第222話
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午後五時には仕事を終えて、刑事課を出る。署を抜けると、外はこの季節特有の暖気が漂い、体も疲れてしまう。新宿駅まで歩き、地下鉄に乗って自宅へ戻った。まあ、いろいろある。息をつく間ぐらい欲しい。そう思い、日々過ごしていた。
帰り着き、食事を取って入浴を済ませる。そしてゆっくりし始めた。風呂上りにミネラルウオーターのボトルに口を付け、呷って水分補給してから、寝床に潜り込む。毎日大変なのだが、夜間は睡眠を取る。都内の夏の夜は蒸し暑く、寝苦しい。エアコンは付けていた。冷房は最小限度にする。夏バテの原因になるので。
翌日も朝起き出し、コーヒーを一杯淹れて飲んだ。スーツに着替え、カバンを持ち、部屋を出て歩き出す。だるかった。晴れていて、辺り一帯が暑い。地下鉄で新宿に出、署まで歩く。
午前八時二十分には刑事課に着き、パソコンを立ち上げて、キーを叩き出す。紫外線を浴びて、急にクーラーが利いた場所に来ると、体が重くなる。だが、仕事を続けた。まあ、一端の刑事だから、スーツを着ていれば一定の気は入る。
キーを叩き、データを打ち込んでいく。単調な作業が続いた。昼になると、食事が配られる。栄養補給して、しばらく休んだ。俺だって人間だ。食後ぐらい、少し休憩を取る。特に暑い季節は心身ともに疲れ果ててしまう。それに今日は日曜だ。窓口は閉まり、警察署も各課に人員が数名いるだけである。
午後からも通常通り仕事をした。暇はない。マシーンのキーを叩き、業務を進める。日々忙しい。それは十分承知していた。そしてそんな中でも着実に時間は過ぎ去っていく。思う。つまらないことの積み重ねも人生なのだと。もちろん、緊急時になれば、拳銃や警棒などで武装し、九竜興業相手に街のあちこちに乗り込むことも視野に入れているのだが……。(以下次号)




