表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
事件  作者: 竹仲法順
111/230

第111話

     111

 その日も午後五時には一日の仕事が終わり、刑事課を出て、署外へと向かう。背筋を伸ばし、疲れた体をシャキッとさせてから、歩いていった。街を見ると、人が多い。真冬の寒い中でも、一際活況があった。この危険な街も眠らずに続く。新宿駅へと歩いていった。辺りの人をかき分けながら、だ。

 地下鉄に乗って自宅に帰り着くと、すぐに自炊し、食事を取る。そして熱めのシャワーを浴び、入浴してから、以前買っていたミステリー小説を軽く二時間ほど読んだ。眠気が差したところでベッドに潜り込み、眠る。

 翌朝も午前六時には目が覚めて起き出し、キッチンでコーヒーを一杯淹れた。飲んでからスーツに着替え、カバンを持ち、部屋を出る。体調は今一つだったが、黒服に身を包めば、適度な緊張感が出た。

 通常通り、午前八時二十分には出勤し、デスクに着いてパソコンを立ち上げる。キーを叩きながら、庶務などをこなした。捜査はなくても、警察官には他にやることがたくさんある。時間に追われる日が続く。暇なしで。

 吉倉が隣のデスクで、俺と同じくパソコンの画面を覗き込んでいる。相方も忙しいようだ。事件捜査には能がなくとも、日々の仕事は着実にこなしている。ある意味、堅実だった。

 昼になり、昼食を取る。出前の丼物を食べて、スタミナを付けた。いつも同じような食事が用意されるのだが、これと言って不満はない。出されたものを食べる。元々学生時代など腹が減ってしょうがなかった。食えない時代があったからこそ、尚更強い。苦労を経てきた俺にも底力がある。もちろん、人生経験という観点から見ると、未だ経験値が不足しているのだが……。

 食事後、少し気が抜ける。フロアにいて、休憩していた。婦警が電話応対などをしていて、休みなく業務が続く。この署も中ではいろいろあるのだ。事情みたいなものが。互いに遠慮していることもある。口に出すとまずいことも、いくらかあるので……。

 街は動く。そして俺たち警察官も絶えず活動する。新宿は危ない場所だ。絶えず喧騒があり、住人は常に欲望の類を求める。言い出せばキリがないぐらい、いろんなものを含んでいるのだった。人口密度が格段に高く、何かと窮屈な思いもするのだし……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ