第215話
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午後も五時まで仕事をし、パソコンを閉じて刑事課を出る。夜勤のデカたちがフロアに入ってきた。夜の勤務は大変だ。何せ、人間は夜眠るように出来ているのだし、アイツらも仕事ぶりは淡々としていても、きついだろうなと思う。だが、警察は二十四時間活動を続けている。別に昼だろうが、夜だろうが、関係ないのだ。
帰宅してキッチンで食事を作り、取る。そしてシャワーを浴び、疲れを落とした。夏の東京は夜暑い。エアコンを利かせて一晩眠った。明日も一日晴れるから、また疲労が溜まってしまう。だが、仕方なかった。自宅にいても、本を読むぐらいで退屈するのだし……。
一晩眠り、朝を迎える。コーヒーを一杯アイスで淹れて飲んだ後、出勤準備をした。カバンを持ち、職場へと向かう。都心まで地下鉄で出て、署まで歩いた。午前八時二十分には刑事課に入り、デスクでパソコンを立ち上げて、キーを叩き始める。まあ、いつも通りだ。仕事などと言っても雑用ばかりである。事件捜査は警視庁が立件されている以上、凍結状態だった。
マシーンに向かいながら、仕事する。俺たち刑事はずっと勤務だ。もちろん、食事の時など休憩はあるのだが、常にハードワークで疲れる。それに最近は昼食がコンビニ弁当ばかりで、味気ない。まあ、食事など、食べられれば何でもいいとは思っているのだが……。
本庁及び所轄が抱え込んでいる事件も一向に解決しない。どうしようもないのだ。単にズルズルと引き伸ばしになるだけで……。ただ、警官は常にアンテナを張っている。ここ新宿でも九竜興業との事が懸案としてあった。
警察と暴力団は半永久的に対立を続ける。特に梨香子のように、所轄の刑事課にいるマル暴は、その手の事件の捜査ぐらい水面下でやってるだろう。俺や月岡、吉倉には内緒で。いずれ警察は九竜興業取締りに動く。近隣の所轄は確実に新宿中央署に連携してくる。今現在はどこの署の刑事課の人間たちも、息を潜めるようにしているのだが……。(以下次号)




