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事件  作者: 竹仲法順
201/230

第201話

     201

 その日も午後五時に仕事を終えてから、刑事課を出、街を歩いていく。歌舞伎町は相変わらずだった。営業中の店などにはいろんな人間が出入りしている。おそらく警官もいるだろう。繁華街の夜間の取り締まり強化は警察に与えられた課題なのだから……。

 新宿駅の地下鉄乗り場に着き、電車に乗って自宅へと向かう。疲れていた。座席の背もたれに凭れ、ゆっくりし続ける。都内は電車や地下鉄などで結ばれていて便利だ。下手すると、一駅分ぐらい歩くこともある。

 自宅に帰り着き、食事を作って食べてから、シャワーを浴びた。幾分生温い水で、汗を洗い流す。入浴後、キッチンの冷蔵庫から冷えたミネラルウオーターのボトルを取り出し、軽く呷る。そして午後十一時前にはベッドに潜り込み、眠りに就いた。そのまま休む。

 一晩眠り、翌日もいつも通り起きて、仕事に向かう。朝から晴れで、幾分だるい。慣れてはいるのだが、朝食は食べずにコーヒーだけブラックで一杯飲んだ。地下鉄の駅へと歩いていく。

 新宿に出て、駅から署まで歩いた。新宿中央署は所轄としての規模は大きいのだし、街のど真ん中にある。不自由はない。辺りには商業ビルやオフィスビルなどが多数林立し、大都会の様相を思わせる。逆に歌舞伎町などの繁華街はこの時間帯眠っていた。必然だ。夜間活動するのだから、朝方や昼間は息を潜めるのである。

 また一日が始まった。連休は終わり、休みの気分は抜けている。

 土曜で刑事課は窓口が閉まっているのだが、中には俺たち日勤の警官が詰める。吉倉がいて、パソコンに向かっていた。相方もここ最近真面目にやっている。以前とは打って変わって。コーヒーを一杯淹れて飲んだ後、デスクワークをこなし始めた。キーを叩きながら……。

 昼まで淡々と仕事をこなし、昼食後も業務を続ける。署にも、現時点で事件臭は漂ってこなかった。ただ、東川幸生と角井卓夫連続殺害事件など、未解決のヤマもある。いずれ警視庁が元通りになれば、再び捜査に着手するだろう。それまで我慢していた。心の奥底では検察を恨みながらも……。五億の裏金は使途を明かさないまま、幹部の連中が使い回している。一際悪質で、警視庁の看板に泥を塗ったのだが、これもある種の体質だ。昔からこんなことはいくらでもあった。検察やマスコミが嗅ぎ付けず、表沙汰にならなかっただけで……。(以下次号)


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