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棚から牡丹餅…ではないけど。

作者: 綺蝶

「棚から牡丹餅」意味は“思いがけない幸運を得ること”

いやはや。

幸運ではなかったけど、すんごい物が出てきましたよ、奥さん。


それが出てきた時の衝撃と言ったら、それはもう凄かった。

まるで雷に打たれた時の様な……勿論そんな経験は御座いませんよ。

例えです、例え。いやですゎ、オホホ。


まぁ、ふざけるのもこれくらいにして。

それくらいビックリしたって事です。


勿体振ってもしょうがないので、白状しますと……

元彼とのプリクラがね、出てきちゃった訳ですよ。



今日何気なくメモ帳を開いたらヒラッとね。こうヒラッと。

何故にそこに入れたよ、自分。


悲しいかな、それは以前プリクラ帳として使っていたものでした…。

リング式だったから、貼ってあるページだけ破って捨てたんだよ。

こんな事ならメモ帳ごと捨てておけば良かった。

でも、柄も気に入ってたし勿体無くて…うぅ……。


かと言って使う機会もなくて、机の中で眠っていたんだけど。

そんなメモ帳(この子)を手に取ってしまったのが運のつき……。


仕舞い込んじゃう癖があるせいで、すっかり存在を忘れて思い掛けない再会をする事もしばしばだけど、こんな心臓に悪いビックリ体験は要りません!


あ~ぁ、どうするよ、コレ。

って、捨てる他ないんだけどさ。



ん~…

確か別れて3年は経つはず。


最初はどうしても捨てられなくて、でも見るのも辛くて、彼から貰った物は全部奥へしまい込んでいたけど、半年後ぐらいには気持ちの整理もついて思い切って処分した……ハズだったのに。


その後も定期的に机の掃除はしてたんだけどな。

1枚だけ残ってるなんて。


一体どんな巡り合わせだろう。こんな今になって……。


何とも複雑な気分でプリクラを眺める私。

不意打ち過ぎて、別にやましい事なんてないのに見つかってしまった様な何とも言えない気分……。



あ~…

私、この頃こんなんだったんだ。

若いなぁ……。



別に元彼に未練はない。最近は暫く顔合わせてないし。

あっちは今彼女いるし、接点も殆どなくなっちゃったしなぁ。

多分彼女と仲良くやってるんだろうな。



一度だけ新しい彼女に会った事がある。

明るくて、誰とでも気さくに話す可愛い人だった。


……私とは正反対。

私は人見知りもするし、どちらかと言うと聞き役だから。



新しい彼女を見た時、自分を否定されたみたいでショックだった。

私なんか全然タイプじゃなくて、本当は今みたいな人と付き合いたかったんじゃないかなって。


本当はそんな資格私にはないんだけど。

だって先に別れを切り出したのは……私だから。



別に彼に不満があった訳じゃなくて、私が凄く臆病だったの。


私は自分に自信がなかったから、彼に嫌われないかいつも心配で。

いつか彼に別れを切り出されるんじゃないかって不安だった。


ちゃんと口に出せば良かったのに、あの頃の私はそれが出来なくて。

溜め込んでばかりいたら、いつかダメになってしまうのに……


いつしか不安で心がどんどん追い詰められていって、彼女でいる事が苦痛になってしまった。


本当はそういうのを二人で乗り越えていくのが「付き合う」という事だと思うのだけど。

耐え切れなくて逃げ出した私。



『別れて下さい。』


突然言い出した私に彼は、


『……そっか。じゃぁ、別れよう。』


何も聞かないでくれた。

いつでも優しい人。



だからね、嬉しかった。


――あぁ、この人が彼を幸せにしてくれるんだ。



彼には幸せであって欲しい。だって大好きだから。

私じゃ無理だったけど、この人が幸せ(それ)を叶えてくれるなら。

進む道は別々になってしまったけど、いつでも応援してるよ。


大丈夫。もう過去うしろは見ない。



――さようなら。



私の手から離れて…懐かしい思い出はゴミ箱の中。

きっとこれが最後の欠片。



何だか不思議。妙にスッキリした気分。


3年経ってやっと“過去”として見つめる事が出来る。

今は思い出しても、胸に感じるのは温かい思い出。


プリクラが出てきた時は「げっ!!」と思ったけど、意外と良い事だったかも。


ふふっ。

今だったら何か新しい事にチャレンジ出来る気がする。

いつもだったら躊躇って、結局始められないんだけど。


よしっ!

気になってたアレでも始めてみようかな。



貴方のお陰で一歩踏み出せるよ。


――ありがとう。


ありがとうございました!

ホッと一息と言うか、前向きになれる様な作品にしたくて書きました。


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