つは、さっきから何度か耳にしていた『神様』というのが、私と同じ世界の住人だということだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ