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事件  作者: 竹仲法順
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第66話

     66

 その日の午後も時間が過ぎていき、午後五時を回ってから、パソコンを閉じて捜査本部を出る。夜勤の刑事たちが署内の各フロアに入ってきた。一日の仕事が終わり、ホッとする。夜の新宿の街を歩いた。辺り一帯に人が溢れ返っている。この街に犯罪は絶えない。

 新宿駅の地下鉄乗り場から、地下鉄に乗り込み、そのまま自宅へ戻る。疲れていたのだが、何とか目的の駅で降りてマンションへ向かった。夜道は危険なのだが、街灯を見ながら、歩いていく。

 帰宅すると、もちろん誰もいない。軽く息をつき、スーツを脱いでから、部屋着に着替えた。夕食を自炊し、独りのテーブルで取る。麗華が来れば、また雰囲気も変わるのだろうが、彼女は今夜も仕事だ。クラブのホステスは何かと忙しい。世の男性に酒を飲ませ、欲望を満たす。まあ、その手の店もいろいろと裏事情はあるのだろうが……。

 午前零時前には入浴も済ませ、そのまま眠った。眠前に読みかけていた小説を読み、気を落ち着ける。思っていた。明日もまた変わらずに仕事だと。慣れてはいる。警察官として署に勤務することに。

 翌朝、午前六時には目が覚め、起きてからキッチンでコーヒーを一杯淹れる。スーツに着替え、汚れたシャツなどを屋内の洗濯機に入れて、洗剤を足してからボタンを押し、稼働させた。いつも洗濯は外出中に済ませている。

 午前七時半過ぎに自宅を出て、最寄りの駅へと向かう。電車はダイヤ通りに動き、いつもと変わらない朝だ。スマホを見ながら、ネットニュースを読む。ホームに新宿方面行きの車両が入ってきて、すぐに乗り込んだ。心労など、苦労は絶えない。俺だって刑事である前に人間だ。懊悩する。

 午前八時二十分には署に着き、帳場に入っていく。パソコンを立ち上げてネットに繋いでから、警察の捜査情報などが掲載されている専用サイトを見た。特に真新しい情報はない。息をついた後、コーヒーを一杯淹れる。

 そしてまた、捜査本部に詰め続けた。勤務時はパソコンに向かう。月岡は管理官席にいて、黙ったままだ。吉倉は時折タバコを吹かす。思っていた。相方も変わらないなと。ずっと何かを考えているのか?まあ、捜査は基本二人一組だから、単独行動は出来ないようになっているのだが……。

 昼食を挟み、午後からも帳場にいた。疲労はある。何もないことはない。人間は放っておいても何かを考えるように出来ているのだから……。それに刑事だったら尚更、事件推理などをする。いろいろと感じていた。常に。

 風聞では、すでに特捜の関係者が水面下で動いているようだった。警察上層部を五億円の裏金作りの一件で立件するために、だ。検事正の村田も次から次へと手を考えているだろう。俺たちの想像の付かないところで、ヤマは動く。アンダーグランドでいろいろとあった。検察と警察は、やり方が一致しているところと異なっている部分がある。それを頭の中に入れた上で、日々職務に励む。捜査の次の局面は読めているようで、実際誰にも読めないのだから……。(以下次号)


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