第23話
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一夜明け、翌朝午前六時に目が覚めて起き出す。部屋着からスーツに着替え、キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲み、カバンを持って歩き出した。最寄りの駅から地下鉄に乗り込み、新宿方面へと向かう。疲れはあったのだが、気分は案外すっきりしている。署に着き、刑事課横の捜査本部へと入っていった。先に月岡が来ていて、
「井島、おはよう」
と言ってきた。
「課長、おはようございます」
一言そう返し、フロア隅のコーヒーメーカーでコーヒーを一杯淹れた。一口飲み、デスクのパソコンを立ち上げて、捜査情報が掲載されている警視庁のページを閲覧し始めた。ここは警視庁管内に勤務する警察官で、専用のIDとパスワードを持っている人間のみ、アクセス可能だ。毎日見ている。捜査に関する情報をリアルタイムで得るため。
午前十時前に永岡が部下を引き連れてやってきた。おそらく警視庁の人間だろう。皆黒っぽいスーツを着て、スタイリング剤などで綺麗に整髪し、いかにも清潔そうな感じの刑事が三人ほどいた。永岡が言う。
「今日からここの帳場に詰めてもらう警官です。月岡管理官の配下に就かせます」
「助かります」
月岡が一礼し、永岡の連れてきた部下たちに空いた席を宛がって座らせた。少し緊張していたが、三人の刑事たちは各々「よろしく」と言って、その後、すぐに仕事を始める。永岡がそのまま捜査本部を出、署外へと歩き出した。入れ替わりで吉倉が入ってきて、
「井島、お疲れ様」
と言い、自分のデスクに座る。数日振りに同じフロアの空気を吸った。思う。現場の洗い出しには苦労しただろうと。だが、依然として福野富雄は逃亡中だ。ヤツが角井卓夫を殺害し、ホテルに死体を遺棄して逃げ去ったのに間違いはない。室内は指紋や掌紋などを拭き取った後があったが、毛髪などは落ちて残っていた。警察にとって、毛髪などの鑑定は容易いことだ。すぐに福野が特定されたのである。
昼になり、出前でラーメンが取られた。もう朝晩が冷えるのだし、季節も秋で啜れるものがいい。食事しながら思う。これから先、冷え込むだろうと。食事を取り終えたところで、コーヒーを一杯淹れて飲む。眠気がすっかり覚めた。午後からも引き続き詰める。特に変わったことなく。
それにしても新宿の街は一際物騒だ。歌舞伎町などは担当警官として駐在の篠田がいるが、苦労しているだろう。思っていた。あの街は変わらないと。悪の街は欲望を搾り出す。現役の警察官でも震えおののく場所だ。もちろん、俺たち刑事も幾分感覚が麻痺した面もあるのだが……。
今現在新宿区内の所轄は連携し、二件の殺人事件を追っていて、警戒が固い。その日は警視庁から三人のデカたちが来たこと以外、目立って変化はなかった。だが、警察の捜査は続く。東川幸生と角井卓夫の二名を殺害した犯人を捕まえるべく。(以下次号)




