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事件  作者: 竹仲法順
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第95話

     95

 その日も午後五時には仕事を終えて、刑事課を後にし、署を出る。新宿の街を歩いた。体はきつい。だが、一日の業務が終わると、気だけは楽だ。新宿駅まで向かう。地に足を付けて歩きながら……。デカは職業上、一際疲れるのだが、十分分かっていた。

 地下鉄に乗って、自宅マンションに帰り着く。スーツを脱ぎ、着替えを済ませてから、入浴する。芯から冷え切った体を温めた。風呂上りに缶ビールを一缶飲む。酒は程々にしていた。頼っていると、肝臓などを悪くしかねないので。

 午前零時には眠りに就き、朝まで熟睡した。疲れていると、眠りが深くなる。常にそうだった。ここのところずっと。

 翌朝、午前六時には起き出し、キッチンでコーヒーを一杯淹れる。飲んだ後、上下ともスーツに着替えてカバンを持ち、歩き出す。やや速足で地下鉄の駅へと向かった。そしてホームに着ていた電車に乗り込み、都心へと出る。

 確かに、毎日仕事が大変だ。だが、日勤の警察官である以上、日中暇はない。多少きつくても出勤する。

 署に着き、刑事課でデスクのパソコンを立ち上げ、コーヒーを一杯淹れて飲む。そして課内に詰め続けた。ずっとマシーンのディスプレイを見ながら、庶務をこなす。淡々としていた。刑事は事件捜査だけじゃない。普段から他にもいろいろとやることがあるのだ。

 昼になり、いったん仕事を切り上げて、吉倉たちと共に、課内で出前の丼物を食べる。食事時はいい。幾分気持ちが休まる。勤務中は基本的に、心身ともにきついのだ。あくまで疲労時は大事を取る。休憩時間は貴重なのだ。そう思っていた。

 それにしても、二件の殺しのヤマは一体どうなったのだろう?警視庁の捜査員も島から引き揚げていて、今は日本国内で村上ら殺人犯を追っているものと目される。ずっと追ったり追われたりで、果たして解決するのだろうか?訝しんでいた。空回りなんじゃないか、と思ったりもして。まあ、所轄の一警官が本庁の捜査方針に口出しすることは出来ないのだが……。それに必ず事件は解決する。何も強引なことをしなくても。どんな犯罪者もどこかしらでヘマをやらかすのだから……。(以下次号)


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