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第2話 遅ればせながらも気づいた異変



 「……なあ。」


 それが自分に向けられた言葉だということに気付くまで数秒かかった。

 彼から発せられる低い声に、今まで混乱状態におちいっていた頭がやっと冷静さを取り戻す。

 

 「ご、ごめんなさい! 大声出してしまって……耳は大丈夫ですか?」


 冷静になった私が一番にとった行動は、彼への謝罪だった。

 

 ――――何か危害を加えられたわけでもないのに、あんな大声で悲鳴を上げるのなんて失礼だしね。


 「別に何ともない。気にしなくていい……だけど」


 罵声を覚悟していたのに、ずいぶんと優しい反応だった。

 思わず感謝の言葉が口に出かかったけれど、彼の言葉の続きが気になったので一旦いったん何も言わずに、彼の目を見つめた。

 ダークブルーの綺麗な瞳に私の姿が映る。

 

 すると彼は、何かを言おうと口を開きかけたにも関わらず、首を少し横に傾け、私から視線をそらした。


 どうしたんだろう? 私、何か他に変なことしたかな? だとしたら、また謝らないと……


 「その……そ、そろそろ、離れないか……?」


 さっきよりずっと小さく、つっかかり気味の声が耳に届く。

 その時、私は初めて自分の体から彼の両腕が離れていたことに気付いた。

 

 「ご、ごごごめんなさい!」


 慌てて起き上がり、彼の体から素早く離れて、背を向けた。

 上気したこの顔を見られたくない――その一心だった。

  

 ――――は、恥ずかしい。ずっとくっついてたなんて。

 

 下を向き、目をつぶって頭を振っても、顔の熱は到底ひきそうにない。

 17歳にして男子と付き合ったことすらない私にとって、男、しかもこんな超絶イケメンと長いことくっついてたという状況は、あまりにも刺激が強すぎた。

  

 「……気にしなくていい。それより、あんたは一体何者だ? 見慣れない格好の上、空から降ってくるなんて。」

 

 下を向き、目をつぶったまま必死に心を落ち着かせようとしていた私だったけれど、この彼の発言にはさすがに驚かされた。


 空から降ってきた? この人、何を言ってるの? しかも、制服が見慣れない格好って……


 不思議に思いながらも、質問にとりあえず答えようと思って、顔を上げた。


 ………………え?


 一瞬のうちだった。

 私の頭がフリーズしたのは。


 顔を上げた先には、美しい光景が広がっていた。

 

 赤、白、青、ピンク等の色とりどりの花が咲き乱れる、美しい花畑。

 雲一つない青い空。

 光り輝く太陽。


 その光景は、どう見ても私のマンションの中ではなかった。

 

 

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