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事件  作者: 竹仲法順
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第51話

     51

 一日帳場にいて、外部からの連絡などが入ってこないとなると、事件は暗礁に乗り上げた形となり、ジレンマ状態に陥る。警察官も人間だ。事件を画策した犯人のことが全て分かるわけじゃない。思う。ここはしばらく様子を見ようと。

 午後五時半過ぎなら日没で、街を行き交う人間たちも夜を楽しむモードだ。新宿でも繁華街は賑わう。通りをゆっくりと歩いていった。朝とは全く逆で。

 通勤には慣れてしまっている。ラッシュアワーだと、都心は混雑するのだ。新宿は繁華街とビジネス街が混合しているので、昼間人口が多い。だが、朝の人通りの光景は見慣れてしまった。もう十年以上、ここ新宿で仕事をしているのだ。板に付いた。

 また一日が終わる。自宅マンションに帰り着いてから食事を作り、取った後、入浴してゆっくりする。午前零時にはベッドに潜り込み、眠った。すぐに寝付く。朝まで一度も目は覚めなかった。

 翌朝起き出し、一日の支度を始める。歯を磨いた後、洗顔し、コーヒーを一杯淹れた。飲んでからすぐにカバンを持ち、部屋を出て出勤する。出入り口はオートロック式で、自動で鍵が締まる。ここは都心から離れているのだが、空き巣なども多いと聞く。物騒だった。施錠や防犯などはしっかりやるのだ。

 地下鉄内での通勤ラッシュに巻き込まれた後、新宿の街を歩き、署に着く。刑事課をすり抜け、捜査本部へと入っていった。月岡も吉倉も他の捜査員もいて、午前八時二十分には事実上業務が始まっている。デスクに座り、パソコンを立ち上げて、いつも通り警察の捜査関連の情報サイトを見た。まだ肝心の情報は上がってない。

 それにしても、気になることはあった。仮に警視庁が組対を動かし、九竜興業を取り締まるとしたら、危ないことになる。俺たち所轄の人間が道先案内役をやるにしても、ヤクザと正面衝突だ。恐ろしい。いくら捜査慣れしていても、暴力団などと関わるのは極力避けたいところである。

 昼になり、出前で取られたうどんを啜った。幾分気が抜ける。いろいろと感じることはあった。脳裏をよぎったのは、歌舞伎町のことだ。篠田が単身で交番勤務しながら、何とか頑張ってくれている。

 あの街にも九竜興業の人間が絶えず出入りしていて、クラブやパチンコ店などから、ミカジメなどを回収しているはずだ。それにその危険な団体が殺人事件に関与しているとなると、気が気じゃない。思っていた。いずれ街を浄化する必要性があると。もちろん、繁華街がいったん浄化されても、また人間が営利目的で集まってはくるのだが……。(以下次号)


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