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C7-8 I am Stabilizer


 今話のやらかし(PON)エピソードは作者が過去に踏み抜いたソレが元となっています。

 ……パソコン詳しくない人間だとマジでやっちゃうアレなんよ。


「それでは改めて───汎用人型世界安定保全用ユニット『スタビライザ(Stabilizer)B-105号』と申します。どうぞ今まで通り『ビライザ』とお呼びください、レインさん、ユズさん」



 再々度。

 翻りし時の針が指し示すは、件の王子一行来訪直後。


 陽気な幽霊()及び真面目な霊能少女がおわす宿の一室へと単身現れたギャル子さんは、諸々のやり取りを経た後、殊更に格式張った声音でそう宣ったのでありましたとさ。かしこかしこ




 …………まあ待つんだ。もう十数分ばかり遡ったとこから話をするとしようじゃないか。


 いつでも三人一緒で出歩いていた彼女の突然の単騎行動、単騎訪問かつ突然のカミングアウト。

 だがしかし、その突発的に見える行動の理由にも察せるものはある。……控えめに言って死出の旅路に他ならんもんね、王子同伴ダンジョン行。そら取れる手あるなら取りますわぞと。


 続いて内容についてなのだが……実のところ、言うほど驚きは大きくなかった。私にとっては。

 出会いはさておき、彼女が所謂()()()()であることは()()()()()()()わけなのでね。


 何故? 何処が? そう思われた諸兄は「誰ですかそれ」……暫し思い返して頂きたい。

 彼女の行動、発言、それらのどこかしらに示唆するものが確かにあったではないかと。



 ……おわかりいただけただろうか?

 それでは答え合わせといってみよう。




《いっくら何でも異世界で『ギャル語』は誕生せんやろ。常識的に考えて》


「……………………身も蓋ナシぽよ過ぎてぴえん超えてぱおん」



 というわけである。

 ……いやまあ、偶然似たような響きの言語が生まれた可能性までは否定せんよ?


 それにしたって周囲に全く通じてないのが明らかな言葉を使い続ける時点で普通に変人案件だが極論、超きっつい方言みたいなものとも言えるし、田舎から上京した人間が会話の中でうっかり、的な事例の一種と捉える見方もできんことはなかろうともさ。


 しかして彼女の場合はこれには当て嵌まらぬ。嵌まらぬ由縁が在りしともがなよ。

 ……おかわりいただけただろうか? それでは二度目の合わせといってみよう。




《『わかんのかんのかんの〇ほ』とか人名由来のアレよ? 収斂進化にも限度があるわい》


「………………ぎゃんそれ過ぎてぱおん超えてぷおん」



 まあね、その辺のアレでね、少なくとも現地で生まれた言語じゃないっぽいぞコレとね。

 転移転生エトセトラ、何某かの縁者関係者の可能性を疑ってたわけですレインさんなのです。


 ……流石に前述の()()は推定の外だったけども。私が普通に見えてるらしいことも含めてね。

 時系列的にはこの後に聞いたことだが、汎用人型……要は機械人形(アンドロイド)的な何某とのことっぽいし、ならば尚更道理でだ。幾ら私だってそんなのに『見て見ぬふり』されたんじゃ分かりっこない。

 傍目には純粋な人間にしか見えんのだけども。そこは流石に女神様謹製ってやつですかな。


 そしてそれはそれとしても疑問は当然ある。何故にそこで選ばれたのが『ギャル語』なのかと。キャラ付けか? キャラ付けなのか? だとしても何の為になんですかね。



「ほんそれな~……あーしもチョリ目にCKYで───」

《ああ、ごめん。口挟んで悪いんだけどさ。事情説明の時ぐらいは普通に喋れない?》


「…………ぷおん超えてぼかん」


 オウ(Oh)、ダメみたいですね。


 


 その後のやり取りについては省略致しませう。……とりあえず翻訳には超苦労しましたとだけ。


 真っ先に知れたのは、彼女がすっかり馴染みになってきた女神(シャニム)様謹製の『代物』であること。

 また()()()使()()に基づき、あの二人───間違いなく現地産冒険者であるAくん及びCちゃんに同行していたらしいことであった。

 そして最後に、何故にこれだけお互い苦労しつつも使用言語が『ギャル語』一択なのかについて詳しい理由を尋ねてみたわけなのだが───



《…………え~~と、つまり? 毎度お馴染みうっかり女神様(製作者様)渾身のポン(PON)により『ギャル語』しかそもそも言語情報(ファイル)が無いと。そういう感じのニュアンスで合ってる? ……そっかぁ》


 そして蓋を開けた結果がこれである。

 聞いた限りの想像だが『言語パック(大元)』と勘違いして『言語パック(追加パッチ)』だけ導入(インスコ)しちゃったとか、そんな感じの雰囲気であった。……そんなんばっかじゃねーかあの女神様。ちゃんとファイルサイズ(?)確認してもろて。



 そしてそして、ここまで話を聞かれた諸兄「だから誰なんですかそれは」……は皆まで言わずも不思議に思われたことだろう。この後の時間において、ちゃんと喋れてたやないか彼女と。

 そこは何を隠そう、私の類まれなる発想とトンチキボディのゴリ押しが火を噴いた形なのだ。


 彼女の外側(ガワ)はともかく中身は女神製プログラム。それはバグり散らかしてるとはいえ私も共通。

 ならば私から彼女へと、こう、イイ感じに言語情報のバックアップ(?)ができないだろうか? できてもいいよね。……私にはできる! と怪しい理論を捏ね捏ね自己啓発に勤しむこと十数秒。



 ……結果、いつかのように大量の文字列を吐き出した我がボディ。……重なる三人分の悲鳴。

 阿鼻叫喚すったもんだの末、見事に驚愕の互換性(?)が実現したわけですぜHAHAHA……



「……レイン。何か言うことは?」


《……どうせなら最初にやっとけば良かったなと。さっきまでの悪戦苦闘の意味よ》


「……ぴえんヶ丘どすこい之助」



 そんなんあるんや。




        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「───そんなわけで、実は普通に喋れたんだろとシフルにブチギレられました。あれは今までの鬱憤も溜まっていたのでしょう。苦労を掛けてきたのも事実ですから……こちらの事情は彼女には知る由もありませんし、説明も出来ませんから仕方ないんですが……はぁ、サゲぽよマジ卍……」


「そ、それはなんというか……お疲れ様です?」



 そして巻き戻していた針を束ねて、遂に現在。


 無事に……無事に? うむ、無事に地上へと帰還した後、経過の説明と余人には語れない諸々を愚痴りに再々度やってきた汎用人型世界安定保全用ユニットさんでありましたとさ。かしこかしこ


 ……ブレンドされて(キャラが)薄くなったんだか濃くなったんだか、これもうわかんねえな?



「まあ、その後は()()()()、シフルに宿った『怨念集合体』を、お二人から貰った『厄除人形』で祓うことに成功しましたからバイブステンアゲ不可避、です。……改めてありがとうございます」


「い、いえいえ……アレで本当に大丈夫だったんですね。言われるままに作りましたけど……」


 愚痴兼報告のメインは、先日の王子同伴ダンジョン行───の傍らで行われていた彼女の使命。

 そもそもからして女神謹製アンドロイド(推定)が何故に現地人と仲良く冒険者パーティなんぞやっとったのか、という部分にかかる話だ。


 翻訳前のギャル語解説を端折って曰く、世界中から集まった成仏しきれぬ人々の怨念的なソレが一人の赤子に宿ってしまうという、云百年に一度の周期で発生する事故(バグ)案件とのこと。

 宿主がソレを解放した際に、被害が大きくならないよう抑え込むのが基本の役目。

 そのまま天寿を全うしてくれればそれはそれで良しなのだが、今回の宿主はただでも危険塗れの冒険者になってしまったので、仕方なく───というのが実情だったらしい。おそらく。



「もち、あーし単騎で対処は可能だったんですが……必然的に『スタビライザ(Stabilizer)』の本性を曝け出すことになるので、その……二人から『ビライザ』という友人を奪ってしまうのが心苦しく───」


《訳:もうちょっと二人の友達でいたくてグダグダしてましたごめんなさい》

「ええ、訳が無くても分かりますよ、レイン」

「……即サツ勘弁おなしゃ~……」


 異世界には有り得ぬギャル語謎キャラから女神謹製機械人形を経て、友達想いポンコツロボへとワープ進化を果たした機体がこちらになります。うむ、相変わらずの濃厚キャラよ。

 とはいえ、そうと分かれば友情の為に力を貸さぬ理由が我々にあるだろうか、いやない。反語。


 問題となる『怨念集合体』とやらを仮想敵に据え、また私達にとっての当初の目的───王子をビビらせればなんとかなるやろ───を込めた珠玉の『厄除人形』を作製すべくベスト(best)を尽くした次第なのだよ、わっはっはー。


 ……呪いの市〇人形っぽくなった理由? 知らんな。そんなことは私の管轄外だ。



「レイン以外の誰の管轄だと言うのか。……それにしても、そこまで効果があったんですね」


「ええ。レインさんの力は実体のない霊体、魂体の類いに対して理不尽なまでに絶対的なので……入口にしても輪廻転生システムで直接魂ブン殴るとか、アルテみウェポン過ぎてマジ何言ってるか分かりたくないレベルです。……本当に何で存在成立してるんですかね、この人……」


《おい、ドン引きすんなや。というか中身(プログラム)に互換性あったんやから同類やろ、同類》



「…………不明なユニットが接続されました。直ちに使用を停止してください」

《誰が『あやしいパッチ』か。Zに進化させんぞおらぁ》



 なお、同様の事態(バグ)に対応すべく密かに世界中に配された存在こそが、彼女含めた世界安定保全用ユニット達とのことだが……そんな必要になるの、この世界? バグだらけやないかい!


 …………鏡見ろ? 映らんよ。







《───それで、これからどうするの? いやまあ、あの二人と一緒に冒険者やるんだろうけど、例の王子殿とか結局どうなったん?」

「あ~、それがですね……アルマと話す度に心臓が引っ繰り返るような動悸に襲われるというのを繰り返したせいなのか、なんか彼女に懐き出したんですよね、彼」


《「えっ」》



「化け物を前に逃げ出した臣下……数名は帰りの途上に回収されたんですが、彼らに信を置けなくなったところに、好意の塊をぶつけられたこともあったんでしょう。もう彼女以外は信じられないとまで言い出して……喜んだアルマに声を掛けられる度に悶えてます。動悸で」


「……大丈夫なんですか、それ」

《……なんか変な扉開いてない?》



「今回の失態で、王位継承権も益々遠くなったらしいですし、いっそ王族から離れれば……なんて呟きまで拾ってしまい……シフルもシフルで『アルマが幸せなら良いか』と。……マジCKW」


「…………レイン」

《…………とりあえず、頃合い見て人形の呪い(?)は解いとこうか、うん》



 駆け足気味な風呂敷回収ですが、三人娘を登場させたときから決まっていた設定になります。

 というわけで以下いつものキャラ名由来コーナー。


・ミコル・ローズ(C6-9~13 憑りつかれ(?)系破れ鍋ポン令嬢)

 みこ ポン ちょっと捻ってローズ(Rose)

 分かる人には分かるやーつ。


・ディ・タラメ(C6-10 ミスリード要員系おはらいオババ)

 出鱈目。(レイユズに対する)ミスリード係。


・メルクリオ・ブレイハート(C6-12~13 束縛彼氏系綴じ蓋サイコ令息)

 Mercurius:水星

 彗星だとそのまま過ぎるので捻った形。

 分かる人には分かるやーつ。


・ルーシア(C6-9?~13 処され系聖女候補)

 特に由来無し。

 重要なキャラほど由来が無いことが多い気がする今日この頃。


・アルマ(C7-1~8 フィジカル強者玉の輿希望系ボクっ娘不思議ちゃん)

 Aを頭文字に呼びやすそうな字面を2分ほど悩んで決定。


・ビライザ(C7-1~8 ギャル系友達想いアンドロイド)

 本編参照。

 三人娘の中では最初に名前を決めたキャラ。


・シフル(C7-1~8 邪気眼(?)系友達重い幸薄娘)

 Cを頭文字に20分程悩んで決定。

 邪気眼(偽)を悟らせるような名前も考えたが、上手く嵌まらなかった。


・キラキア=ラテラル=ソルカデル(C7-4~8 キラキラ系ビビらされ王子)

 キラキラ王子。

 ラテラルは Collateral=傍系からだったが活かす流れを思いつかず。

 国名ソルカデルは Sol + Cadere から。こちらは今後も出てくる、かも?

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