第216話
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午後五時には仕事が終わり、刑事課を出て、街を歩き出す。やはり疲れはあった。夏の疲労には食事と入浴だ。いつも帰宅したら、部屋着に着替えて、買っていた食材で料理を作る。味噌や豆腐など、滋養にいいものを主に使う。年齢と共に夏場は過ごしにくくなってくる。シャワーもなるだけ冷たくして、冷水状態で浴びた。
一晩ゆっくり眠る。午後十一時には寝つき、翌朝も午前六時には目が覚めた。起きてから、コーヒーを一杯淹れて飲む。スーツに着替え、出勤準備をしてから、通常通り署に向かった。都心まで地下鉄で出て、駅から職場まで歩く。だるい。だが、今日も普通に仕事がある。疲れたなどとは言ってられない。
午前八時二十分には刑事課に入り、パソコンを立ち上げて、キーを叩き始めた。日曜でも警察署は窓口以外開いていて、俺たち刑事が詰めている。ここ新宿も物騒な街なのだし、警察官として治安を守っていく必要があった。街の危機は警察の危機だ。常にそう思っていた。
午前中だるさを感じながらも、勤務し続けて、昼になる。コンビニ弁当で食事を取り、空腹を満たすと、眠気が来た。デスクの椅子に座ったまま、しばらく力を抜く。いくらピリピリした緊張感があっても、眠くなった。
午後からも通常通り仕事を続ける。キーを叩き、淡々と庶務をこなす。やはり体は正直で、疲れている状態は全く変わらない。だが、デスクに着き、仕事する。何事も形から入っていた。きちんとした姿勢でいれば、眠気も襲ってこない。それにコーヒーを口にすれば、眠さは一気に吹き飛ぶ。まあ、いろいろあって日常が動く。どんな職種の仕事でも変わらない事実だ。常にそう思っていた。(以下次号)




