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事件  作者: 竹仲法順
36/230

第36話

     36

 毎報新聞サイドは何も言ってこなかった。記者である奈々が、事件と警察内部のことに関し、でっち上げのような記事を書いたので、俺たちデカも迷惑している。署長の綾瀬が厳重に抗議すると言っていた。記事そのものに問題があると。マスコミも他人のことは全く考えない。こういったことは過去にもあった。警察もハントされるのだ。格好の餌食となり。

 その日も午後五時になると、パソコンの電源を落とし、シャットダウンしてから捜査本部を出る。署を出た後、新宿の街を歩いた。歌舞伎町は相変わらずネオンが灯り、夜は燃え上がる。思っていた。物騒だなと。

 新宿駅から地下鉄に乗り込み、自宅マンションへと向かう。電車の中は混雑していた。さすがに疲れる。いくら乗り慣れていても、だ。

 自宅マンションに帰り着き、一夜眠った後、また翌日も午前八時には署に出勤した。帳場に入り、月岡や吉倉に朝の挨拶をする。最近、捜査会議は開かれてない。事件に関する物証や目撃情報等が目立ってないので、会議も開きにくいのだろう。全部上の人間たちが決めることだった。俺にも吉倉にも関係ない。

 コーヒーを淹れて飲みながら、立ち上げたパソコンの画面に見入る。ディスプレイに釘づけになった。ここのところ、朝からいつも警察官専用のサイトを見ながら、情報を仕入れる。疲れていた。ここのところ、これと言って更新情報はない。気にしていた。新たな情報等がアップされないのを。

 午前中が過ぎ去って昼になり、食事となる。ラーメンが取ってあり、啜って食べた。食後にコーヒーを一杯淹れて飲む。眠気覚ましになった。過労が続いている。いくら午後五時には帰っていても……。

 その日も吉倉と捜査本部に詰めていた。タバコを吸い出すと、煙たくなる。分煙されてないから、尚更だ。昔から刑事ドラマやハードボイルド小説などでは、刑事がタバコを好むように演出されているのだが、俺などは相方の吸うタバコが一番嫌いなのだった。健康に悪いのだし……。

 捜査に関して進捗がないまま、時が過ぎていった。それと共に、俺たち警官の疲労が増す。どうにもならない。だが、外にいる捜査員はホシを探し続けている。それは確かなことだった。いくらなんでも警察官同士で同じ事件を担当しているのだから、決して裏切らない。それは間違いなかった。だが、何かがありそうだ。事件の背後なり、裏では。(以下次号)


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