第219話
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その日も仕事後、自宅に戻り、食事を取って入浴した。そしてゆっくりする。疲れはあったが、一晩眠ればすっかり取れてしまう。体はだるい。やはりこの季節、何かときつい。世間では五月病などと言うが、いい年をした俺だってそういったことはあった。とにかく夜間は大事を取る。
また翌朝も午前六時に起き出し、コーヒーを一杯淹れて飲んだ。眠気が取れる。胃腸の調子が今一つなのだが、自然に治るだろう。多少体調が悪くても、通常通り出勤する。まあ、いろいろあるのだ。刑事だって人間なのだから……。
午前八時二十分には署に着き、刑事課に入ってデスクでパソコンを立ち上げる。そしてキーを叩き始めた。別に変わったことはない。ただ、新宿の街では九竜興業が悪の限りを尽くしている。さすがに警察も全部に対応することは無理なのだ。
勤務時間中パソコンに向かう。仕事自体、淡々としていた。フロアにはクーラーが利いている。エアコンは体を冷やし過ぎるので、夏場でもあまりよくない。そう思い、上着は脱いでいても、長袖のワイシャツは捲らずに着たままだった。肌に冷気が当たると、どうしても体にダメージが出る。
昼になり、食事を取った。コンビニ弁当は経費節減になるのだが、決して美味しいものとは思えない。むしろ飽きが出ていた。別に食事など、何を食べても一緒なのだが、俺にも感情ってものがある。同じようなものを出されると、どうしても嫌になるのだ。
仕事中は何かと退屈である。データの打ち込みなど、圧倒して庶務の類が多いのだし、暇もない。だが、仕方ないと思えた。割り切っているのだ。昼間の時間はあくまで仕事に充てる。家に寝に帰れば、またゆっくり出来るのだし……。そんなことの繰り返しで日々回っていた。まあ、どうしても疲れが滲み出てくるのだが……。
昼からも仕事を続ける。幾分ペースは落ちるのだが、キーを叩く。夏の太陽が街を照らす。午後からは晴れ間が出た。午前中は曇りだったのだが……。(以下次号)




