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事件  作者: 竹仲法順
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第82話

     82

 その日、全ての荷物を移した後、午後五時まで刑事課に詰めた。そして時間になると、フロアを出て、帰宅する。疲れていた。内勤でも座りっぱなしだと、腰や臀部などが痛くなる。街を歩きながら、思っていた。東川幸生殺しの容疑者の村上はやっぱ高飛びしてたなと。まあ、後は警視庁の刑事が始末するだろう。俺も吉倉もこの件に関してはお役御免なのだから……。

 自宅に着き、着替えを済ませて、キッチンで自炊した。夕食を作り、独りの部屋で取りながら、ゆっくりする。数日もの間、外回りだったが、また内勤で勤務スタイルはガラリと変わる。デカはハードワークだ。家にいる時ぐらい、心身ともに休める。

 その日も夕食後、入浴を済ませて、午前零時には眠った。睡眠時間は六時間ほどなのだが、仕方ない。仕事があると、おちおち寝てられないのだ。

 翌朝、午前六時には起き出して、上下ともスーツに着替えを済ませ、コーヒーを一杯飲んだ。そしてカバンを持ち、歩き出す。地下鉄の駅まで行き、ホームに着た電車に乗って、新宿へと向かう。ラッシュに巻き込まれたのだが、午前八時二十分には署に着いた。

 捜査本部は綺麗さっぱり畳まれて、俺の方は刑事課に入り、自分のデスクに座った。吉倉がいて、

「井島、今日の午後から剣道の稽古でもどう?」

 と言ってくる。

「ああ。……久々だから、だいぶ腕落ちてると思うけどね」

「まあ、確かにな。ずっと事件捜査で忙しかったし」

 吉倉がそう言って、タバコを銜え込み、先端に火を点けて吸い始める。ゆっくりと燻らせ続けた。辺り一帯が煙臭くなる。分煙されてないから、煙がもろに来て、一際煙たい。思う。この男も変わらないなと。まあ、別に気にしてない。警察官と言っても、カッコいい感じの人間は少ないのだ。俺の知る限りでは。

 昼食に出前が取られ、温蕎麦を啜る。そして午後一時半過ぎから、署の剣道場で稽古した。しばらくの間、ウオーミングアップで筋トレや軽い素振りなどをした後、手合せする。竹刀を存分に振って汗を流した。さすがに冬場でも稽古すると、汗を掻く。一時間ほど道場にいて、久々に運動らしい運動をした。

「腕だいぶ落ちたって自分でも思えるよ」

 そう言って、心中を吐露すると、

「気にするなよ。誰でもそうだ。また鍛錬すれば、元に戻るよ」

 と吉倉が返す。そして道場を出、シャワーを浴びて汗を洗い落としてから、スーツに着替えた。刑事課に行き、詰める。しばらくの間、課内で署員の電話応対などが続いた。デスクに着き、ずっとパソコンの画面を見つめる。コーヒーを淹れて飲みながら、庶務などをこなした。疲れていても、仕事はたくさんある。刑事は大変だ。やることが山ほどあって……。(以下次号)


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