表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
事件  作者: 竹仲法順
46/230

第46話

     46

 抱えている角井卓夫殺害事件と、新宿北署の捜査案件である東川幸生殺害のヤマは、どっちも難航していた。二つの事件が緻密に入り組んでいる。確かに新宿区内の所轄が連携して捜査を敢行しているのだが、ホシはまだ捕まらない。それに東川の持っていたフラッシュメモリには、警察の作った五億円の裏金に関するデータが詰まっていたと目される。何かしら、複雑なものを感じていた。

 だが、全く袋小路に入ったわけでもない。角井を殺した犯人は現時点で福野富雄と断定されているからだ。福野を捕まえればきっと、殺人に至った経緯と、事件の背後関係が分かるだろう。思っていた。外にいる捜査員も福野を追っていて、見つけ次第逮捕するだろうと。

 ちょうどその週の金曜も朝から捜査本部にいた。パソコンに向かいながら、帳場に詰める。いろいろと複雑な事情があっても、休めない。何せ、勤務先の署が殺人事件を抱え込んでいるからだ。気になることなど、山ほどあった。だが、ここは踏ん張るしかない。そう思って淡々と仕事をこなす。

 昼食時に丼に入ったラーメンを啜っていると、スマホにメールが届いた。開くと、麗華からだ。<今夜お店が休みだから、来るわね>と打ってあり、文章が絵文字で綺麗に飾ってある。<分かった>と打って送り返す。そして食事を済ませた後、コーヒーを一杯淹れた。神経がすり減っている。自分でも分かるのだ。だが、怯むわけにいかない。そう思い、デスクに座った。

 屋外の捜査員も、十一月という冷え込む時期にずっと福野を追っている。一口に新宿と言っても狭い。それに繁華街から遠ざかると、普通に人口は減るのだ。管轄内にホシがいない可能性も高い。犯人が高飛びしていることも考えられた。まあ、いろんなケースを想定して警察も捜査を行っているのだが……。

 じっくりと攻めるのが、今回のような連続殺人事件にはいいのかもしれない。そう思うと、焦燥感も失せる。まあ、もちろん警察も想定される中で常にベストな選択肢を取るのだ。何よりもいろんな情報が必要となる。そして俺たち警察はヤマを追い続ける。この新宿という悪の街にいながら……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ