第17話
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その日、新宿北署と新宿中央署の捜査員が各々帰宅した後、夜勤のデカたちが入ってきて、詰めた。夜の勤務だと、大抵街を見回りに行き、コンビニやパチンコ店などに立ち寄る。そして店に来ている一般人と暴力団員の諍いなどを収めることが主な仕事だ。それは十分分かっていた。夜勤の経験はないのだが、凶悪事件発生で夜間呼び出されて、出動したことは何度かある。
新宿は物騒な街だ。長年この仕事をしていると、慣れる。夜はネオンが灯り、歌舞伎町やその周辺なども一際明るくなる。犯罪の巣窟だから、新宿区も警官が多い。思っていた。この街はまさに不夜城だと。
だが一夜明け、朝になると、別の活況がある。都内でもオフィスなどが集中するから、人間がそこに来るのだ。そして一日が始まる。午前七時半を回る頃には、辺り一帯人が押し寄せ、その波に埋もれてしまう。警察官だけでなく、サラリーマンなども出勤してきて、朝は街自体、別の顔となる。
その日も地下鉄で新宿駅に着き、そのまま署まで歩いた。そう距離はなく、駅から二百メートルも歩けば辿り着く。時間にしてものの数分で、あっという間だ。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
捜査の際の相方に一言声を掛けると、返事が返ってくる。吉倉は今日も角井卓夫が殺害されたホテルに向かうため、カバンにノートパソコンを詰めてスマホなども持ち、そのまま歩いていく。月岡に一言聞くと「井島は帳場に詰めてくれ」と言ってきた。言われた通りにする。上司もずっと帳場で指図していた。捜査員は出たり入ったりで、何かと忙しい。
また新たな一日が始まる。新宿北署と新宿中央署の捜査員は福野富雄を追っていて、街の各所に刑事たちが張り付いていた。警官も暇じゃないのだ。凶悪事件があれば、即出動する。昔からどこの警察も一緒だった。未だに刑事のイメージは定着していて変わらない。普段パトロールする際も、警棒と手錠は持っていた。
内勤だと、パソコンやタブレット端末など、ネットに接続できる機器が必要だ。まあ、別にネットがあろうがなかろうが、付けている無線には随時情報が入ってくる。普段からずっと捜査情報には不自由しない。
昨日、ホテルに集まった二つの署の刑事たちは士気が上がっていた。もちろん、それだけじゃ犯人を逮捕することは出来ないのだが、いい兆候だ。実際、デカは二十人以上集まっていた。その警官たちが今日もこの街に散らばる。冨野や、ヤツの所属する九竜興業の構成員などを検挙するため……。別に人数が多ければいいという話じゃない。だが、数に勝るのはいいことだ。そう思っていた。警察も全力を挙げる。事件解決に向けて。
時が過ぎる。何かと慌ただしい感じで。(以下次号)




