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事件  作者: 竹仲法順
218/230

第218話

     218

 一日の仕事が終わると、一安心する。駅まで歩き、そこから地下鉄に乗り込んだ。電車に揺られながら、自宅へと戻っていく。家で落ち着ければ、昼間はフル回転で仕事だ。自宅は寝に帰るだけでも、安らぐ場所なのである。そう思い、日中は課内で淡々と仕事をこなす。

 その週の半ばも通常通り出勤した。普通に署に行き、刑事課のデスクでパソコンを立ち上げて、キーを叩く。雑用ばかりで事件捜査はない。だが、それでもよかった。確かに警視庁は検察と係争中だ。いずれ双方が和解し、警察は裏金の件を国民にきちんと説明してから、出直すだろう。そうすれば、一度は失った信頼が戻り、手元にある捜査案件にも手が付くものと思われた。確かに村田たち検察は五億の裏金問題の追及でしてやったりなのだろうが……。

 一日でも早く、警察が再起できるのを心から願っていた。現役の警官たちは皆そうだ。これ以上、無用な泥を被るのは御免だからである。それに国民だって、警察が悪だとは思ってないだろう。だから、どっちにしても、いずれまた事件捜査が再開される。警察も体質は基本的に隠蔽だったとしても、悪いことをそうずっと隠し通せるわけじゃないのだし……。

 九竜興業関係者は新宿の街で悪いことを仕出かしているのだろうが、そんなものはいずれ化けの皮が剥がれる。警察も裏金の一件では失点があったが、悪いことをして回る暴力団は誰がどう見ても、決して許されない。そう思うと、心の中にも蛮勇のようなものが生まれる。いつか必ず、警察官の持つ潔さで悪い連中を根こそぎ叩き潰してしまおう。

 いろいろあっても時間は過ぎていく。そして俺も吉倉も梨香子も、他の刑事課の人間たちも警察官としての訓練は怠っていなかった。昨日火曜は久々に射撃場で射撃訓練をしたのだし、今からの季節は暑くなって何かとしんどいのだが、剣道の稽古もするつもりである。何事も怠りなく、だ。皆、己にそう言い聞かせていた。(以下次号)


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