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事件  作者: 竹仲法順
48/230

第48話

     48

 日曜も丸一日捜査本部に詰め、外部からの連絡などを待ったが、とりわけ何もなかった。事態を重く見る節もある。刑事たちもじわじわと焦っているようで、それが同じ仲間として手に取るように分かった。深呼吸し、肺の中の酸素を入れ替える。帳場には大の男が数人いて、熱や体臭などがこもる。

 その日も午後五時を回る頃、捜査本部を出てから、街へと歩き出す。疲れていた。心労がひどい。何せ殺人事件を案件として抱えているからだ。角井卓夫を殺害したと目される福野富雄や、東川幸生の口を封じて、警察の裏金の情報が詰まったフラッシュメモリを奪った何者かを追う。外にいる捜査員も必死になっているだろう。互いにいろいろと思惑はあった。もちろん、俺だって事件が解決しない間は捜査から外れられない。重責だった。

 夕方の新宿の街を歩きながら、ネオンが灯っている繁華街を見る。犯罪の街は今夜も眠らない。思っていた。帰宅したら、食事を作って食べながら、一息つこうと。地下鉄を乗り継ぎ、自宅マンションへと戻る。電車の中でスマホを見ながら、ネットでいろんな情報を得ていた。

 帰宅し、着替えてからキッチンで食事を作る。しばらく気分が休まった。出来上がった料理を皿に盛り付け、食べる。食事後、後片付けしてから入浴した。シャワーを浴びて、髪や体を洗う。丸一日外にいると、髪の毛や体中に街の臭気が移る。

 入浴してから午前零時まで、読みかけていたミステリー小説を読んでいた。就寝前の読書はいい。午前零時を回る頃、眠りに就いた。

 翌朝、午前六時には自然と目が覚め、起き出す。スーツに着替えてから、淹れていたコーヒーを飲み、気持ちを落ち着けて自宅を出た。地下鉄の駅へと歩いていき、通勤ラッシュに巻き込まれながら出勤する。新宿駅のコンコースに降り立つと、署へ歩き出した。

 午前八時には着き、刑事課を通り抜けてから、帳場に行く。そしてデスクのパソコンの前に座り、マシーンを立ち上げて、仕事をし始めた。コーヒーを一杯淹れて飲みながら、警察関係のサイトをチェックする。確かに未更新のものが多かった。これが警察の捜査の現時点での結果だ。気を引き締めないと。そう思う。

 月岡も吉倉も、永岡が連れてきた警視庁の三人の刑事たちもいた。皆、裏で何かを知っている。あの五億の裏金のことはバレているのか?気に掛かっていた。警察が闇の中で処理した金だ。それが元で、人が一人殺されている。尋常じゃいられない。

 午前九時に窓口業務が始まったかと思うと、すぐに昼になった。俺たち警察は悪い連中を捕まえるのが仕事で、その悪がここ新宿に蔓延している。もちろん組織で動くから、スタンドプレーなどは出来ない。常に相方である吉倉と組んで動く。

 昼食に出前で取られた丼が運ばれてきた。食事しながら、少し気を抜く。刑事課の方は制服姿の女性職員が電話対応などに追われている。新宿中央署も忙しい。何せ所轄とはいえ、街のど真ん中にある警察署なのだから……。

 午後も時が流れる。何かと慌ただしく……。(以下次号)


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