第207話
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一日の勤務を終えてから、刑事課を出、新宿駅へと行った。心身ともに疲れている。夜間はゆっくり休むつもりだった。刑事は大変だ。特に夜勤などになると、夜でも事件があれば現場に出動する。いろいろと事情があった。警察官特有の。
駅から地下鉄に揺られて、自宅へと戻る。マンション最寄りの駅で降りて、そこからは歩く。東京はつれない街だ。どこにどんな人間がいようと、ほとんど相手しない。その空気に慣れてしまっていた。今の部屋でも別に隣の住人が何をしようが、関心がない。完全に赤の他人状態だった。
食事を取り、バスルームでシャワーを浴びる。そして寝床に潜り込んだ。疲れていると、すぐに寝入る。遅くまで起きておかないで、早めに眠った。明日も通常通り仕事なのだし……。
翌朝、午前六時に目が覚める。起き出してから、コーヒーを一杯淹れ、飲んで出勤準備をした。体はだるいのだが、スーツに着替えてネクタイを結ぶと、体はシャキッとなる。そしてカバンを持ち、部屋を出て、歩き出した。
電車で都心に出る。新宿の街は今日も回っていた。オフィス街は多数人が出入りし、歓楽街は昨夜の余韻を残さずに眠りに入っている。署の刑事課に着き、パソコンを立ち上げて、キーを叩き始めた。仕事する。変わらない感じで。
昼になり、食事を取った。感情や思惑などはいろいろあるのだが、課内は特に変わったこともない。休憩で皆、休んでいた。俺も食事後、デスクで眠たいのを堪えながら、椅子に座る。いつもこんな状態なのだ。吉倉はまた、フロア隅でタバコを吸っている。口寂しいのだろう。あえて体に悪いものを摂取しないといけないぐらい……。
午後からも仕事が続く。目立った変化もなく、ずっと。(以下次号)




