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事件  作者: 竹仲法順
83/230

第83話

     83

 その日も午後五時には一通り勤務が終わり、デスクのパソコンを閉じてから、署外へと歩き出す。事件捜査は本庁と海外の警察にバトンが受け渡されているから、俺の考えることは何もない。単に刑事課で淡々と詰めるだけだ。退屈こそしないのだが、単調さに神経をやられて疲れる。

 新宿駅から地下鉄に乗り込み、自宅へと向かう。しばらくの間、電車に揺られ続けた。目的の駅で降り、歩いて自宅マンションに帰り着く。扉の鍵を開けて、室内に入った。軽く息をつく。安堵した後、部屋着に着替えて、キッチンで自炊した。

 食事後、入浴して全身を綺麗にし、シャワーで温めた後、冷蔵庫から缶ビールを取り出す。プルトップを捻り開けて呷り、しばらくの間、寛いだ。明日も通常通り仕事がある。きついのだが、行くしかない。

 一晩眠り、翌日午前六時には起き出して、スーツに着替えた後、コーヒーを一杯淹れた。飲んで気持ちを落ち着けてから、カバンを持ち、部屋を出て歩き出す。

 朝のラッシュに巻き込まれたのだが、午前八時二十分前には署に着き、刑事課に入っていって、デスクに座る。パソコンを立ち上げて、警察の捜査情報サイトを見た。現役の警視庁職員しかアクセスできない分、ガードは相当堅い。

 やはり東川幸生殺害容疑が掛かっている村上警部補は、赤道直下に位置するオールバル島にいる可能性が高いという旨、記載があった。警察官が警察を舐めているとしか思えない。まあ、村上は所詮その程度の人間だ。大したことはないのだし、いずれ捕まる。心の奥底でそう思っていた。

 吉倉がいて、タバコを吸っている。中毒だから仕方ない。もちろん、人間は体に悪いものを大量摂取しながら、生きている。俺だってタバコこそ吸わないものの、飲酒はするのだし……。

 互いに「おはよう」と挨拶し合った後、午前中はずっと課内にいた。特に変化がなく、時間が流れる。パソコンを使い、淡々と庶務をこなしていたのだが、幾分疲れていた。人間はやることが単調なほど、脳が疲弊する。コーヒーで何とか目を覚まし、覚醒させてから、職務を遂行した。

 警視庁の捜査員は今頃、オールバル島に入っているだろう。赤道直下で常夏だから、蒸し暑いと思われた。まあ、俺たち所轄のデカは事件から引き離されて、今通常業務に切り替わっている。無理するつもりはない。与えられたことをこなすだけだ。事件捜査がどう推移していくかは、興味のあることなのだが……。(以下次号)


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