第4話 衝撃の言葉を告げられて
目を開けると、私は見たことのない広い部屋に彼と一緒にいた。
――――あ、あれ? な、何が起こったの? なんか光に包まれて……眩しくて目つぶってたら、いつのまにかここに……ここ、どこ?
頭を動かして周りの様子を見る。
正面には人の形をした石像と、その像の左右に長椅子が一つずつ。
いくつかある窓は全部カーテンで閉め切られている。
他には何もなく、後ろに出入り口と思われる木製のドアがついているだけ。
さっきの花畑とはうって変わって、今いる場所は薄暗く、殺風景だった。
さっき話は王宮でする、とか言ってたから、ここは王宮なんだろうか。
それにしては薄暗いし、ちょっと気味が悪いな……
ぼんやりとそんなことを考えていると、隣にいる彼が口を開いた。
「王様、お話があります。」
そう言うと、彼は私の手首から手を放し、長椅子の方へと駆け寄った。
――――王様? ここに人がいたの?
よく見ると、石像横の長椅子の端に一人、老人が座っていた。
頭も髭も真っ白で長い。
RPGに出てくる王様ってこんな感じだよな、なんて。
彼は王様の傍へ行くと、王様の耳元でこそこそと話をし始めた。
すると、眠たげだった王様の目が見開かれ、視線が私の方へと向けられた。
顔には驚愕の色が浮かんでいた。
「なんだと……このお嬢さんが……そんな、そんなことが…………!」
彼からの話を聞き終えた様子の王様は、長椅子から立ち上がり、おぼつかない
足取りで私に近づいてきた。
彼はそんな王様が転ばないよう、背中を手で支えていた。
「あなたは神様の生まれ変わりだ! どうか我々をお救い下さい!」
王様は大声でそう言うと、祈るように手を組み、そのまま私の目の前でひざまずいた。
その表情は、今にも泣きそうだった。
え、えええええっっっ!
こ、この人王様なんだよね? こ、この国で一番偉い人だよね? そ、そんな
人がなんで私にひざまずいてんの? し、しかも神様の生まれ変わりって何の話!?
訳のわからないことが多すぎて頭がクラクラしてくる。
とにかくこの状況を説明してもらいたい。
その一心で、王様のすぐ傍にいる彼に視線を向けた。
――――と、その時。
「大変です! 王様!」
木製のドアが蹴破られたかと思うほどの勢いで開いたかと思うと、
耳が痛くなるような大声が部屋中に響いた。
驚いて振り返ると、若い男の人がいた。
さっきの声の主はこの人か。
西洋の甲冑に身を包んでいるところから見るに、兵士の人だろうな。
「……天魔が、王宮内に出現いたしました。」
兵士の人は肩で息をしながら、青ざめた顔でそう言った。