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事件  作者: 竹仲法順
45/230

第45話

     45

 その日も午後五時まで捜査本部に詰め、時間が来ると、月岡や吉倉など帳場内にいる刑事たちに一言言って、先に帰った。慣れてしまったのだが、やはりきつい。ストレスや過労でやられている。もちろん、この捜査本部もずっと立ち上がったままじゃない。いずれは捜査陣も引継ぎなどがある。俺たちがずっと居続けるわけじゃない。それに元々俺も月岡も吉倉も、所轄の刑事課のデカだ。後々の事件捜査は別の担当部署の人間がやる。

 新宿の街を歩きながら、夕方の通りの人の行き交いを見た。さすがに人間が多い。それにこの街は犯罪の温床である。警察官だって何かあった場合は身を守るために、何でもするのだ。最近捜査があり、剣道の稽古はしてないのだが、また機会があればやるつもりでいる。吉倉も多分腕が鈍っているだろう。互いに組んでいるから、分かるのだ。

 電車を乗り継ぎ、自宅に帰り着いてからスーツを脱ぎ、部屋着に着替えた。食事を取って入浴し、眠前に読書など自分の時間を取った後、午前零時にはベッドに潜り込む。

 朝まで一度も目が覚めないで、午前六時には自然と起きて、キッチンへと向かった。コーヒーを一杯淹れて飲んだ後、スーツに着替えて、背広の上から一枚羽織る。部屋を出てから、地下鉄の駅へと歩き出した。幾分きつい。だが、行くしかない。そう思って通勤する。

 朝の都内は混雑する。辺りは人の波だ。ラッシュは午前九時前ぐらいまで続く。午前八時には出勤し、署に辿り着いた。刑事課横にある帳場へと入る。デスクに座り、パソコンの電源ボタンを押して起動させた。ネットに繋ぎ、サイト侵入時の専用IDやパスワードを入力して、情報を見る。更新情報は特にない。捜査が膠着しているのだった。

 だが、そう気に掛けてない。日々いろいろあり、警察官も一々細かいことを気にしていられないのが実態だ。二件の刑事事件など、莫大な捜査案件のほんの一部に過ぎない。思っていた。必ずホシを挙げてみせると。

 午前九時には警察署の窓口が開く。夜勤の刑事たちは、すでに誰一人としていない。パソコンに向かいながら、詰め続ける。朝から一定の緊張感があった。ストレスも前進するエネルギー源になる。

 吉倉が合間の時間にタバコを吸い始めた。白煙が上がり、辺り一帯にニコチン臭が漂う。刑事課には強行犯係や暴力犯係などが並んでいて、中に刑事たちがいる。その様子がここの捜査本部からも見えるのだ。警察も仕事は大変なのである。中でいろいろあって。そして時間が過ぎ去っていく。時折ネットからの情報を得るため、キーを叩きながら、検索などをした。時が流れる。

 そしてちょうど翌日の同じ時間も捜査本部にいた。体は疲れているのだが、仕事だから仕方ない。月岡も吉倉もスーツ姿で詰めている。刑事は堅気の仕事だ。恰好から入ることに慣れていた。それにハードワークだ。いろいろと裏で事情はあった。事件捜査にしても、普段からやっている業務にしても……。(以下次号) 


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